世界vs魔王
モノクロの世界の中で様々な轟音が飛ぶ。
「<超滅連獄炎>!」
「ふっ、その程度の魔法では我を傷付けるなど不可能だぞ?」
世界と名乗る幼女、ミラは手を突きだし<魔法障壁>を作りだす。たちまち灼熱の炎は消えた。
今度はレイナとエリカが一斉に斬り掛かる。しかしミラは器用に体を反らし、すべてかわしきる。そして魔法を放とうとした。
「じゃあ俺の魔法ならどうなんだろうか?」
「くっそ!」
背後から魔法を撃とうとするアランを警戒し、ミラは上空に翔んだ。
それほど強いと言うのかアランの魔法は?リースはそう思いながらも、上空にいるミラ目掛けて<貫魔王槍突>を乱れ撃ちする。
一発は命中するだろう。そんな事を思ったリースだが........
ミラは乱れ撃ちされた槍の数々を<超滅連獄炎>にて焼き尽くそうと放つ。すると、数々の槍が炎に当たった瞬間、溶けてゆく。
「ふぅ。危なかった。さすがにあんな槍を喰らえば私も危ないな。」
着地したミラは感想をこぼす。
「アラン様。とてもじゃないですが、私どもでは相手にもなりません。主な攻撃はアラン様にやってもらい、フォローは私どもにお任せください。」
「私もその方が良いと思う。さすがにあれは傷付けられないかな。」
「確かにそうだな。リース、お前もそのようにしてくれ。」
<思考伝達>でリースに伝える。リースは頷いて意思表示する。
「作戦会議は終わったか?」
「おう。でもお前らしくないな、自分に不利な状況になるのに見過ごすなんて。自分の力を過信し過ぎると痛い目逢うぞ?」
「別に慢心してない。こういう事だ。」
ミラは天に手を掲げる。
「<世界の下の無力化>」
ミラは魔法を発動する。すると、アラン以外の全員の体が動かなくなった。金縛りとかではない。一ミリも抵抗出来ないのだ。三人はその場に倒れ込む。
「これでお前以外は無力化した。」
「一対一で勝負って所か。」
「そうだ。お前の仲間は少々うざったらしいから。大丈夫、別に傷付けたりしない。もし殺したりすれば、お前は狂ったようにこの世界で暴れだすだろう。だから安心していい。殺さない。」
「それはありがたいね。それじゃあ始めるか。<寒零度吹雪>」
先手必勝と言わんばかりにアランは撃つ。
ミラは対抗魔法<超滅連獄炎>を撃ち、威力を減速させながら横にそれて逃げる。しかしアランはすぐさま追いかける。
「逃がすと思うか?」
「勿論。」
ミラは近づいて来たアランに対して素手で殴る。その拳の速さは、一般人からしたら見えないだろう。
しかし、相手は元魔王。
「このくらいの拳。受け慣れている。」
アランはミラの拳を受け止めた。そして反対側の手で<超滅連獄炎>を放つ。この至近距離ならば直撃は免れない。
その上、アランの放つ魔法の威力は桁が違う。
このような状況を世界その物であるミラの出した答えは
「一応言っておくけど、私も反対側の手空いてるよ。」
ミラは反対側の手でアランと同じ<超滅連獄炎>を撃つ。お互いの<超滅連獄炎>はアランとミラの数十センチの間で拮抗している。
アランはこのままでは魔力の無駄使いだと判断し、掴んでいた手を離し<前方爆散>で距離を取る。
そのまま両者はお互い睨み合う。
今度はミラの方から動き出してきた。ミラは闇魔法<深淵なる暗光>をアラン目掛けて発動する。
黒光の光線がアランを貫こうと襲い掛かる。
この魔法は触れた万物を侵食していく闇魔法の頂点に並ぶクラスだ。無論、俺だって使える。しかしあまりにも撃った後の被害が大き過ぎてあんまり撃っていない。
補足説明をしておくと、炎魔法は<超滅連獄炎>で水魔法は<寒零度吹雪>だ。
「そうきたか、ならこちらは<純愛なる明光>」
アランがそう唱えると白い聖なる明光の光線が、ミラの唱えた<深淵なる暗光>を相殺していく。その姿にミラは驚きの表情を浮かべる。
「へえー。魔王なのに聖なる魔法が使えるなんて初めて知った。」
「お前だって闇魔法を撃ってるだろ。それと一緒だ。」
