再会
「お兄ちゃん...か。久しく呼ばれた事なかったな。そうだ、アラン。久しぶりだな。」
男は仮面を外す。確かにその風貌はアランに似ている。やはり兄弟なのだろう。
アランはその姿を見て驚きを隠せない。
「千年ぶり...だね。最後は転生する前だったっけ。」
「そうだった。ふっ、懐かしい。もうあれこれ千年か。待ち遠しく感じた。」
「それで、千年ぶりに会ったと思ったらこんな再会の仕方をするとは。世の中分からないな。何が目的?答えによっては、全力で掛からなくちゃいけないけど。」
「アラン様。この人は?」
「そういえば言ってなかったか。この人は俺の兄、ハイム・イェーデルホルム。そして俺と同じく<零の弾丸>が使える。」
「使えると言っても、お前はただ俺の作品をパクっただけだがな。まったく、真似する事に関してはお前は素晴らしい結果を出すな昔から。」
ハイムの言う通りだ。アランの持つ銃は、アランが青年時代の時パクり、自分用にカスタマイズしたのだ。一応説明するが、リエスベスタは違うぞ。
「しかも俺が受け取る筈だった魔王の座を奪いやがって。この怨念は永遠に消え去る事はない。」
「魔王の座を奪う.....?」
「奪うって言うかなんかなっちゃっただけだけどな。お兄ちゃんはまだそんな事で恨んでいるのか、成長しないな。やっぱり魔王はお兄ちゃんじゃ駄目だったって事だろ。」
ハイムの魔力が、アランが「お兄ちゃん」と呼ぶ時に段々と上がっていく。
「<超滅連獄炎>!!」
「おっと危ない。」
<魔法障壁>を発動し、ハイムの灼熱の炎を防ぐ。
「お兄ちゃんと呼ぶなと何度言ったら分かるんだ。」
「分かった分かったお兄ちゃん。それで目的は?」
「至極簡単。さる組織からの依頼だ。その娘とその娘の父の身柄の拘束。そして強奪する事だ。分かったか?」
そのハイムの言葉にアランは眉をひそめる。その顔にハイムは満足したように笑みを浮かべる。
「どうした?この兄に刃向かうからって怖じ気づいたか?」
「いや別に。お兄ちゃんってそんな組織に使われるような奴だったっけ?って思って。普通なら顎でそういうのを命令させるような人なのに、珍しいね。」
「ふっ、怖じ気づかぬか。なら戦うしかないな。」
ハイムの魔力がさらに上がっていく。戦うと分かった途端、魔力が上がるなんて戦闘狂のようだ。
と言ってもハイムはアランと戦うと分かると戦闘狂になるのはアランが一番よく知っている。
俺が魔王になる前からこの戦闘狂は変わらなかった。まぁ俺が魔王になってからより一層その戦闘狂の度合いが増したように感じたけど。
「先手必勝!」「<超滅連獄炎>」
「最初から激しいな<防魔法障壁>」
エリカを<零の弾丸>で近づけさせないようにしながら、アランが放った三つの灼熱の炎を、その魔力で造られたより高レベルな魔法障壁で防いだ。
しかし、アランの三つの<超滅連獄炎>は止められなかった。
ハイムの<防魔法障壁>は壊れ、その余波と余熱で吹き飛ばされそうになるのを歯で食い縛りながら、特大な<寒零度吹雪>を撃ち、その余熱を零度の吹雪で押し返した。
「アラン様。危険です。」
エリカはアランの前に立ち、ハイムが押し返した<寒零度吹雪>を槍にて切り裂いた。
バシュンッと音が鳴り、吹雪が消え去る。
ハイムはその吹雪が消え去る瞬間を待っていた。
それは必ず視界が吹雪の白でいっぱいになるからだ。
「まずは一人。」
ハイムはトリガーを引く。パンッと音が鳴る。ハイムは驚いた。吹雪で向こうは対応出来ないと思っていたのだ。だが実際はどうだ?
