表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/154

想う気持ち 

休日なのでお早めに出します。

エリスの体は闇の衣に包まれ、エリスは安らかに眠る。

死んでいる訳ではない。呪いだ。


単純に呪いと言っても様々な種類がある。

今回使用したのは、呪いの中でもあまり害がない方だ。その名は[呪縛]。その効果は名前の通りに対象を長い間覚めぬようにする。


他は[呪死]、これは一定時間後に対象を殺す呪いだ。これに掛けられた者は、相当な代償を払わなければ確実に死ぬ。例えば、自分の魔法を一生涯使えなくすれば、逃れられるかも知れない。


[呪毒]、これは対象にじわじわと治らない毒を掛け、ゆっくりと殺していく呪いだ。助けを呼ぼうとも、呪毒のせいで声が出せない。


ここまで聞けば、凄まじく怖いと思うだろう。しかし、呪いは相手に相当な怨みがなければ発動しない。本来、呪いと言う物は、人の憎しみ、怨み、妬み、嫉妬、殺意、それらが重なりあいその目に見えぬ思いが、事象を起こす。


一応言っておくが、呪いは、掛けた相手が何らかの行為で克服すればその呪いは、行き場を失くし自分に返ってくる。


「凄い安らかな顔をしておりますね。」


「確かに。でも俺達にとってはもうすぐに会える。現在の時代まで帰ればそこでエリスを復活させる。これで終わりだ。」


「で、アラン。この後はどうするの?エリスさんを運んで............」


レイナはエリスの安らかな体を見ながら言う。

リースも「うんうん」と頷き


「まぁ。多分このあともここに居続ければ、厄介者だし、エリスの体をどっかに運んで後処理をちょいとして現在に帰ろうかな。帰りはお前が運んでくれるだろ?」


俺は目線をミラに変える。ミラは「えー私?」と言いたげな雰囲気を出し


「はぁ。ま、いいか。どのみちお前らを強制連行するつもりだったし。帰る時になったら呼べ。それではな。久しぶりにワクワクした戦いだった。」


ミラはそう残し、空気に溶けていった。

なんとも掴みにくい存在だったな。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





そして時は夜になり、魔王のテントの中。


「作戦は成功した。心を楽にしていいよ。」


「ふぅ。そうか。良かった。予想以上に深手を負わせてしまったから心配していた所だ。これからは寂しくなるな。エリスがいなくなれば。」


暗いテントの中で魔王はこぼすように言葉を吐く。


「なあに。安心しろって。面白い奴らがこれから待ち受けているかな。大切な仲間が。」


「そうか。楽しみにしておこう。時に、今後の予定を聞きたいんだが。もし、もう少しこの時代に残るんなら手を打っておくが。」


「そうだな.........後1,2日は居る。色々とやりたい事がある。みんなはこの時代でしかやれない事で、やりたい奴はないか?」


「そうですね。この時代.........うーん。やっぱり一人の魔族として、魔王城をお目にかけたいですね。一人の魔王ファンとしても。」


リースは言わずもながら魔王ファンらしい。

その魔王が目の前にいるんだから、ちょっと俺としても複雑な気分だ。しかし、レイナもそうだったが、魔王城と言う物はやはり見てみたい歴史遺産なのだな。


俺としては、あんな武装要塞なんて平和になるんだから別に壊してもいいと思っていたのだがな。抑止力となるのは魔王軍で充分だ。いや、そんなものも要らない時代が一番良いのだが。


「そうか。それならば、今日はここで泊まるといい。でも外へは出ない方が良い。空気がどんよりし過ぎていて、兵士も対応に困ってしまう。」


「確かに。ここで明るい雰囲気をして話し掛ける程、私も馬鹿ではないよ。」


レイナもここは自重してくれるようだ。

そして俺達はテントへ戻り、すぐさま寝た。明日はリースの魔王城見学もあるし、何よりミラとの戦闘が疲れた。あそこまで本気を出したのは久しぶりだった。


俺は寝床で明日どうリースに魔王城を説明してやるか考えていた。

そんな時、ふと目が覚めた。普段、奇襲用に感知させている魔力探知に誰か引っ掛かった。


俺はその位置へ足を運んだ。一体誰がいるのかは分かっている。

そして何を言いたいのかも感ずいている。


「やはり来てくれると思いましたわ。」


満月の夜空に照らされて、黒髪を伸ばし、嘘を言えばすぐに見透かされそうな目をしている少女がそこにはいた。エリカだ。その姿は月光の効果もあり、美しい。


「当たり前だ。エリカの魔力は探知しやすい。特殊だからな。で、何の用だ?っと言っても分かるけどな。」


「あら。アラン様も人並みにはそういう機能が発達してこられたのですね。昔はあんなにも子供だったのに。可愛いかったですわ。ちょっと抱きしめると顔を赤くする姿とか。あっ今でもそうですものね。」


