交換
久しぶりに総合アクセス見てみたら、総合2万越えてました。
これも皆さんのおかげ。ありがとうございます!
取引当日。
イフンが捕まっていた塔の前の平原。
そこに影の集団がいた。その昼間の平原に似つかわしくない黒の格好。その反対側を見れば、アラン、エリカ、ロント、イフン、ミネセス。そのメンバーが集まっていた。
開始の一言はアランが放った。
「詳しい時間の設定はなかったから昼間に来たんだが、待たせてしまったか?」
「いやいや。我々の方こそ詳細な設定をしなかった事に対しては非を感じている。すまなかったな。」
「二人は何処にいますの?取引においてそちらだけ見せないとは随分傲慢な事ですね。」
「おっと、これは悪いことをした。二人をここに。」
リーダーが命令すると、<空間転移>で来た二人組と一緒にレイナ、リースも続いて現れた。二人はここが何処だか把握する前にアランの姿を見て一安心した。
「一応念のために口を封じさせてもらった。今解こう。」
リーダーが指を鳴らすとレイナとリースの口元にあった魔法陣が砕ける。
声を出す事が可能になった二人はアラン達に声を掛ける。
「アラン。これはどういう事?」
「そうよ、今まで変な所にいたと思ったらこんな場所に。連れてかれた時からずっと心配してたのに........」
「ま、私はアランなら大丈夫だと思ってたけどね。」
にこやかにレイナは頷いた。
そんなレイナを少し涙目なリースが「嘘おっしゃい。」と言う。
「これで良いか?」
「ああ安心した。見た所、[呪い]の類いは掛けてないようだし。それじゃあ始めようか。」
アランはすたすたと歩き始めた。そしてリーダーはレイナとリースの背を叩く。「行け」と言う合図だ。二人は不思議そうに歩き始めた。
「え?アラン何をしてるの?」
「二人とも。最初に謝っておく。ごめん、もし帰って来たら何でもしてあげるから。」
二人はきょとんとしながら見つめた。
その時、アランは二人に手刀を当て眠らせた。すとんと二人の体がアランの手に吸い込まれる。二人をゆっくり地面に寝かせ、アランは影の集団の所に向かった。
「別にこれくらいいいだろ。」
「こちらとしては構わない。おい、例の物を。」
リーダーは命令して部下に何かを持ってこさせる。それは魔法の発動を一切禁止する魔法具だった。
俺はその手錠のような魔法具を手に付けさせられる。少し違和感があるが気にしなければどうって事ない。
俺は最後に反対側にいるエリカ達の顔を見ていく。
多分、レイナとリースは起きたら大激怒するだろうな。
「これが見納めだ。」
「分かってるよ。もう十分に見た。それじゃあお前らの本拠地にレッツゴー!」
アランはそう言いながら手錠で拘束されている両手を上げる。
影の集団員はそのアランのテンションに不気味さを感じつつも、アランを連れていく。
エリカからの<思考伝達>が入った。
(絶対に帰って来てください。そして、大好きです。)
(必ず帰ってくる。後半の内容は承諾出来ないぞ~)
その会話を最後にアランを拘束した影の集団は一斉にいなくなった。
取り残されたエリカ達。
「まずは二人をベッドに寝かせましょう。」
「ああ......うん。そうだね。」
「ミネセス、リースを。私はレイナを持ちますから。」
「分かった団長。」
ミネセスはリースをお姫様抱っこし、隠れ家へと向かった。
その場の空気はとても重く、どんよりしたものだった。
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「んっ.........?」
レイナは目を覚ます。そして自分がベッドで寝かされている事に気付き、一体何が起こっているのか状況を整理する。しかし、最後の記憶が曖昧になっていて頭に手を当てる。
とりあえずここが何処なのか把握しようと、扉を開けて階段を降りる。
すると大きな声でリースが怒鳴っているのが分かった。何事かと見てみれば、リースが目を赤くしてエリカの胸ぐらを掴んでいた。
レイナは走ってそのリースの手を掴む。
リースはキッとその手の主を睨み付けるがレイナだと分かるとその目を緩める。
「レイナ聞いて!アランは私達を助ける為に取引したそうよ!エリカ、あなたそれで良いの!?」
「やっぱりアランは........エリカもその取引を認めたの?返答によっては私も怒るけど。」
レイナはリースの手を離させる。
イフンとロントを見ると、頬が赤くなっている。恐らくリースにビンタでもされたのだろう。イフンの隣にいる赤髪の人は誰だ?
