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退学命令 

あぁーポイント上がるってこんなに嬉しいんだ。

「なっ!?それは学園長。あんまりな判決ではないですか!」


隣にいたルー先生は声を張り上げて抗議する。それをネシウス学園長は冷たい視線にて黙らせる。


「何を言っているんだ?ルー先生、生徒を溺愛し過ぎて正しい答えが言えないのも分かります。しかし第三者である私には正しい答えが言えます。魔王様はおっしゃいました。学園の運営はすべてお前達に任せる、と。そして私たちは考えました。魔王様は私たちを試しているのだと。だから私たちは魔王様が納得するように、転生した魔王様が気持ちよく通えるように。」


ネシウス学園長は寂しそうに言った。心にぽっかりと穴が開いてしまったように。

いや、「ように」ではない。ネシウスが信じ、尊敬していた魔王様は転生して何処かへ行ってしまったのだ。


私だって魔王様と一緒に何処までも付いて行きたい。例えそこが地獄でも構わない。そう思っていたのに、魔王様は一人で行ってしまった。千年後に帰ると残して。


「だから君のような悪人は要らないのだよ。もし、君が本当に無実ならばその証拠を持ってこい。それが事実だとしたら君の学園への通学を許可しよう。」


「はい、分かりました。でもやはり学園長は魔王様のことを思っているのですね。」


「ああそうだ。私に相応しき居場所をくださり、名誉、地位、すべてをただの魔族の一人なのにくださった。私は千年経った今でもこの気持ちは揺るがない。」


「そこまで言われると嬉しいな。」


「ん、?何か言ったか?」


俺は適当にはぐらかした。いやぁ、やっぱり目の前で言われるとこう、何か胸にくるものがあるよな。まさかそんなに思ってたとは。


でもネシウス学園長は俺のことを知らなかった。転生した魔王なのに。

デモクレスが言わなかったのか。確かに隠し通せとは命令したけど、...........なんか可哀想に思えてくる。


「おっと話が脱線してしまった。とりあえず、そういう事だアラン・エリアル。証拠を持ってこい、今の私からはそれしか言えん。」


「分かりました。それでは、また会う日まで。」


俺はドアを開けて学園を去る。勿論誰にも見つからない方法、転移して学園の外へと向かった。

学園長室の中ではルー先生とネシウス学園長が静寂な部屋に残っていた。




「時にルー先生。あのアランと言う生徒は普段どんな生活をしていますか?」


「ふへぇ?あっ、はい。そうですね、至って普通.............ではなかったですが今では周りに友達も出来ていて楽しそうでした。」


「ほう。今ではと言うのは一体どんな意味ですか?」


「この学園に来た頃はどこか不安そうにしている雰囲気だったり、テストの結果が最下位だからかと思ってましたが校庭に魔法を放ったりと予測不能な子でした。」


ネシウス学園長は「最下位......魔法を放つ?」と深く考え込む。


「まさか.......いやそんな筈はない。あの方の性格上、すぐに復活を私達に言うのでは?」


「あのぅ?どうしたのですか?」


一人でぶつぶつ呟いてるネシウス学園長にルー先生は心配した様子で声を掛ける。

学園長はぶんぶんと首を振り、自分の仮定をかき消す。


「何でもない。それより、あなたはもう授業ではなくて?」


ルー先生は「あっ!」と気がつき、即座に部屋を退出する。


「魔王様、まさかあの少年が?確かに懐かしい魔力をしていたような感じはしたけど、そんな事はないか。普通に考えて、わざわざアランと言う名前を使わないでしょうし。」


誰もいない部屋にネシウスの声がただ残った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「しかし...........どうしよう?」


俺は街の中のベンチに座っていた。時はもう夕時、もうそろそろ学園の生徒たちも帰ってくる頃合いだ。恐らくあの後、リースとレイナは厳重警備が成されているだろう。


だとすれば、エリカ............何時帰ってくるか分からんし、適当に帰る生徒を盗み聞きするか。


俺は街中にいる生徒の会話に耳を立てる。



「知ってるか?今ヘイネが一緒にいるあの子、実はある生徒に奴隷のような扱いをしてたんだって。それでヘイネが、そいつから奴隷を止めさせろ~!って抗議してあの子を奪ったんだそうだ。」


「へぇ~。そんな奴この学園から消えればいいのに。」


「それが、もうそいつ退学処分を受けてるんだとよ。何やら学園長から直々に言われたらしい。」


「ならもう終わりじゃん。でも、ヘイネってさぁ周りにあんなに女の子がいるのにまたその奴隷扱いだった女の子を口説いたりするんだろう?まったく、僕には誰もいないのに。」


