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過去改変 

この回から、アラン=現代の元魔王 

       魔王=過去の魔王   とします。



その夜、俺達は野営基地で泊まることにした。

まぁ他に泊まる所もないしな。俺は過去の自分と酒でも飲みながら語り合う事にした。


俺が棚にある酒をチョイスしていると、レイナとリースも参加したいとの事なので二人も一緒に飲むことにした。


勿論二人は学生の身なので酒ではなくジュースにした。

すると二人は声を揃えて

「今のアランも学生でしょ!」


と言われたので俺もジュースになった。くっそ..今なら飲んでも許されると思ったのに。

そのやり取りに魔王は「未来の俺は楽しそうだな」と笑っていた。


「今のお前も、もうちょっとしたら楽しい仲間達に巡り会えるぞ。」


「そうか。なら楽しみに待ってるよ。」


「アラン、これからどうするつもりなの?」


レイナの言葉にリースも頷いた。


「うーん。取り敢えずこの野営基地に居座るつもりだ。恐らくもう一週間くらいしたら大きな戦闘が起こる筈だ。多分天使から宣戦布告を受け取ってるんじゃないっけ?」


二人は天使と言う言葉に驚く。

何しろ、この昔の時代には天使やら神やらは普通にいたが、今の時代には神も幻想の世界らしい。確かにレイナ達の時代には神の介入とかしなくても、平和だからだろう。


この過去の時代に神が介入する理由は「悪の元凶である魔族がいるせいだ」との事らしい。いやいや、「人間も神に反抗しているが?」と言ったら「人間は神に抵抗出来ていると勘違いしている」と返ってきた。


まぁその言葉は当てはまらなくもない。

実際、神と張り合えたのはごく少数の人間だった。神がより危険人物だと考えてたのは俺達魔族の方らしい。


まったく、そう考えるおかげで俺達魔族の戦闘死者が毎回多くなったんだぞ。それに加え、勇者達が魔王討伐に来るわ最悪だった。


「ああそうだ。今現在の状況を説明してなかったな。あと一週間後、魔王軍は大天使との決戦に挑む。まぁ宣戦布告してきたのは大天使側だけどな。」


「大天使って、学校でもちょっと教わったけど凄まじい強さなんでしょう?大丈夫なの?」


リースが心配する。


「少なくとも俺は生き残るだろうな。未来の自分は生きてるし。」


その通りだ。あの大天使との決戦は酷いものだった。この手で.......俺は...あいつ......を........いや待て、変えられるんじゃないか?あの結末を.......


「アラン、どうしたの?顔色悪いけど....?」


「出来る....かもしれない。いや出来る!俺は魔王だ!」


リースの心配を余所にアランは勢いよく立ち上がる。その姿を見て魔王も「お、おう」と返答に困った。

アランは自分の行動に恥ずかしくなり、椅子にちょこんと座る。


「悪い悪い。ちょっと考え事をしててな。」


「「「考え事?」」」


「そうだ。エリカの父親、エリスを助け出す計画だ。」


「ほう、それは面白い。して..どのような計画だ?未来の自分よ?」


「それはまだ考え途中だ。だが、必ず成功する。勿論、過去の魔王にも協力してもらう。レイナ達もな。」


アランはレイナとリースの顔を見る。


「勿論!過去改変なんて夢みたいな状況じゃない。」

「物語であるような事をするなんて、アランに付いてきて良かったわ。」

「過去改変など魔王によくある行動だな。その話、乗った。」


そうして俺は過去改変を決意した。






ーー翌朝



まずい。これは俗に言うピンチだ。なんで魔王と呼ばれた俺がピンチだって?

それはな........


今、アランが寝ている簡易ベッドの上にはレイナ、リース、エリカが乗っかかってる。

右を向けばレイナが.....やばいやばい。あともうちょいで二つのアレが見える所だった。そして左を向けばリースがいて.....おっとこっちも危ない。


しょうがない。天井でも見て誰か一人が起きるのを待つか.....って!

エリカはアランにのし掛かりながら寝ているのでアランは何処を向いても詰みな状況なのだ。


数分後に目を覚ましたのはエリカだった。目を覚ましたエリカは、この状況を見てニヤリと笑い二度寝した。


その後リースが目を覚まし、顔を少し赤くさせながら残りの二人を起こしたのであった。




「失礼します。お食事を用意しました。」


俺達は魔王からの使者に案内され、かなり大きなテントの中に入った。


そこには魔王軍全兵士がいる。レイナはその光景に疑問を浮かべた。それもそうだろう。普通は、なんでもない兵士などテント中でなく、地面にあぐらでもかいて食事を食うのがこの世界では基本だからだ。


