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まだ続く 

順調順調~

暗い部屋。そこには老人がいて、その向こう側にはハイムが座っている。

老人の名はネルクレス。


「おい爺さん。言われた通りに弟の友達を助けてやったぞ。」


「それは良かった。だがハイム、儂はアランを助けてやれと命令した筈じゃが?」


「だってあいつは俺に助けられるような場面に出会さない。要するに暇なんだ。だからそれで手打ちにしろ。そういえば、その場で禁忌魔法を見たんだが。」


禁忌魔法。その言葉にネルクレスは目を見開く。


「禁忌魔法じゃと?どんな魔法じゃった?」


「確かあれは魔法障壁っぽい感じだったな。恐らく愛する者を守る奴だろ。」


その説明にネルクレス「ふむふむ」と首を縦に振る。


「そうか。愛の禁忌魔法。儂も見たかったぁ。凄まじい力だっただろう?」


「ああ凄かった。さすがにあの障壁の前ではほとんどの魔法は消え失せるだろうな。俺の<零の弾丸(エンドオブゼロ)>と拮抗するかもな。」


「やはりそこまでの代物か。しかし自分の生命力を代償にしてるんだ。そこまでの効果は出るだろう。」


「それで、爺さん。質問があるんだ。」


ハイムの顔が真剣そのものになる。

今までそんな事なかったので、ネルクレスはきょとんとする。


「なんじゃ?改まって?」


「その禁忌魔法を使用した奴に俺の血を一滴飲ませたんだ。」


ネルクレスはバンッと机を叩く。それはとても動揺している。


「ハイム、あれほど言ったではないか!お前の血は他の魔族とは違うと。それは一滴でも同じだ。」


「まあまあ、落ち着けって。別に一滴なら良いかと思ったんだ。俺も飲ませた後、心配したが結果はすんなりとそいつの魔力に適応した。」


「適応?する筈がない。あれは相当特殊なんだぞ。」


「そうだ。しかし現実はそいつの魔力として変換された。何か分かるか?」


ネルクレスは目を瞑り、脳内にある記憶を探り相応しい答えを出そうとする。

目を開けたネルクレスは首を横に振った。それを見てハイムは肩を落としため息をつく。


「分からん。そんな技術、[魔技]でも聞いた事ない。神の能力を使う[神技]、儂もすべてを記憶している訳ではないが、そんなものはない。」


「ならあれは?」


「うーむ。思い当たる節はあるのだが、ちと話がぶっ飛び過ぎる。」


「それでもいいから言ってくれ。」


「大昔、魔王が存在する時より前、その魔眼にてすべての魔法を解析した強者がいた。そいつなら自分に取り込んだ魔力でさえ解析し、変換する事が可能だ。」


ネルクレスはさらに言葉を続ける。


「もしかしたら、そいつはその強者の力を転生された者かもしれぬ。あやつは魔王が活躍した時代にもその力を転生していたのだと記憶に記してある。」


「ふーん、そうか。以外とこの時代も面白そうな奴が揃っているじゃないか。」


「じゃが、これはあくまで仮定でしかない。単にそいつの適応力が高いだけかも知れない。」


ネルクレスは言葉を付け足すがハイムは「はいはい」と受け流し、外へ出て行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「アラン様、もう朝ですよ。」


