リエスベスタの真価
三連休も最後。
皆さん一日早めて投稿するので頑張ってください
何処もかしも真っ白だ。見渡しても真っ白。果たしてここは空間なのか?
と問いかけるような所だ。
その所にアランは立っている。
「随分久しぶりにここに来たな。」
「本当に久しぶりだな。我が魔王様。」
何もない空間から茶髪を肩辺りまで伸ばした女性がやってくる。背は高く、まるでモデルのようだ。俺は簡単な返事をする。
「で、俺の意識を持って来たと言う事は本気を出しに来たんだろう?」
「そうだな。本気を出してやるって一応伝えなくちゃと思って。それと、久しぶりに会ったんだ。顔くらい見たい。」
茶髪の女性はアランに近づく。そして「へえ~。」と舐めまわすように見る。
そんなにじっくり見なくてもいいんじゃないか?別にこれといって変えているわけでもないし。
「そ、そんな見なくてもいいんじゃないか?リエス。」
「ん~、そうか?個人的にはもうちょっと見てたいけど。ミラが相手なら仕方ないか。まさか久しぶりの戦いがミラだとは、さっすがアランだよな。」
「一つ聞きたい。リエスとミラの関係だ。前に聞いた時はミラと出会っていないからって教えてくれなかったけど、今なら教えてくれるだろう?」
「そうだ。確かにそんな事言ったなぁ。なら教えてあげるか。世界そのものであるミラにはこの世界を創った張本人って事は知ってるよね。」
「無論知っている。」
そりゃ魔王だって、この世界の事はあらかた知っているつもりだ。
それでも知らない事は無数にあるが。
「ミラはこの世界を構築し、自らを少女にして自分の創った世界に潜り込んだ。と言うか幼女か。ははっ。しかし、そこで出会ってしまったんだ。この世界を滅ぼそうと企む組織とね。」
「そんな連中がいたのか。初耳だし驚きだな。この世界を滅ぼそうとは。正気か?」
「確かに。でも世界を構築した当初の世界はかなり酷かった。あちこちに天災は起こるわ、地震が起こって地割れするわでね。」
ミラが世界構築をした当初は、その世界の魔力が安定しなかった。魔力が安定しなければ、本来起こらない筈の事象が起こり、本来起こる筈の事象が起きない。そりゃ酷い世界だな。
「でもミラにはどうも出来なかった。世界自身とも言われるミラでも、世界の魔力を安定させるには時が過ぎればいいけど、当時の世界の人々はそうは思わなかった。」
「だからその世界自身のミラを殺して自分がその世界を操ろうと画策した訳か。」
「そうだ。ミラでも時に身を任せるしか方法がなかったのに、自分が出来る訳ないだろうとその時はほとほと呆れたよ。」
懐かしむようにリエスは笑った。
「で、リエスとミラはいつ出会ったんだ?俺の推測ではその世界構築がされ、その組織が動きだした位だと考えているが。」
「おーさすがだな。そうだ、私とミラはその当時に出会った。私はその頃とある病のせいで体が不自由だったんだ。余命あと少し............そんな頃にミラと会った。そしてミラは私の為にある提案をしたんだよ。」
「それが、この剣か。今では誰も使えない魔法。いや魔法と言うよりもっと別の何か........か。」
俺は知っている。古代の時代よりもずっとずっと昔の魔法。その当時は魔法と言う名前ではなかったらしいが、その効果は我々の知っている魔法よりも難しく、より威力が高い。
「一応今風に言うと、魂魔法だな。効果はその名の通り魂を操る魔法だった。ミラは当時病弱で余命少ないこの魂をある剣に押し込んだ........押し込んだって言うか、縛りつけた。」
「その当時は転生魔法とかはなかったのか?」
「ないない。転生魔法は私が存命していた時から、物凄い後だもの。だから当時は剣に縛りつけるしか出来なかった。勿論、この剣から私の魂を取り出してその魂を転生させる事も出来ない。私の魂はこの剣に強く強く縛ってあるから。」
「それは俺でもか?」
「多分無理。もしやろうとすれば、アランの全魔力、アランの全生命力を注ぎ込まないと。しかもそんな無茶をすればアランの魂でさえ壊れてしまう。」
悲しいな。
そこまで強く縛っているのか。でも......
