転校生って?
お久しぶりです。
受験も落ち着いてきたので、今日から投稿再開です。
ルー先生は長いテーブルを置く。
「はい。それでは皆さんゴールデンウィークの宿題をここに出してください。勿論やってこれなかった生徒は居残りですからね。」
その言葉にクラスの男子が絶望のあまり、机に倒れ込む。
まぁあれだけ出されたら、ああいう風になるわな。俺だってリースが来なかったらここにいる男子のようになっていた。
ルー生徒は男子の様子を見て一体どういう事なのか察し、ため息を一つついた。
そして机に倒れ込んでいる男子の名前をすらすらと黒板に書いていく。
「こんなにも......。やはり多すぎましたか。でもあれ以上減らしたら上の人から言われるしなぁ。」
先生はまた一つため息をついた。
これ以上減らしたら言われる?一体誰が言うんだ?
こんなバカみたいに多い宿題を出すなんて気が狂ってるとしか思えんのだが。
「リース。やっぱりデモクレスにこの宿題の多さはおかしいと言っておこう。さすがにこの量はいじめレベルだ。」
隣にいるリースは「本当!?」と子供みたいに喜んだ。
小耳に聞いていたレイナは「え、マジで?」と顔をアランの方向に傾ける。
「ならさあ、この学園の食事システムも改良してよ。デザートのトッピングにある生クリームを無限にするとか。」
「無限?別に構わな.........」
アランが言い切ろうとした瞬間、後ろの席から「お待ちください!」と少し大きい声が聞こえた。
振り返って見るとロントが左手でストップを表していた。
と言うか。皆ロントの事、忘れた?
忘れたと言う人には説明しておこう。こいつは以前、俺に喧嘩を吹っ掛けてきて返り討ちにした所、自分を鍛えて欲しいと懇願して来たのだ。
理由は、この学園で絶対に負けたくない奴がいるんだと。
まぁ正当な理由だし俺も快く引き受けたって話だ。詳しい事は一章を見てね。
「ん?どうしたロント?」
「いえ。その行為はやめた方がよろしいかと。以前、レイナ殿はこの学園にある生クリームをほぼ食いつくしたのです。それからこの方は生クリームを学園側から制限されたのです。」
ロントがそう言うと、レイナは「ちっ」と舌打ちしそっぽを向いた。
え、?そんなに生クリーム食ったの?
何処かのハチミツ大好きな黄色いお人形さんも驚きだよ?
「そうだったのか。ありがと、うっかり口車に乗る所だったわ。」
「いえ、お気になさらず。この事はこの学園では有名な噺でしたので。それより、アラン様。なにやら転校生なる者が来ると先ほど職員室から聴きましたが、何か知りませんか?」
「転校生?そういえばさっき裏の出入口から誰か入って来たわよね?」
「ああ確かに見た。でもはっきりとは目視しなかったな。」
そっぽを向いているレイナ以外の三人は頭の上に?を浮かべる。
「それより皆さん。本日は転校生がこの学園に来ているんです。どうぞ、お入りください。」
「はい。」
ガラリと扉を開けて入って来たのは、黒髪を伸ば.......し.....て、凛とした.....?
おいおい、あれってエリカじゃん。まさかエリカ、デモクレスか誰かに言って無理やりここに入って来たな。家で大人しくしてるって思ったのに...............
エリカはすらすらと黒板に名前を書いていく。
「エリカ・エリードですわ。これからよろしくお願い致します。」
ぺこりと一礼をする。周りからは「エリード?」「魔王の部下の?」「綺麗~」等の声がぼそぼそと聴こえてくる。
「え~皆さん、ご存知の通りエリカさんはかの魔王様の腹心でいらっしゃったエリス・エリードさんの血を受け継いでいます。」
先生が説明すると、クラスの生徒達は歓声を上げる。
あの有名なエリスの血を受け継いでいるんだ。生徒だってお近づきになりたい筈だ。
ここでエリカは後々絶対に面倒になる発言をかました
「私がこの学園に来た目的はただ一つです。それは転生した魔王様を探し出し、一生お仕えする事です。魔王様は必ずこの学園にいらっしゃいます。しかし、その力はまだ覚醒していないと私は推測しています。ですから皆さん、魔王様発見に力を貸してください。」
エリカはそう言い、ルー先生から指定された席に着く。クラスの男子からは声援が、女子からは尊敬の声援が降る。
俺はすぐ<思考伝達>をエリカと繋ぐ。
(エリカ。これは一体どういう事だ?)
