ある組織の某日の対談
皆さまお久しぶりです。
今回は大晦日ですし、閑話を投稿します。
ーアランとハイムが邂逅した日の夜の某国の屋敷にて。
ハイムはその屋敷の階段を降りる。コツコツと足音が聴こえ、物静かなのが分かる。
降りきると、そこには白髪混じりで老人なのだが、しっかりとした意思のこもった目をした者が座っていた。
ハイムが来たのを気づいた老人は視線をハイムに向けた。
「おお、ようやく来たか。で、戦果はどうした?」
「ない。あの封印されてた奴も目覚めていたし、その娘にも感ずかれた。全て失敗に終わった。それで、どうするよ?ネルクレスの爺さん。」
ネルクレスと呼ばれた老人は一瞬顔を歪めるが、すぐに通常の顔に戻す。
「そうだのう。しかし、あの子がいなくなってしまった時に来たあの子は任務を遂行しているか?」
「ん?あぁそれなりには。見張りをちょっと目を離す時もあるが、まぁ合格圏だろ。」
ネルクレスは「ほう」とハイムを見た。
「あの他人には厳しいお前が、あの子をそこまで高く評価しているのか。よもや...好いてるのか?お主はああいうさばさばとした性格が良いのか?」
ハイムはその言葉に機嫌を悪くさせる。
「違う。ただあいつの魔技を評価しているのであって、あいつの事を特別視してる訳じゃない。」
否定するハイムにネルクレスは疑惑の眼差しを向けるが数秒後には止め、話題を変える。
「で、本題に話は変わるが良いかね?」
「ふっ。お前が変に話を変えるからこんなに時間がかかったんだろ。」
「よしよし、分かった分かった。それでは本題に入るが、近々ヘイネと言う奴が魔王の通う所に行くらしい。そのヘイネは、明らかにあやつの入れ知恵が入っている。」
「知ってる。一応弟にも忠告しておいた。」
「おおそうか。なら話は早い。ヘイネを監視し、何かあれば報告してくれ。その為の費用等は私が負担しよう。だが、余計な買い物はやめておけ。」
ハイムは「へいへい」と軽い返事をした。
そしてハイムは帰ろうと階段に向かう。
「さて、私は集会に出席するとしよう。」
「集会ね.......まったく、よくあんな怖い顔したやつに出席出来るな。俺なら即効で殴ってる。ご機嫌取りなんて絶対やんね。」
「まぁまぁ。案外ご機嫌取りも慣れれば楽しめるぞ?」
ハイムは帰ることで返事を表した。ネルクレスはそんなハイムに「ふふっ」と笑い、転移した。
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転移したネルクレスがいたのは、丸いテーブルに椅子が並んでいる場所であった。
円卓と言う言葉が一番相応しい。
他にも様々な格好をした者達が次々と転移し、椅子に座り始める。
ネルクレスも早速席に着いた。
「え~今回も美しい月が昇るーー」
「そんな定例挨拶はいいから、早く本題に入ってくれねえか?」
場を仕切るように命令された男は、今の発言に対して一瞬睨み付けるが言う通りにする。
この場ではその力と地位だけが通用する。逆らってしまっては、死しか待っていない。
その無愛想な男は足をテーブルに乗っけ、退屈そうに座る。
その姿に、別の椅子を座っている女が舌打ちをし文句を言う。
「はぁ。このくらいの時間も待てないのかしら?本当に子供なのね。」
「ああ?」
「まぁまぁ。人の性格も千差万別ですし、良いではないですか?お互い気にしなければ良い事。」
言われた男は言い返そうとするが、それをネルクレスが止める。
今すぐにでも喧嘩しそうだった二人はその言葉を素直に受け取る。二人はネルクレスを敵にした時の厄介さや、その実力を知ってるからだ。
二人の衝突が止まり、静けさが戻ってくると「ゴホン」と言う咳払いをし、司会をする男が話始める。
「今回の議題は、今日発見された魔王の復活に対してです。」
「魔王」と言う言葉に円卓にいる全員がどよめき出す。
「本当か?」「まさか?」「倒せるのか?」などざわつきが隠せない。
その状況を見かねた一人の男がため息をつき、
「静まれ!!」
と鶴の一声を放った。
その一声にざわついていた者達は静まる。その男は司会に向かって顎を動かす。
司会は「はい」と頷き、話を続ける。
「ですので、今日の議題の内容は魔王復活に対しての対策です。」
「その点についてなんだが、ちょいと俺の案を聞いちゃあくれねぇか?」
片目をいつも瞑った男が席を立つ。そして指を鳴らす。
すると、暗闇の奥から一人の青年が現れた。髪は薄い金色でその笑みは様々な女子を魅力するであろう。
要するにイケメンだ。立ち上がった男はイケメンを指差し
「こいつをその魔王の通う所に送りこむ。そして女子どもを魅力させる。そうなりゃ、その魔王だって嫉妬する筈だ。そこをつついて...........後は分かるよな。」
その提案に円卓の者達は「おおっ」とそのアイデアを採用した。
全会一致で無用な争いを行うでもないこの提案は珍しかった。だが、その中手を挙げた者がいた。
「ちょっといいかの?」
ネルクレスだ。
「そちは、その青年に何を施したのかね?抑えてるようだが、その異形の力。他の者が見えなくとも私には見えておるぞ。」
「おっとこれは重要な事を言うのを忘れてしまった。ネルクレスさんの言う通り、こいつには異形の力を宿してもらった。神の力の末端をな。なあに、安心してくれよ。この通り安全だ。」
ヘイネの背中がパンッと叩かれる。
ヘイネは微笑をした。
ネルクレスはそのヘイネの微笑に鋭いを向けるが、ここで突っ掛かっても何も出てこないので止める。
「神の末端か。よく成功したな。そういや、あの実験は失敗が多くて廃止させたが.....。」
鶴の一声を放った男がどこか悲しむように言った。
その発言に提案した者以外の円卓の一同は暗い顔を浮かべる。各々思う所があったのだろう。
しかし、ヘイネを紹介した男はパンッと手を鳴らす。
「それについては謝ろう。だが、この実験は成功した。現にこの子がいるではないか!」
その言葉に円卓の一同は、ネルクレスと意見が一致する者以外頷いた。
「なら何も問題はない。予定通り、明日ヘイネを学園に主席させる。元々ヘイネは学園の生徒だったし、何も問題はない。」
「それでは、その案は可決と言うことで良いですかな?」
その場で味方に付けれる人数で負けているネルクレスは何も異論を言えなかった。
元旦にも一話作ったのでお楽しみあれ。
毎日書き溜め生活、頑張ってますよー