その男子生徒はガックリと肩を下げる動作をする。そして隣の生徒が肩に手を回し同情する。


「そう言うなって、俺も彼女いない歴=年齢だからさ、元気出そうぜ。」


「そういえば、その奴隷扱いさせられた子って何処にいるの?その学園を去った奴が襲うかもしれないのに。」


「それについては安心だ。なんだって、ヘイネが自分の家で匿うらしい。本当にいいよなぁ、あーあ美少女と同居とはね。」


その後の会話はヘイネに対する悪口や嫉妬だったので聞かないようにした。

俺は誰にも見つからなさそうな、廃墟の中に行った。ひとまず状況を整理しよう。


今現在、レイナとリースはヘイネの家にいる(あの男子生徒の言うことが本当ならば)

エリカは消息不明。ロントや元不良たちも分からん。

打開策は証拠を掴むこと。でもそんな策士的なことは俺には出来ない。だったら.............どうすんの?


詰み?


俺は外を眺めながら考えた。


その時、ぐぐぅぅぅぅ~とアランのお腹から空く音がした。


「やっぱりまずは食料とかか。よし、あそこ行こ。」


俺はとある場所へと向かった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





森の中、この森の真ん中には霧がかかって誰にもその中に何があるのかよくわかっていない。

だが実はこの中には木造建築された家が建っている。これは誰も解明されたことのない謎ではない。


ここは魔王軍の緊急避難先、俺は現在そこにいる。


何故かって?お腹が空いたからだよ。

俺は箱の中にしまってある非常食を手に取り、口を開けて早速食べ始める。

ん~、、なんか味気ない。まぁ非常食だしって言えば仕方ないんだけど。俺は水で喉を潤した。


「ん?なんだこの反応。あの霧のせいでよく分からないな。」


この緊急避難先にある特殊な霧。これには外界との接触や探知などを遮断する機能を持つが、こちらからの探知等も遮断してしまう。


俺はひとまず二階に登り、窓からこの空間に入って来る奴を遠目で確認する。


「ん~?ひとまず位置はここであっているようですが........」


「なーんだ、ロントじゃないか。」


「あっ!アラン様。」


俺は二階の窓から飛び降りた。ロントは急に現れたアランに驚くが、余程アランのことを心配していたのか「ほっ」と胸を撫で下ろした。


「心配しましたよ。先生に連れて行かれたからまさかと思いましたが、すぐに学園を去るとは思いもしませんでしたよ。」


「あぁ。別に退学処分が下されたから今すぐにでも出て行け!かと思ったから。」


「それでも良かったです。アラン様がいなくなってからは私共も敵と見られましたし、それについては特に問題はないのですが、ヘイネの奴がアラン様の有らぬ事を嘘ぶいているのには納得出来ませんでした。」


ロントは苦い顔をする。自分の尊敬している方が悪く言われてるのに平気な奴はあまりいないだろう。


「そうか、辛い思いをさせてしまったな。そういやレイナとリースがヘイネの所に捕まえられてるって聞いたが、それは本当か?」


「はい。悔しながら合っています。救出しようにも、我々には隠密に長けた者もおりませんので。補足しますと、イフンも同じく厳重警備の中にいました。」


「わかった。エリカの方はどうだ?」


「エリカ殿は私にこの場所に行け、と。エリカ殿は自分の成すべき事をしてくるとおっしゃっていました。」


だからこの霧の中を迷わずこれたのか。

ロントが片手に持っている地図を見て納得した。恐らくエリカが迷わないように渡したのであろう。


だがしかし、ロントが来たからって状況が変わる訳でもない。

だが確かな情報が手に入っただけでも重要な意味合いを持つ。


俺はひとまずロントを中に入らせ、今後の対策を練ることにした。


「さて、それじゃあ今後の対策を練るか。」


「そうですね。しかし、アラン様は今後の起こりうる出来事を予測して動いていたのでは?」


「ん?いやいやそんな芸当俺には出来ないよ。そこら辺はすべて配下の者に頼ったりしていた。と言うか俺は元から戦い専門のような事しか能がないからね。勿論、作戦会議とかちゃんと出席してたけど。」


ここで、一つ言っておこう。

アランが作戦会議に自らの意思で出席したのは今まで二桁にも及ばない。ほとんどの作戦会議にアランは「面倒だし、いっか。」と言って抜け出してしまう。


だから配下達はアランを特殊な縄で縛り付けて強制的に参加させた。いや本当大変でしたよ(怒)byアランの配下の一人、ソル。


「へぇそうでしたか。でも大丈夫ですよ、アラン様は戦い以外でも十分カリスマもあります。」


ロントに褒められて嬉しいアランであった。



これからもよろしくお願いいたします。

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