エリカは想像するように身を抱きしめる。アランは咳払いをして


「話が脱線し掛かっているぞ。」


「ん?ああそうでした。ふふっ。アラン様も特殊ですわね、女の子の方から言われたいだなんて。普通は男の方から言うのに。」


「い、いや別にそういう訳じゃない。ただ......ちょっと言いずらいと言うか....」


「言いずらいですかね?私はバンバン言ってますけれど。それではアラン様。いいえ、アラン。アランの言っていた罪は消え去りましたわ。だから受け入れてもらえますかね?私は正直にアランが好きです。これ以上なく。」


人生で告白されるのはこれで一体何度目になるのであろう?

しかも、一人の女性から。


俺が転生する前も言われ続けていた。「好きです」「愛してますわ」「私は浮気なんてしませんよ?」など、多数にわたって。


あの時は、エリスを殺した自分が憎くて仕方なかった。だからエリカからの好意が来ても、追い返していた。自分には近づかなくて欲しい。どうして俺の事をそんな目で見つめる?


憎しみの目で見つめない?もっと俺を恨んでいてくれ。


そんな形で今までやってきた。


しかし、今現在。エリスは救われ、何もアランにはツミ()がない。


「もう何も無いのです。それならば、私のこの気持ち、受け取ってはくれません?」


エリカはそっとアランに近づき、自分の胸を左手に置き、右手をアランの胸にそっと置く。

俺の鼓動は早くバクバクと動いている。対してエリカはトクンットクンッと優しい鼓動をしている。


わからない。俺には()()()()()、恋愛感情が理解出来ない。決して嘘を言っているのではない。


知らないと言ったら、少し語弊がある。知れないの方が正しい。


アランは昔、自分にある一つの感情、恋愛感情を代償にしてとある人を救った。その人はどうしようもない状況だったのだ。[呪毒]に掛かった人を救うために。


アランは可愛いと言う想いは持っていても、決して恋には発展していかない。例え胸キュンとかしても、恋はしない。あと一歩がないのだ。端から聞けば矛盾しているようにも見えるかもしれぬ。


告げた方が良いのか?それは言えば傷付いてしまうのではないか?

騙していたんだ。エリスを殺したから、俺はその想いに応えられないと。実際は違う。それもあった。だが、この事をエリカは知ったらショックを受けるのかと怯えていたんだ。


だが、言うべきなのかもな。俺に恋愛感情がないと知れば、エリカも諦めてくれるだろう。



「エリカ。」


「はい。」


「悪いがその想いには応えられない。俺はある事情で恋が出来なくなってしまったんだ。だからエリカがどれだけ想っても俺の心には届かないんだ。........ご」


俺は「ごめん」と言おうとすると、エリカはそっとアランの口に手を当てた。

そして決意したようにエリカは語る。それは女の子にとっては辛い道だろう。どれだけ自分が想っても伝わらないのだから。


「いいですよ。どれだけ想おうとも、届かないのならば届くまで想うだけです。私は悲しみません。私が教えてあげますよ、恋と言うものを。」


「そ、そうか。期待して待ってる.......と思う。」


「恐らくアランが恋に気づいた時は、きっと両手におさまらない程の()があるのでしょうね。黒色の花。金色の花。白い花。果たして次は何色でしょうね?」


「??」


「いえいえ、こちらのお話です。それでは、もう寝るとしましょう。お休みなさい。チュッ」


エリカはアランとすれ違う時にアランの頬にキスをした。アランは頬を手でさわり、少し恥ずかしくなる。


「口は恋を知った時にしましょう。」


そう笑顔で言うエリカは数多の星々より綺麗だった。



この章のヒロインはエリカです。

エリカファンの皆様にとってはドキドキする回だったでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