俺達がテントに入った瞬間、兵士がこちらを見つめる。


俺達は魔王軍に所属する兵士でもないし、鎧も着ていない。端から見れば旅人かどこかの盗賊だろう。


「皆の者。こいつらは先日、ソルを助けてくれた旅の者だ。その実力は俺が保証する。約一週間後に控えた決戦に加勢してくれるらしい。」


魔王がそう言うと「おぉそうかそれは頼もしい」「良かった。人数はいればいるほどいい。」「これで生存率は上がったな」など聞こえてくる。


この状況で加勢してくれると言えば、確かに怪しまれる事はない。戦争では参加する人数が多い程、自分の生存率も上がるし、より有利に物事を運べるかもしれない。


ある一人の兵士がアランに握手する。

そんな形でアラン達は魔王軍に怪しまれる事なく、朝食を食べたのであった。



朝食を食べ終えたアラン達は特にする事もなく、暇していた。エリカは父親と一緒にいるらしい。


「あ~本当に暇だ~。」


「確かに暇だよね~。エリカは父親と一緒にいるし。その大天使との決戦ってまだ先なんでしょ?」


「うん。あっそうだ!」


リースは「どうしたの?」と問いかける。

ベッドに寝っ転がっていたレイナも姿勢を立て直す。


「練習するか。魔法の練習。レイナは剣の練習も兼ねて、リースは魔法で。」


「それいいわね。私もいざ戦うとなって役に立たなかったら嫌だもの。」


「私はより剣の腕を磨くとするか。」


「よし、じゃあ<異空間創造(ソウシクル)>」


俺が唱えると、空間が歪み真っ白な世界に転移した。

ここなら俺も存分に魔法を放てるし、広さも申し分ない。


「真っ白ね。何処までも続いていそうな感じ。」


「いやリース。感じではなく、何処までも続いているぞ。それじゃあ二人とも、練習を開始しようか。リースは魔法。レイナは剣で俺に掛かって来て。」


「はい!(了解!)」


そうして二人の練習が始まった。


リースが<超滅連獄炎(アスト・フレイム)>をアランに向かって放つ。アランは同じく<超滅連獄炎(アスト・フレイム)>を打つ。アランが打った瞬間、レイナが斬りかかるがアランは魔王の剣リエスベスタで弾き返して追い討ちの如く今度は<寒零度吹雪(アイ・シクル)>を放つ。


レイナは極寒の吹雪を剣で吹き飛ばすが追い返しきれない。

そこにリースがやってきて、<大地獄炎(メガブレイン)>で吹雪を相殺する。


ふむ。やはりただ者ではないなあの二人。

全て相殺出来なかったとは言え、剣一本で魔法を無効化していた。そんな奴は昔でもあまりいなかった。


勇者みたいだな。アランは内心そう思った。勇者は聖剣を持ち、様々な魔法を無効化し、戦っていた。


リースもやっぱり何か持っているな。

俺が<超滅連獄炎(アスト・フレイム)>の魔方陣を正しく改訂したんだが、そのせいで魔方陣を組みにくくなった筈なんだがすんなりと唱えている。


普通、今まで使っていた魔方陣を改訂するとなったら今までの魔法の癖やら魔法に込める魔力とかを変える必要があるのだが、なかなか変えられない。


それをすんなり変えてみせたのだから結構称賛していいと思う。


そんな事を変えていると、レイナが襲い掛かってくる。俺は全て受け流して反撃に講じる。


「くっ。やっぱり前戦った時は手を抜いてたね。」


「手を抜いたって言うよりかは、本気をあまり出せなかったんだげどね。」


アランは剣を降り下ろす。だが、その剣はレイナに届かない。

リースが槍の最大魔法<貫魔王槍突(カイ・スピネル)>を打って来たからだ。アランは後退して直撃を避ける。


チラッとリースの方を見れば、悔しそうな顔をしていた。

まぁそんな事でやられていれば魔王なんて名乗れないからな。


しかし、リースの奴。あんなに最大魔法を打っていたらすぐに魔力が尽きるだろう。昔の魔族でもそんなに最大魔法を打つのは魔力切れの危険が付きまとうのであまりしなかった。


と言っても、デモクレス程の実力がある者は主に最大魔法を使って戦うので、魔族の中でも尊敬された。


リースは大丈夫か?


「リース。そろそろ魔力切れになるんじゃないか?もう魔力切れって言うなら正直に言った方がいいぞ。」


「べ、別に魔力切れなんかじゃないわよ!」


はい、魔力切れですね。まったく...そんな強がる内容でもないのに。


「レイナは大丈夫か?」


「大丈夫よ。あっ!ここはリースみたいにツンデレっぽくしないと...」

「ツンデレじゃない!!」


「わかったわかった。とりあえずリース。魔力補給してやるから」


俺はリースに近づき、リースの失った魔力を補給する。

本人は「まだまだ大丈夫」だと言っていたが、リースの魔力は底をついていた。このまま行けば、リースは魔力不足で気絶する所だっただろう。


ふーむ。やはりリースの難点は魔力不足か。まぁその点で言えばそこら辺の魔族が通る問題だが、リースは俺の配下だ。


アランは収納魔法の中から銀のブレスレットを取り出す。


「リース。これを付けてくれ。このブレスレットには大量の魔力が入ってる。これで魔力不足になる事はない。」


「うん、わかった。」


「ふふっ、端から見ればカップルみたいだね。熱いね熱いね~」


リースの顔が赤く紅潮する。


「断じて違うぞレイナ。そんな事を言えば、俺がレイナに剣をあげたのもその中に入ってしまう。」


そう言うと二人は疑問を浮かべる。


「どういう事?」


「ああ。今の時代とは感覚が違うのか。昔は自分の物を異性の相手にあげると言うことは、あなたが好きです受け取ってください、と....まぁ告白みたいな物だ。」


「それじゃあアランが私に剣をくれたのは....告白?」


「違う違う。あの時はレイナにあの剣が合っていそうだなって。」


レイナは「へえ~」とアランを見つめる。

リースはブレスレットを大切そうに眺めては、撫でている。


「それじゃあ、練習を再開するぞ。」



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