吸血鬼殺し
今回は二話連続投稿します
「あ、アランが?」
「そう、俺が殺した。二人は吸血鬼って聞いた事あるか?」
「それなりには。他者の血を吸い、その血を自分の魔力源としたりする種族の事でしょ。今ではもう絶滅してるって学校でも習ったけど。」
レイナがリースに「あなたは?」と問うが、リースが知っている知識も大体一緒らしい。
そうか。この時代の人々はそんな事くらいしか知らないか。
まぁ、もう吸血鬼なんてあんまり表に出てこないし、脅威ではないと感じたのだろう。
昔は「吸血鬼」と聞けば、ちびっこでも恐怖したのだがな。それほど強く、軍団で来られれば生半可な軍隊では壊滅してしまう程だったんだが。
俺達魔王軍とて、油断出来なかった。
「そうか。エリスは吸血鬼の一族だったんだ。」
「と言う事はエリカさんは........吸血鬼なの?」
リースが考察する。
「そうだ。」
「で、でも。エリカが吸血鬼だったとして、血はどうするのよ?吸血鬼って言うのは定期的に血を吸わないと生きていけないんじゃないの?」
レイナが疑問をぶつける。
「その事については、大丈夫だ。吸血鬼が他人の血を欲しがるのは、その他人の血に魔力が込められているからだ。だから、他人の魔力を分け与えれば大丈夫だ。」
「へぇー知らなかった。でも、どうしてその事が関係しているの?」
「吸血鬼にはな、ある特徴がある。それは月の魔力をある一定量浴びすぎると、暴走してしまうんだ。敵味方関係なく................エリスもそうなってしまった。」
「だから、殺したのね。でもそれなら、今のエリカも危ないんじゃないの?」
リースも頷く。
「安心していい。俺が月の魔力を浴びても平気になる特殊な魔法を掛けている。今でも思うよ、何であの時にその魔法を開発しなかったんだと。」
「ふーん。そういう事だったのね。月の魔力って本当にあるんだ。」
「その話はエリカにしたの?」
「した。でもエリカは「あの時は仕方ないですよ。父もアラン様に殺してもらって本望だったと思います」とか言ってきてな。だから俺は、二度とこのような悲劇を起こさないために特殊な魔法を創ったんだ。」
あっヤバい、泣きそうになる。
こらえなければ、こんな時に泣いていてはエリスにドやされる。
大体話す事は話終えたか。
アランは踵を返そうと後ろを振り向く。するとレイナとリースが一斉にアランを抱きしめて、アランの頭を撫でた。
アランの頬に一滴の涙が落ちる。二人は「よしよし」とさらに撫でる。
エリス、俺はこの時代でも良い仲間を持ったよ。
「うっうっ」
「大丈夫だって。私達はアランから離れたりしないから。」
「そうですよ。いつでもどこでもここに居ます。」
俺は「ふぅ」と息を整える。まったく、魔王ともあろう者が泣いてしまうとは情けないな。しかも少女二人に頭を撫でられながらだから余計恥ずかしくなる。
俺達は戻ろうと、踵を返そうと後ろを振り向く。
すると、レイナリースが一斉にアランを抱きしめ、「よしよし」とアランの頭を撫でた。
アランの頬が涙で濡れる。アランが泣くと、二人は抱きしめる手を強めた。
「うっ、も、もういいよ。大丈夫だから。」
「いやでも駄目。エリカさんに抱きつかれた時は嬉しそうな顔をしてたから。」
「リースの言う通り。もっと強くしたあげる。えい!」
二人は抱きしめる手をさらに強める。
うぐぐ。く、苦しい。わかったわかったから、離してくれ。
「わかったわかった。もう限界。離してくれ。」
「まったくしょうがないわね。」
「軟弱ですよ。」
二人は笑い合う。その姿を月光が照らし、二人の美しさがより増した気がする。
と言うか、軟弱って....俺は魔王だぞ。まったく......エリス、俺はこの時代でも良い仲間に出会えたよ。
「それじゃあ、戻るか。」
「「はい」」
その時、黒い火球が俺達を襲った。
俺は咄嗟に<魔法障壁>を発動して黒い火球を防ぐ。
その黒い火球を打った先を見る。三人は驚いた。何せそこには、目を紅くした黒髪の少女、エリカがいたのだから。