「世界そのものである我に使えない魔法など片手で数える位しかない。特にお前が開発した魔法だ。」
「それは誉め言葉として受け取っていいんだよな?」
「別にどっちでもいい。勝つのは決まっている<純愛なる明光><深淵なる暗光> 我のみだ。」
ミラは白と黒の光線をアランに浴びせるように放つ。
アランは<魔法障壁>を正面に何枚も張り、光線を減速させかわす。
ミラはその光景を見て「ちっ」と残念そうな表情をして手に魔力を込める。次の魔法を撃つ為だ。ミラは白と黒の光線をかわしきったアランに目標を定める。
ミラが魔法を撃とうとアランを見た瞬間、アランは<前方爆散>を唱えてその煙で自分の姿を隠す。
「ほう。目眩ましか。でも目標を全てに変えるだけだ。」
<超滅連獄炎>を上空に数百個描きその下にいるであろうアランに向かって放つ。桁違いな魔力量が辺りに撒き散らされる。その光景は魔王であるアランでも見たことないだろう。
煙なんてすぐに蒸発してしまい、アランがいるであろう位置には炎の赤色しか見えない。
果たしてそんな中で生きていられるのか?ミラは自分の中で疑問に思った。自分で撃っときながら何を思っているのだろうかと自分に問いかける。
自分の中で「生きている」と「死んでいる」の両方の推測が飛び交う。
やがて灼熱の炎が静まった。ミラはいる筈がない灼熱の炎の中を歩こうと、一歩前へ出た。
刹那、目の前に黒い槍が凄まじい速度で飛んで来た。
ミラは咄嗟に避けようと体を動かすが、この速度では当たると判断し、左腕を犠牲にした。左腕で黒い槍を受け止め、自分の体に刺さらないように威力を下げる。
「ここまでして腕一本か。はぁ、この調子でいくと絶対に体がもたないな。」
灼熱の炎の中、黒い影....アランがそこにはいた。
まったく動きも出来ないない三人は「絶対に生きてると思った」と顔は動かせないが目から伝わってくる。
当の本人はよく分かっていないのだが、三人の方を向いて「うん」と頷く。
「うわ。もう服があちこち焼けているな。帰ったらまたレイナに作り直してもらうか。」
確かによく見ればアランの服はぼろぼろに近くなっていた。
「まさか....生きているとは。」
「勝手に殺さないでくれ。正直な所、俺も成功するか半信半疑だったけれどな。でもそんな事も、これで終わりだ。」
「ほう、何をするのだ?あの不思議な力を持つ古銃は我には通じないぞ?」
「知ってるよ。だから今回は違う。」
ミラが言った古銃とは、<零の弾丸>の事だ。なぜ効かないかと言うと、あの古銃の力は対象を消滅すなわち零に還すのだ。
ミラは世界そのものと言ってよい。よってアランが<零の弾丸>を使おうとも、それは地面に向かって撃っているような物なのだ。地面に撃ったとしても、ただその土を消しただけだ。
しかし、その世界そのものであるミラが唯一恐れたのはアランのその魔力だ。アランは膨大な魔力を秘めている。そのアランが魔法を放てば、ミラの精神が傷付いてしまう。
地面に向かって魔法を撃てば、その地面が全て吹き飛んでしまうように。
それほどアランと言う存在............魔王は恐ろしいのだ。それは世界も例外ではない。
「お前もびっくりするだろうな。いやしないか、元はお前が持ち主だったんだから。」
俺は収納魔法の中から魔王剣リエスベスタを取り出す。
すると、ミラの顔が一瞬歪んだ。
「それか........久しい。我の元を離れ、一体何処にいるのか分からなかったがよもやお前が所持していたとは。」
「びっくりだろ。俺も正直驚いたよ。これを見つけた後はちゃんとこの世界にもバレないように偽装魔法まで掛けたんだから。」
「しかし、我が所持していた頃より錆びているな。」
ミラな悲しそうな声をしながら問う。
「まぁな。でも」
アランはリエスベスタに魔力を込める。すると、リエスベスタはアランの意識を奪う。
皆さますいません。予想以上にこの戦うシーンが多くなりました。
まだ戦います。
追記。リエスベスタの名前に「魔王」をプラスして「魔王剣リエスベスタ」にしました。