アランはまっすぐな視線でリエスを見つめる。
「絶対にこの剣からその魂を解放してみせる。だから待っていてくれ。」
「ん?ああ待ってる。だからまずはミラをこてんぱんにして行けよ。」
「わかった。でも、リエスがミラの元を離れた原因って何なんだ?」
「簡単な話だよ。単に飽きただけ。」
「はぁ?」
リエスがそう言うと、アランの意識は現実世界に戻った。
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「もう終わったか?」
「あ...おう。ずいぶん久しぶりに行ったからこの体にちょっと慣れていないな。でも正確に言えば魂が行くんだからあまり関係ないのか?」
アランは背伸びをする。リエスベスタを見れば、<零の弾丸>のように禍々しい魔力が纏わりついている。並の人間ならばその魔力に当てられて気絶している。
「真価を現したか、リエスベスタ。その魔力、久しい。」
「俺も久しぶりに使うからドキドキだよ。果たしてお前にどれだけ効果を発揮するんだろうな。」
「はてさてどうだろうな。<超滅連獄炎><寒零度吹雪><深淵なる暗光>」
様々な魔法がアランに向けて放たれる。
その数は果てしなく多い。このままでは確実に死んでしまう。
「喰らえ、リエスベスタ。」
アランはリエスベスタをその魔法達に振るう。すると荒れ狂う炎や吹雪は一瞬にしてこの世界からいなくなる。まるでどこかの手品のようだ。
魔法を喰らうリエスベスタ。この剣リエスベスタの真価だ。
正確にはその対象の魔力を喰らう。勿論剣としての斬る能力もある。魔力を喰らえば喰らう程、この剣はより魔力を帯びて強くなる。
「くっ。やはりその剣の真価は敵にすると恐ろしい。しかしお前もその剣を使えば使う程、自分が辛くなるのも知っているぞ。常時自分の魔力を与え続けているんだものな。」
「まぁ確かに常時自分の魔力を与えるっていう点で言えば難点かも知れないが、それくらい何ともない。」
「強がりだな。」
「試して見るか?」
アランはミラに向けて駆け出す。そしてリエスベスタでミラを一閃した。
ザクッとそのまま斬られると思っていたが、結果は違った。カキンッと言う音が響いたのだ。それは金属同士の反響音。
「我とてただ何の対策もなしにその剣の行方を追っていた訳でもないぞ?」
「へぇ。やっぱり対策くらいはしてたんだ。」
ミラの手には真っ直ぐなただ美しいの一言しか言えないような剣があった。リエスベスタでその剣を喰らおうとするが、なかなか折れない。一体どういう事だ?
アランはリエスベスタにて何度もミラと打ち合う。やはり何度も阻まれる。アランが不思議に首を傾げるとミラは不適に笑った。
「面白いのう、その顔は。どうだ?手品は解けたか?」
俺は考え直す。このリエスベスタはその対象の魔力を喰らい、自分の魔力に変換してさらに強くなる。元から強いこの剣がもっと強くなるんだから、相手にとっては最悪だろう。
しかし今のミラは余裕の表情でこちらを見ている。なぜ?
ミラの剣を何度も喰らおうとしたが、出来なかった。なぜ?
ミラの剣自体に何か秘密が?いやどう見てもあの剣には大層な力は宿っていないように見える。もしかしたら俺の目でも探れない何かがあるのか?
いや案外単純な話なのか?
もしミラと俺の立場が違えば俺はどんな風にリエスベスタを攻略する?
俺は.............まさか
「おや、気づいたのか。」
俺の推測が正しければ無茶苦茶シンプルだ。そんな俺をミラは俺の心を覗くように見ている。
「俺の推測が正しければお前は凄い量の魔力を使っているな。そんな状態が続けばこちら側が有利になるだけだが?」
「と言うことは、やはり気づいたか。どれ?言ってみろ。」
「はぁ。答えは単純明快。このリエスベスタは対象の魔力を喰らう。だからお前はその剣にとんでもない程の魔力を宿した。リエスベスタでも一度に喰らえる魔力はあるからな。だからお前はリエスベスタと何度も打ち合えた。」
「ほ~。ドンピシャで当たっている。素晴らしいなその洞察力は。」
ミラは意外な顔をしている。
まぁ、ここまで的確に言われるとは思っていなかったのか。
しかし、やはり分からない。リエスベスタと何度も打ち合うと言うことは、自分の魔力を与え続け、相手により有利にさせているのだ。
普通に言うならば、それは愚行だ。
さっぱり分からない。
俺は剣を地面に突き立てる。
「そこまで褒められる事でもないさ。でもなぜお前はそんなに余裕の表情を浮かべている?あからさまに俺に有利な状況を作り出してるようにしか思えない。」
俺はリエスベスタを地面から抜き、一降りする。リエスベスタはその禍々しき魔力を纏い空気を切り裂く。
ミラは余裕そうにその小さな体で俺を見下すように魔力をさらに己の剣に宿した。
「簡単だ。お主など不利な状況でも勝てると言うことだ。」
「そんな事言われると、足元すくわれるぞ?俺みたいな奴に。」
そう言ってアランは駆け出す。
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