表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/154

ただいま、現代 

「もうよいか?」


「あっ!そういや忘れてた。」


ミラは「はぁ」とため息をつく。そう、ようやく現代に帰る時が来たのだ。先日の魔王城見学を終わらせたので、もうこの時代でやる事もない。


アランは、見送りに来た過去の自分の前に立つ。


「ふぅ。まぁ分かってはいたが、寂しいものだな。」


「そう言うなって。未来までくれば、きっと思い出せる。」


何をやり始めるのか分からない女子達は顔を合わせあう。


「アラン。一体何をするの?」


「ああ言っていなかったな。現魔王の記憶をちょっといじるんだ。」


「いじる?.........まあそうか。当然の判断だ。」


「??」


ミラは納得したようだが、他のメンバーは理解していない。

すぐさま魔王の隣にいるデモクレスが説明に入る。


「ごほんっ。どうやら理解しきれていないご様子。私の方からご説明致しましょう。もしここで過去の魔王様が、未来から来た皆さまの事を記憶したままですと、あなた方のいる未来が変わってしまわれる可能性がございます。」


「未来が変わるって、具体的にはどのように?」


エリカが質問するとデモクレスは答える。


「それについては、詳しく解説出来ませぬ。未来は無数に存在します。一つ仮説を建てるとするならば、このまま記憶を保持しながら魔王様が進むと、吸血鬼の暴走を止めるすべがなく、そちらにいるエリカ様が助けられなくなってしまいます。」


「エリスさんを自分が殺したから、アランは暴走を止める魔法を開発した。もしエリスさんが生きてるって知ってたら、そんな魔法開発しないかも知れないって事かしら?」


「はい。完璧です、リース殿。」


「別に今の俺がその魔法陣を教えれば、何ともないんだろうが、それではやはり魔法精度が落ちてしまう。人から教わるのではなく、自分で開発した方が完璧に使えるだろうな。」


「分かりましたでしょうか?なら始めましょう。」


俺は魔王の頭に手を当てる。


「<忘却塗記憶(アンメモリアル)>」


アランが魔法を唱えると、手が青白く光り魔王の記憶を別の記憶へとすり替えていく。

すり替える内容は三つ。


エリスを殺したのは自分だと認識させる事。俺達の存在を、ただの通りすがりの旅人だと記憶させる事。ここ最近の出来事をあやふやにさせる事。


あやふやにさせておくと、思い出す時に怪しまれない。

すっぱり無くすと怪しまれる恐れがある。敵の魔法に掛かったかも知れないとか余計な詮索をすると、この魔法の効力を失われる可能性だってある。


俺は記憶を改竄し、ひとまず魔王を眠らせた。

起きた状態にするとパニックを起こすかもしれないし、面倒だ。


「さて、後はデモクレスだな。どうしよう?」


「なら私が魔法を使ってやろうか?」


ミラが一歩前に出る。


「私なら正確に記憶を操作出来る。この老人の記憶を都合良い物に変えればいいのだろう。任せておけ。」


ミラはデモクレスに<忘却塗記憶(アンメモリアル)>を掛ける。


「ねぇ。なんかミラって子さぁ、アランに倒されてから素直に言うこと聞くよね。」


「強者に従うのは当然ですが、ミラと言う子は世界なのですから別に反撃の機会はいくらでもありますのに。」


「やっぱりそう思うよね。何かあるのかなぁ。」


「もしかしたら、私達の想像している性格じゃなくて、もっと義理堅い性格なのかも知れませんね。」


「だとしたら結構驚きだよ。」


「あり得うる事ですね。」


後ろからひそひそ聴こえてくるが、そんな事気にせずにミラはデモクレスの記憶を操作していく。一分もしない内に作業を終えたミラはデモクレスから離れる。


「これで用意は済んだ。もうじきそこの老人は目を覚ますだろう。それじゃあ行くぞ。我の近くに集まれ。到着時刻は、お前らが過去の時代に跳んだ三日後に設定しておく。」


「了解した。さてさて、覚めたら未来でしたって、エリスの奴びっくりするだろうな。」


「楽しみですか?お父様に会うのは。」


「そりゃまあ。でも千年も会っていないんだ。話が噛み合うか不安だけど。」


「アランって人見知りなの?」


リースは手を腰に当てながら首を傾げる。レイナも「確かに確かに」と同調する。


「うーん。よくわからんな。でも確かに俺って自分から話しかけるような存在じゃなかった気がする。」


「リースが言うように、アラン様は人見知りでしたね。大体相手の方から話しかけていました。ある程度仲良くなると自分からと言った形でしょうか。」


「あ~よくいる、最初の一歩が踏み出しずらい人。」


話が盛り上がりそうになると、ミラは「パンッ」と手を叩いた。

要するに早くしろって事だ。


ミラの周りにみんな集ると、俺達の体がだんだんと透けていく。これが転移している途中なのか。時間転移とかスゲー。ミラの領域までいくとこんな事も自分で行えるのか。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ん?こ..こは?」


