土下座の願い
そろそろ入学、進級するシーズンですね。
家にたどり着いたアラン一行はイフンとミネセスに驚かれる。
「え?アランどうしたの!頭に怪我してるけど、?」
「これ.....か。ちょっと転んでな.....。ロントも見ただろ?」
「え!?あ、はい。」
急に話をふられたロントはちゃんと言葉を選んだ。
もしここでエリカが殴ったと言えば、今頃ロントの頭は真っ赤に腫れていただろう。
少々疑問を感じるが、本人がそう言うのだから構わないだろうとイフンは思いそのままにした。ミネセスは絶対にエリカがしたと勘づいた。何せエリカ一人だけ笑ってたからだ。
そして三人も椅子に座り、先ほど起こった事を説明した。
するとイフンとミネセスは机をバンッと叩き立ち上がった。
「どうしてそんな取引を!」「そうだ!.....いや、そうです!」
敬語に直したミネセスだが、その顔は怒ってる感じだった。
「ほーら、やっぱり二人だって怒ってるではありませんか。」
「アラン様。この件に関しては私もこちら側です。」
そう言ってロントも椅子をイフンとミネセスの方に移動させる。現状況、アランに味方する者はいない。一対四の劣勢だ。
しかしそんな状況にもめげずにアランはとある作戦を語る。
「まぁ待って待って。これには一つ作戦があってなーー」
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「ーーと言う作戦なんだ。」
そう言い切るアランにこの場にいる皆が暗い顔をした。作戦を聞いた限り、アランは地獄のような日々を送るかも知れない。
「そうですか......と承認出来ると思いましたか?」
エリカは真剣な表情でアランを見つめる。
「さすがにアラン、それは危険過ぎじゃないかな。」
「アラン様。私もイフンと同意見です。」
「私もだ。」
「.......えぇ。みんな反対?」
「「「「はい」」」」
その返答にアランは机に頭をくっ付けた。
あっれ~?。案外今の作戦自信あったのに。それならば仕方ない。例のアレをやるしかない。願い、謝罪の極地。いや奥義と言うべきか。
俺は椅子から立って床に膝を付ける。そしておでこも床に付ける。皆さんお分かりだろう、土下座。願いの極地。
「は?何をしてますの?」
「お願い!この通りだ。確かに今の作戦は少々危険な所もある。しかし!無事に終わればすべてがハッピーエンドになるんだ。だから、お願い!」
その言葉に沈黙が返ってくる。ミネセスはあの魔王様が土下座しているのが今だに信じられなくて唖然としている。イフンもロントも、「あのアランが......」と言う意外過ぎた出来事にただ黙っている。
その中、エリカは無表情のまま土下座しているアランに近づき、手を頭に乗せた。
そして耳元に口を近づけた。
「今のアラン様は魔王だった頃の仲間は私を除いて一緒に戦う事が不可能です。魔王軍が動けば事態の収集する過程でアラン様の言うハッピーエンドはなくなります。これは今までと比べても難度が高い作戦です。魔王軍、第四四魔団長エリカ・エリードから申し上げます。即刻止めてください。」
「.......本当にお願ーー」
「ここからは一個人のエリカ・エリードから言います。絶対に帰って来てください。これは命令です。必ず守るように。」
「分かった。必ず帰るから。」
アランの言葉を遮ってエリカは続けた。
言い終わったエリカは「はぁ」とため息を一つつく。
「もう頭を上げても良いですよ。三人とも、アラン様が言う作戦はもっとも効率が良く最短の道でしょう。だから今回はこの作戦の最大限のバックアップをしましょう。」
頭を上げたアランはエリカの自分に対する信頼に報いなければと思った。
その後、エリカは部下への連絡をすると言ってベランダに向かった。
「まさか通るとは......この中で一番反対すると思ってたのに。さっきも近づいた時、脚で蹴られるんじゃないかって思った。」
「いやそこまでしないと思うけど。」
「でも確かに一発食らわせてやるって顔だったし。」
「さすがの私も心臓がバクバクでしたよ。」
ロントは胸を撫で下ろす。確かにあの緊張感は半端なかったよな。
俺も胸に手を当て、ほっとする。
その頃ベランダではエリカが部下にあらかたの連絡を終えて壁に寄り掛かっている。
「まったく。これだからアランは。ま、そんな所も好きだから何とも言えないのですけど。さてさて、帰って来た時にどんな事を要求しましょうか。楽しみですわね。」
そんな独り言が虚空に消えていった。
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ここは影の集団の施設。
元々、大規模な孤児を集めていた心優しい人がいた。しかしその人は不治の病を患いぽっくり死んでしまった。これは魔界でニュースになったのだが、一つ不思議な事があった。
その心優しい人が集めた孤児達。何故か急にいなくなったのだ。
魔界の間では一斉に神隠しにあったとか、異世界に行ったとか信憑性のないものまで噂された。
けれどすべて違う。
孤児達はすべて引き取られたのだ。そしてその安定した食事を引き換えに人殺しをして。
「どうだ?取引はうまくいったか?」
「はい。バルデン様。予想以上に手早く終わりました。」
バルデン。それが孤児達を引き取った者の名前。影の集団のボスとも言えるか。
ヘイネにアランを潰すように仕向けた本人。
「そうか。なら事は早く終わりそうだな。ふっ。この件が終われば俺も権力的に優位になる事間違いなしだな。あの老人も俺に何も言えなくなるだろうよ。」
「時にバルデン様。ヘイネとの約束は如何されるおつもりで?」
「ああ、あの瀕死の女か。勿論助けてやるさ。あいつの力を借りれば楽勝だ。しかしそれではつまらない。ちょっとしたプレゼントを添えてやるつもりだ。」
「それは一体?」
リーダーの問いにバルデンは口元に人差し指を当て
「そいつは見てからのお楽しみだよ。」
不敵に笑うのであった。
そしてバルデンはアランとの取引が成立しそうだと満足して帰って行った。ここは影の集団の寝床でもあり、訓練所でもある。バルデンはあまりここを好きではない。どうしてかは教えてくれなかった。
バルデンが去ると、後ろの扉からぞろぞろと仲間達が出て来た。
「リーダー。バルデン様はなんと?」
「非常に満足されていた。やはり自分の地位が上がると言うのは喜ばしいのだろう。それよりルミナリエ。」
「はい?」
集団の中から黒の忍者のような格好をした者が出てくる。これがルミナリエ。この前からアランが数々のアドバイスをされた人だ。
「あの強き者に言われた通りに<全身透明化>の練習をしておけ。今度また出会う時に強き者に気付かれなかったら、ルミナリエの<全身透明化>は完璧とも言えるだろう。」
今現在、ルミナリエの透明化技術は影の集団内でもトップをいく。
ルミナリエは「分かりました」と言い、<全身透明化>を発動する。その瞬間、ルミナリエの気配、存在が消えた。リーダーはその透明な空間を見ながら
「やはりこれを見破るとは........我も認識出来ぬのだが。」
影の集団もうんうんと頷いた。
「もしかしたら、我々はとても大きな存在と相対しているのかも知れませんね。」
「その確率は高い。はぁ。バルデン様も戦う相手を見極めて欲しいものだ。このままでは我らの方が全滅してしまう所だ。」
バルデンの元で活動していると、仲間達は一人一人減っていく。
それは仕方ない事なのだがやはり思う所がある。
リーダーの声は薄暗がりの部屋に響いた。
ああー!
最近小説ばっか読んでるから書き溜めが進んでないとか口が裂けても言えない!