アランの方も零の銃を持ち、トリガーを引いた。
互いの<零の弾丸>が浸食し合う。そして互いの弾丸は空中で砕けた。二人の魔力がほぼ同じになっている証拠だろう。
その結果にハイムは苦い表情をする。
弟であるアランと対等な魔力だったのが悔しいのだ。
ハイムは<深淵なる暗光>と<強制拘束鎖>を同時に放ち、二人の動きを封じようとするが、アランはリエスベスタに武器を持ち変え、迫りくる浸食する暗光や、鎖をかわしていく。
強い魔力を宿した鎖がアランを拘束しようと向かってくる。その時、エリカが吸血鬼だけが使える特殊魔法<血対価戦雷電>を唱える。
この魔法は自分の血を源とし、魔力を帯びた紅い雷を発生させる。
バチバチンと音が鳴り、アランに迫る鎖を壊す。
「ありがとう!」
「お褒めに預かり光栄ですわ..っと!」
エリカも自分に迫りくる炎をその槍で消滅させる。
アランの所よりかは、数が少ないがやはりそこはアランの兄だ。魔力の質、魔力の込め方、全てにおいてレベルが高い。相殺するのにも一苦労する。
アランの方はリエスベスタを構え、ハイムと剣が届く距離まで近づいていた。
「速いな。だが、」
「だが何かな?」
ハイムはアランが自分に近づく前に<零の弾丸>で倒そうと考えていた。あれだけ魔法を連発したのも、エリカを自分の近くに来させないやら、あわよくば拘束と考えたが、本命はアランの行動を阻害し、零の銃で仕留めようとしたのだ。
だが、このハイムの考えはうち壊された。
なんとアランは自分の後ろに<前方爆散>を使用し、その吹き飛ばされる勢いでハイムに斬り掛かって来たのだ。
「ちっ。<防魔法障壁>」
ハイムはリエスベスタに向かって魔法障壁を三枚も展開するが、リエスベスタはそれでも止まらず、ハイム自身の零の銃を盾とする事でようやく止まった。
カキンッと金属の当たる音がした。
「ここまでとはな。正直驚いた。」
「まだまだですわよ、お義兄さま。」
ハイムは横から飛んで来る大きな紅い雷を左手で<防魔法障壁>を展開して防御するが、その分右手にのし掛かるリエスベスタを受け止め切れず、ハイムは押し返させられた。
ハイムの横腹に縦の斬り傷が入る。その傷からはどくどくと血が流れる。
「あれ?回復魔法は掛けないの?」
「お前はその魔法を掛ける暇も与えさせてくれないだろう?」
ハイムがそう言う間も右からリエスベスタ。左からエリカの槍突きが往来し、回復させる暇もない。
このままではハイムの不利は圧倒的だ。
そこでハイムは奥の手を使用する。
ハイムの身にある魔力は次第にその濃度は濃くなり、また、その量も上がっていく。
「この波長は.....?......ヤバっ。エリカ、一旦下がる!」
「承知致しました。」
アランとエリカはハイムと数メートル下がった。ハイムの魔力がおかしくなったのだ。試しに風魔法<裂突風>をハイムに向かって撃ってみる。
相手に切り傷を与える魔法の風はハイムの周りに来た途端、バチンッと言う音を残し、消えていった。
(これは不味いな。お兄ちゃんは奥の手を使うつもりだ。あれを使われたら面倒なんだけど。)
「ふぅ。ひとまずこの位か。」
「めんど。とりあえずエリカ。あの魔力には気をつけて、あれは触れた万物や魔法を無くすような感じだから。」
「はい、分かりました。<零の弾丸>を常に纏っている感じでよろしいですか?」
「そうそう、そんな感じ。」
今ハイムは、<零の弾丸>に回す魔力をその身に纏っている。
ここで説明しておこう。
アランの母親は普通の魔族ではない。とある病気なのだ。名を「暗魔濃先天性」と言う。産まれながら、その身では受け止め切れない量と濃度の暗黒魔力を宿していた。
そしてその暗黒魔力で幼少の頃から苦しめられていた。しかも大人になる前には死んでしまうと告げられた。しかし、アランの母親はその余命宣告を乗り越え、大人になった。
そしてアランの父親と出会い、子供を産んだ。だが、不幸な事にその暗黒魔力は子供達にも宿った。母は酷く悲しんだ。自分の子供にも私のような思いをさしてしまうのかと。
たが母の子供達は、母の思っているよりも強い心を持っていたのだ。なんとその自分の身に余る暗黒魔力を銃の弾丸にし、排出するというアイデアを実現させた。しかも子供達は暗黒魔力を使いこなすまで至った。
ハイムはその暗黒魔力を身に纏うレベルまで至った。アランは、以前ハイムの作り出した銃を自分用にカスタマイズし、己の最大の武器にした。
「どうした?こないのか?」
ハイムは自分の拳と拳を合わせる。そう、ハイムは拳で戦うタイプだ。
「うーん。まぁ戦いたいんなら戦うけど、それより.........あっち向いた方がいいんじゃない?」
「は??」
アランはハイムの後ろの空中を指差す。ハイムはただの嘘かと思ったが、その考えはうち壊される。
「おっりりゃゃゃーー!!」
後ろ.......アランが指差した所からエリスが現れたのだ。
な.......なに?
累計pv一万越えただと.....嬉し過ぎる。
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