(そうよ、魔王様はここにいますし。なんで内緒で来たんですか?)
リースも<思考伝達>で入ってくる。
(内緒?レイナには言ってありましたけど...?)
エリカは首を傾げる。
(レイナ、まさかと思うけど生クリーム無限にしなかったから言わなかったのかな?)
(多分そうなんじゃない?今だって明後日の方向を向いてるし。)
(あ~あ。マジか。で、エリカさっきの発言どういう真意が?)
(うーん。なんと言ったら良いでしょうか........気分ですわ。咄嗟に思いつきましたの。今の発言で、もしかしたら自分は魔王じゃないのか?と思い込む輩が現れたら、面白い展開だなぁって。)
エリカの真意を聞いたアランは机におでこをついた。
(凄いわね、ちょっとした遊び感覚でそれを思いつくなんて。)
(褒められて光栄ですわ。時に、この学園に在籍している間はお互いに他人同士になりません?その方が周りの方々にもこの関係を話さなくて済みますし。)
(そうだな。)(私も同意よ。)
(レイナには昨日伝えておいたし、別にいいですか。今はちょっと不機嫌ですけど。)
アランは授業中、思った。
生クリーム無限とかどんなけ食うんだ?やっぱり学園潰れるクラスか?
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ー休み時間
やはりエリード家というのもあり、様々な生徒に囲まれているエリカであった。
俺は後ろのロッカー付近に立ちながらその光景を見ていた。
「君は話し掛けなくていいのかい?」
アランに話し掛けたのは眼鏡をかけた青年だった。
「ああ。特に話し掛ける用もないしな。お前はいいのか?お近づきになるいいチャンスだぞ?」
「いや僕はちょっとねぇ。眼鏡付けてる男子にはハードル高いよ。子供の時から家に引きこもってた自分にはね。」
「ほう、それで自分はその魔眼鏡であの子のレベルを観察ってか。」
アランが微笑すると青年は動揺した。
「よ、よく分かったね。今まで先生にもバレずに来たのに。どうして?」
「簡単だ。昔から自分の魔眼の悪さを補強するのは魔眼鏡と相場が決まっている。お前、恐らく弱視だろう。それも酷い。辛いだろうな。特殊なレンズを通さなければ世界が見えないなんて。」
青年の目から涙がこぼれ落ちる。それを青年は拭う。
「はっはっは。まさかそこまでお分かりですか。これはお手上げですよ。いやぁ貴方とは良い関係が持てそうだ。僕はイフンと言います。」
「俺はアランだ。」
二人は握手を交わす。
「それで、あの子のレベルはどんくらいなんだ?」
「いやぁこれは凄いですよ。魔力の質、量、すべて自分と桁違いですね。しかもまだこの魔眼鏡では測れない程の何かを持っていますね。」
「へぇそりゃ凄い。」
俺達がそう話してると、急に前の扉が開き誰かが入って来た。
髪は金でその佇まいはさながらモデルのようだ。
廊下まで一緒にいたのであろう女子達は扉の手前で待っている。
そいつを見た途端、ロントは急に席を立ってそいつの通り道をその身で塞いだ。
「一体なんだね、私は君には用はないんだが?」
「お前がなくてもこっちにはあるんだよ。もっかい勝負しろ。」
「勝負?ははっ何を言っているんだい?前にあれだけ無様に負けたんだ。もう戦わなくとも結果は見えている。私はそこの素敵な女性に興味がある。」
そいつはロントの体を無理やり退かしていく。そしてエリカの目の前でマジックをするように右手で赤い薔薇をエリカに手渡そうとした。
「やはりこの目に間違いなかった。貴女はここにいるべきお人ではない。どうぞ私とご一緒に、この薔薇を体の何処かにお付けください。」
「いえご遠慮しときますわ。」
エリカは薔薇をその魔力にて小さなタンポポに変えた。
「私は魔王様を探し出すという使命がございますので。」
きっぱりと断られた男子は少し残念そうな顔をするが、すぐに笑顔になりその場を出て行こうとした。
しかし、アランの存在を見ると
「へぇ。」
と品定めするように見て、帰っていった。
「アラン様、気をつけてください。あいつはヘイネ。さっきこの学園に帰って来たばっかりで、俺の倒す目標です。」
知らない間にポイント上がってたら、嬉しくなるよね。




