誘拐の真相
忘れてしまいそうなので、予約しときました。
ー翌日
登校している俺達に昨日襲い掛かってきた不良達の中にいた魔王学園の奴らがやってきた。
最初は何事かとロントも前に出て警戒心を高める。
すると不良達は何かの号令に掛かったように頭を下げてきた。
「すいませんでした!これからはアラン様の手足となり、何処までも付いて行きましょう!」
「あれっ?アラン、イフン君を助けに行ったのに不良達を仲間にしたの?」
「違うよレイナ。俺は別に何もしていないんだけど。」
「何をおっしゃいますか?あの阻害魔法領域の中でわざわざバカな自分たちの為に凄い魔法をお使いになられたではないですか。そんな殿方を私たちはこの世の誰よりも尊敬します。」
不良達はピシッと一心乱れぬ姿をキープしていた。
そうこうしている間も、周りの生徒にじろじろと見られているのが分かる。
「わ、分かった分かった。だから頭を上げて、周りの子たちにも見られてるし。うーむ。まぁ仕方ないか。それじゃあ、約束して。今後一切、他人に迷惑もしくは危害、その他の行為をしない事。したらどうなるかは君たちがよく知ってると思う。」
「はい!!この命をあなたに、そして全ての物はあなたに。」
こうして、俺は不良軍団のトップに立った。
いや不良ではなくなるか。
「うわっ、すげぇ。まるで百鬼夜行みたい。」
イフンが後ろから付いて来ている軍団を見て言う。
「百鬼夜行とか言うな。まるで俺が凄い悪者みたいじゃないか。」
「周りからはそんな目で見られているでしょうね。あーあ、私もとうとう悪者の手先になってしまったのね。」
リースは腕を頭の後ろに組みながらそんなことを言う。
そしてヘイネの一手が来たのは休み時間であった。
その時、俺達は廊下で今後の予定について相談をしていた。俺一人や、エリカとかと考えても多種多様な意見は出てこない。
「ふーむ。やはり周りからの視線が気になるな。明らかにあれは軽蔑や侮蔑などが混じってるような感じがする。」
「それにつきましてはこの写真が原因でしょう。」
急に現れたエリカが一枚の写真を手渡す。
そこには俺とロント、そして縄で縛られているイフンがまるで俺達に捕らえられているようだった。
俺がその写真を見ている間も周りの生徒からの視線がイフンへの同情があった。
「この写真が現在、この学園のあちこちに出回っています。早急に手を打たねば大変なことになると思われます。」
「うぇ。そういうことだったのか。それで、エリカはそんな俺と話して良いのか?」
「恐らくこの会話までは聞こえません。魔法を使いました。しかし、もうそろそろーー」
俺と話しているエリカの間に、一人の金髪の青年が手を入れてきた。
ふっと横を見れば廊下には数十人の女子がヘイネの後ろに警戒心を露にしていた。
ヘイネを見ると、身体中に包帯やら絆創膏やらを貼っている。
「一体何をしているんだね?まさか昨日のイフン君のように奴隷にするつもりかい?」
「は?お前こそ何を言っているんだ?」
「そんなはぐらかしても無駄だよ。この写真には昨日、イフン君を縄で縛ってそのお仲間の不良達と暴行を振るったことが明確に理解出来る。」
ヘイネは周りの生徒に振り返り
「みんな!僕の言うことを聞いてくれ。僕は昨日、イフン君を縄で縛り暴行したこいつらに勝負を挑み敗北した。だから君たちの力を貸してくれ!僕に悪人を裁く力を貸してくれ!」
その演説の言葉を聞いた生徒たちはヘイネの周りに移動してその内に闘志を抱いた。
「おいおい、そんな嘘よくつけるな。それにその名演技。さしずめ俺はお前の手のひらで泳いでいたって訳か。」
「どうやろうと無駄だ。ほら、みんな見てくれ!この写真に写っている不良達はあいつの味方をしてる。これが決定的な証拠じゃないか、貴方の方こそ嘘をついても無駄です!」
俺が後ろをチラッと見ると確かに今日誓った元不良たちが俺達の味方をしているようにその存在を強調している。まぁ端から見れば俺達が悪者だな。
「おい!お前、リースさんやレイナさんも不当な理由を付けて強制的に従わせているんだろ!離してやれ!」
ヘイネの周りにいる生徒の一人がアランに向かって大きな声を張り上げた。
これも思惑通りということか。
なかなか上手いな。こんな気分になったのも久しぶりだ。やれやれ、俺も心理戦とか策略戦とか苦手なんだけどなぁ。
レイナとリースが反論しようとするが、その時廊下に一際大きい声が響き渡った。
「何をしてるんですか!」
ピシャリと雑音が止み、静寂が訪れる。
その声の主はルー先生だった。ルー先生はぞろぞろいる見物人や生徒たちを押し退け、中心へと向かう。
「これは先生。お忙しいのにどうなされましたか?」
「ヘイネ君、この写真とその包帯。本物と言うことで宜しいのですか?」
そう言ってルー先生はポケットから写真を取り出す。
「ええ本当です。これは誓ってもいい位です。」
そのヘイネの真剣さを見てルー先生は判断した。アランの手を掴み、すたすたと歩き出したのだ。
「え?ちょ、先生何処に行くんですか?」
「すいませんアラン君。私の方も半信半疑なのです。だからひとまず学園長の部屋まで来てください。そこで最終的な決定をします。」
ルー先生は凄い悩んでいるのが一目で分かった。
あれっ?そう言われれば.........俺ってこの学園長の事.......知らない。
普通に誰かいるんだろうなぁとは思っていたが、詳しくは調べていない。まさか魔王軍の幹部とか、そこら辺か。
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ルー先生はコンコンッとドアを鳴らす。そして「入れ」と奥から返事が届き、ルー先生と俺はドアを開けてその学園長と対面した。
その灰色の髪はしっかりと整えられ、ちゃんとピシッと学園長らしい服を着こなし、その姿は威厳と尊敬に値する。明らかに上に立つ者、女王様のようだ。
胸はって?それを言うな。こいつはそのネタ系を言うと誰でも攻撃してくる。昔、魔王軍の幹部がちょっとそのネタを直接本人の前で言ってしまったんだ。
そしたらこの女王様はすぐに顔を変え、<超滅連獄炎>を平気で撃った。いやぁ、あの時はヤバかった。なだめたり、消火したりと......。
そう、俺はこの人を知っている。
大真面目も大真面目。魔族の中でもリーダーにしてしっかり物事をこなし、命令とあらば自害も無感情に行う。名をネシウスと言う。
「ほう、そやつがアラン。魔王の名を与えられし者か。最初は魔王様に対する無礼だとして見ていたが、存外似ているな。」
ネシウス学園長はアランのことをよく見る。
「で、お前をここに呼んだ理由も当然知ってるだろう。」
「はい、例の写真ですよね。」
「そうだ。この写真に写っている内容が本当だとしたら、私は学園長としての判断を下すだけだ。アラン・エリアルよ、この写真についての反論はないか?」
ネシウス学園長があの写真をアランに見せながら最終質問を問う。
隣で静かに黙っているルー先生も緊張しながら、アランの答えを待っている。
「今は特に言うことはありません。どうせ意味の無いのですから。」
「そうか。遺恨はないか.......」
ネシウス学園長は目を閉じ、少し考えて判決をアランに下す。
「ならばアラン・エリアル。貴公をこの学園から退学させる。」
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