とりあえずレイナは目線をエリカに向ける。
エリカはため息をついて
「まったく。お二人とも、アラン様が何の気なしに取引に応じたと思いですか?」
「それじゃあやっぱりアランは何か策を講じていた訳なんだよね。教えてエリカ。それでリース、あんまり感情的にならない事。いくらアランが好きだからって。」
「なっ?違うわよ!」
目だけでなく、顔まで赤くなったリースは顔をぷいっと別の方向に向ける。
「ではお教え致しましょう。アラン様がーー」
「ーーと言うことです。」
エリカから作戦を聞かされたリースとレイナは微妙な顔をした。
そしてレイナは椅子に座った。
「エリカが良いって言ったって事はその作戦が成功すると確信したからで良いよね。」
「ええレイナ。私は許可しました。」
誇らしげに胸を張るエリカにレイナは「ふーん」と頷いた。
「ならいっか。それで気になってたんだけど、その赤髪の子って?」
「確かに。私がイフン君やロント君にビンタした時からいたけど、一体?」
「ああ、この子はミネセス。私の部下よ。今はイフンを守る為にここにいてもらってるのよ。とりあえずは仲間って事。」
ミネセスは立ち上がり自己紹介をした。
「私はリースよ。よろしくミネセス。」
「私はレイナ。よろしく~」
二人はミネセスに握手し、一息ついた。そして今まで起こった出来事を互いに話す。
まずエリカが聞いたのはレイナとリースがいた場所だ。いくら探していても、目星しか付けられなかった。通常なら確信する所までいく筈なのに。
「そうねぇ。私のいた部屋には窓はなかったし、よく分からなかったけど。豪華な部屋だったわ。レイナの方はどう?」
「んー、私もそんな感じだったけど........」
「けど?」
エリカが聞き返す。
「なんか変な感じがしたような..........絶対なる気配?まぁ、よく分からない魔力を感じたみたいな。」
「あっ、確かに感じた。レイナの言うようにまったく知らない気配のような。」
「それは魔族の者ですか?それとも人間の?」
ロントが聞くが、二人は顔を見合せ首を斜めに傾けた。ロントは諦めた様子で「ありがとうございました。」と礼を言った。ミネセスは顎に手を当て
「せめてその抽象的な感じではなく断言出来たらいいのだが。」
「もしそうだったら苦労はしませんわ。」
「確かに....。」
エリカの言葉にイフンも同調する。
そしてここからはイフンに起こった事を二人に知らせた。二人は興味深そうにその話を聞いた。
中でもハイムの実力については食い付くように聞いた。レイナとリースはハイムの実力を知る機会がなかった。
「ふーん。さすがアランの兄だね、聞いただけでも強いって感じる。」
「凄かったよ。本当にアランと同じくらい強いんだなって分かったよ。」
「それで、エリカ。これからどうするつもりなの?」
「そうですわね........ひとまず私、レイナ、リース、イフン、ロントは学園に復帰しましょうか。恐らく今のヘイネはもう私達に危害を加える必要はないでしょう。」
「団長、私は?」
ミネセスが手を上げる。エリカは「うーん」と唸る。
正直な所、ミネセスはこの隠れ家に居てもいいし、学園に来てもいい。だがイフンはミネセスの事が好きだ。それも禁忌とも言われる魔法を使う程に。
なら学園に来た方が面白くなる。
「ミネセスはどうしたいの?」
「ん~私か。特に希望はないんだよな。別にここにいろって言われればいるし。」
レイナはその言葉にイフンが妙に反応している事に気付き、ニヤッとする。
リースは内心「また茶化す気だ」と勘づき、ロントは頭に手を当てる。まぁ、それ程イフンの反応は分かり易いと言うことだ。
そんな中、エリカがイフンの期待している事を言った。
「それならばミネセス、明日から学園に来て。あなたも、もうそろそろこの時代の常識とかを知らなくてはなりませんよ。」
「はぁ。団長がそう言うなら。」
そのイフンの嬉しそうな表情がみんなに分かり、いじられるとはまだイフンは知らない。
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