「あいたた。」「い..いった。」「いったた。」


時間転移から目覚めるとそこは過去に行く時に使用した機械の周りにいた。

しかし.....なんで頭が痛いんだ?時間転移した影響なのか。見た所、他の三人もみな一応に頭を押さえているし恐らく合っているだろう。


エリカが起き上がり、皆の安否確認をする。


「一応全員揃っていますね。」


「良かった。と言っても、失敗する可能性は0だけど。てか、この後はどうするの?」


「ひとまずはエリカの家に行こう。エリスを起こしたい。」


「そうと決まれば転移だね、エリカお願い。」


レイナが声を掛けるとエリカは転移の魔法を発動させた。

空間が歪み、景色がエリカの家の前まで移動する。そこからは、各自部屋に行って現代のベッドやソファーを楽しんだ。


過去の時代ではふかふかのソファーとか無かったからその分も含まれているのだ。





ーーそしてその夜。




テーブルに魚や肉料理が並び、久しぶりの現代料理を皆は楽しむ。その様にエリカの執事イルシュは驚いていたけど。


「そういえば、エリカのお父さんは起こさないの?」


「明日にでも起こそうと思う。今日はちょっとゆっくりしたかったし。別に今日やらなかったからって、離れる訳でもないんだ、大丈夫。」


「そうですね。ほらあ~ん♪」


エリカがぐいぐいとスプーンをアランの口に押し付けようとするのを止めさせて、アランは肉料理を口に入れる。レイナは現代料理に夢中になってるので見られてはいない。


「と言うか、エリカのお父さんって何処に眠っているの?」


「それにつきましては私がご説明致しましょう。」


執事のイルシュが説明に入る。


「エリス様はただいまここの地下におります。アラン様しか解けないような封印が扉にもありますので一体何者でも通れないでしょう。」


「て事だ。安心していい。」


それからは何でもない話で盛り上がり、何でもない事で笑い合う時が続いた。そして時は過ぎ、皆寝静まる頃.......



エリカの寝室にて、蠢く影があった。


それはそろりそろりとゆっくり寝ているエリカに近いていく。誰にも分からないように音を立てずに。ようやくエリカの側まで来たと思ったら、その影はエリカの体に手をかざした。


何かの魔法陣がそこにはあり、エリカの体を蝕もうとする。


その時、影の後ろ側から三つのトライアングルに魔法陣が展開され、<貫魔王突槍(カイ・スピネル)>が解き放たれた。


影は突然の魔法に驚くが、冷静な判断で防御魔法を設置する。しかし<貫魔王突槍(カイ・スピネル)>を防御魔法で受け止め切れず、後方の窓へその影は吹き飛ばされる。


空中で体勢を整え、ストンと地上に降りた。


「やっぱり来ると思った。もうそろそろ明かしてもらうぞ。」


魔法を撃った本人は同じく地上に降りる。それはアランだ。続いて寝ているふりをしていたエリカ。何かあったらすぐに動けるようにしていたレイナやリースが姿を見せる。


「二人とも、すぐにエリスの所へ向かってくれ。このままではあいつも危険だ。」


「了解!」「分かりました。」


二人はすぐにエリスの所、地下へ向かう。エリカはアランに寄り添うように体を近づける。


「おっと、仮面をしてるから動揺してるのか分からんな。」


「そうですわね。よろしければその仮面を取ってくださらなくて?」


エリカは槍を取り出しながら言う。

仮面をした男?はただそこに佇んでいる。まるでアランとエリカを見定めるように。


「答えはノーか。まぁ分かってたし、無理やりにでもその仮面を外してやるか。」


アランは早速<深淵なる暗光(デーモンレイズ)>を目の前にいくつも描き発動させる。深淵のような暗い光は真っ直ぐ仮面の男に向かう。


仮面の男は向かってくる<深淵なる暗光(デーモンレイズ)>の対抗魔法<純愛なる明光(サイネルレイズ)>を使用し、完璧に相殺した。


だが仮面男は気づいた。アランの隣にいたエリカがいない事に。


「遅いですわね。」


エリカは仮面男が魔法を発動する隙に、仮面男の認識外に走った。そして今、仮面男に一突きしようと槍を突き出した。だが仮面男は懐から銃を取り出して、それを盾にして槍を防ぐ。


カキンッと言う音が鳴り響く。


「ん?それは....くそ!エリカ!」


「??」


仮面男はすぐにエリカの槍から逃れ、後方に飛び退きながら銃のトリガーを引く。

その弾はアランが咄嗟にエリカを庇いながら飛び、ギリギリの所で回避出来た。アランがここまで身を盾にして守ろうとしたのには訳がある。


その仮面男が撃った先を見れば、元から何もなかったように地面が抉られているのだ。


そう、アランの持つ<零の弾丸(エンドオブゼロ)>とまったく同じような効果を発揮しているのだ。


「こ...これは...<零の弾丸(エンドオブゼロ)>?」


「マジか。まさかここで会うとは思っていなかった。なぁ、()()()()()。」



さ、、寒い。なんか最近冷え込みますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