優しいエリカの声を聞いてアランは起きる。

その膝枕の事とかはなかったことにしようと、アランはすぐに立って身支度を整える。


「昨日は良かったですね。」


「い.....一体何のことやら。」


「ふふっ、隠しておきたいのならばそうしときましょう。秘密と言うのはとても気分が良くなる薬ですしね。」


気分が良くなる薬って。そんな麻薬みたいな言い方しないでくれ。ただあれは...........誰にも知られたくないだけだ。俺は話題を変える。


「イフンがいる場所って何処だ?」


「そちらについては私が先導致しましょう。どうぞ後ろを付いて来てください。」


エリカはそう言って扉を開いてイフンのいる洞窟まで向かう。

転移しても良かったんだが、その辺りは恐らく魔法探知をしている筈だ。妙に疑われて逃げるよりも使わない方が得策だ。





そして二人はイフンのいる洞窟へとたどり着いた。


「ここか。確かに魔法障壁も張られてるし、合ってるだろうな。」


「待っててください。今連絡して開かせますので。」


エリカは中にいるミネセスを呼ぶ。そうすると、中から魔法障壁が破られた。

紅い髪をしていてショートにしている。エリカの部下で間違いない。


「魔団長。イフンの身柄の救出、もとい保護。無事終了しました。」


「ええご苦労様。見た所、交戦があったようですが大丈夫ですか?」


エリカはミネセスの腹にある傷を見て心配する。


「大丈夫です。イフンが守ってくれたし、それに何者かがこちらに加勢してくれたようだ。」


「何者?」


「イフンから聞いたが、何でもイフンの友達のアランの兄貴だって名乗ったそうだ。」


「お兄ちゃんが?」


アランはその起きる筈のない事に思わず声が漏れる。

そしてアランを見たミネセスは「あっ!」と声を出して膝を地面についた。


「これは魔王様!すいません。私程度が呼び捨てなど!」


「いやそんな畏まらなくても....。それより、本当にアランの兄貴と名乗ったの?」


「はい、しかもその手には古銃を持っていたとか。」


隣にいるエリカが「なら....」と言葉を続ける。アランは頷く。


「確かに本物だよな。しかし.........何故?いや今はそんな会話をしている場合ではないか。中にいるイフンを安全な場所へ移すか。」


俺は洞窟内に入り、イフンを抱える。イフンはその動作で目を覚ました。

目を覚ましたイフンは目の前にアランがいるのを見て驚く。


「えっ、どうしてアランが?」


「そこにいるミネセスは私の部下なの。」


エリカが説明に入る。いつも学園でスターとして君臨している人の裏の姿を知ってイフンは固まる。そのイフンを見てアランは微笑し


「俺はその関係者だ。今回はすまなかったな。多分これからも危険な道になると思うが、安心してくれて構わない。」


「はぁ。」


イフンはもっと聞こうとしたが、何か踏み込んでいてはいけないラインがあると感じ取り止めた。

洞窟内から出た俺達は早速隠れ家へと戻った。そして昨日の出来事を詳しく聞いた。




「ふーん。やっぱりお兄ちゃんだよなぁ。気になる。」


「それに、その敵対した影の者と言うのも気になります。その点についても調べさせましょうか。」


「ちょっと聞いていいか?」


ミネセスがよそよそしく聞く。まぁ、イフンには教えてないが元魔王もいるんだ。「畏まらなくていい」と言われたがそれでも畏まってしまう。


「あの時、イフンが発動した魔法。あれは何だっだ?」


ミネセスはイフンが発動した禁忌魔法について質問している。昔からいるミネセスでも禁忌魔法は知識として持ってるだけだ。実際に見ても、あまり分からないだろう。


イフンは顔をミネセスから隠した。

イフン自身、分かっている。それは自分の恋愛感情だと。ミネセスを守りたいが為に発動したと。


アランとエリカは少し考えるような動作をした。


「うーん。実際にどんな感じだったか見てみない事にはな~。エリカも分からないか?」


「そうですね。その魔法陣を見てみれば早いのですが...........」


その答えにミネセスはため息をついた。イフンはこの気持ちがバレなかったので安堵した。

この場でバレたら公開処刑だ。


二人は外の風にでも当たって考えてくると言い残し、ベランダに行った。

ミネセスとイフン。二人だけが部屋の椅子に座っている。空気が重い。まさかこの状況を二人は狙っていたのか?


そう思考を巡らせるイフンであった。





ベランダに行った二人は顔を見合い、お互い笑った。


そう二人は知っている。イフンが発動した魔法の存在を。


「まさかミネセスに想いを寄せる存在がいたとは。」


「それも禁忌魔法だ。とてつもなくイフンは好きなんだろうな。聞いた時はえっ?と思ったが禁忌魔法は今でも使う奴がいるとは。」


「さてさて、今頃どうしているでしょう?二人で楽しくお話していますかね?」


悪魔のような笑みを浮かべるエリカに、俺は苦笑いしか出なかった。


イフン。頑張れ。



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