閑話 アランの休日
「休日か。何しよう?」
俺はテーブルに顔をくっ付けながら言う。
あの後、リースはまだ時折敬語を使って来たが、俺が驚いたのはレイナの方だ。
普通に友達のような感覚でいつも話すのだ。
リースみたいな奴はよく見かけたが、レイナのような奴はいなかった。まぁ、その方が嬉しいのだが。
「なら、街にでも行けば?暇ならあそこで大抵潰せるわよ。」
「あっ!街に行くの?なら、野菜買って来てよ。」
「ん~、分かった。それじゃあ、行ってくる。」
俺はドアに手を掛ける。二人は手を振って
「「行ってらっしゃい」」
「おう。」
俺は街に出る。
しかし、何処へ行こう?
うーん、うーん?あっ、そうだ。本屋にでも行こう。
久しぶりに魔王の本でも買うか。まぁリースの持っている奴を読めばいいんだが、自分の本だから自分で集めるか。
俺は本屋へ行き、魔王の本を自分の持っていない所を買う。
店の人に俺は魔王ファンにでも思われたなこりゃ。なにせ、本を買う時に店の人が何か察した様子をしていたからな。
ちょっと見てみるか。
周りにあったベンチに座り、本を広げる。
うわー懐かしい。そうそう、この時は結構苦戦したな。
勇者って、追い込まれると急に強くなるから大変だったわ。と言うか、勇者ってなんか先読みするのがうまかったな。
あの先読み技術には、デモクレスも「まるで元々知っているかのようだ」と言っていたし、もしかしたらあいつ未来予知でもしてたのか?
まぁ今さら考えた所で、どうしようもないがな。
さて、次は何処へ行こう?俺は本をパタンと閉じる。
屋台で何か食うか。
「んーうまい。焼き鳥はやはりうまいよな。」
俺は街を歩きながら、先ほど買った焼き鳥を食べる。
昔も焼き鳥はあったが、今の方が断然うまい。特に、この材料がいいんだろうな。
これ程平和になったから、安定していい材料が用意出来るのであろう。
平和とは良い事だ。
あっ、お土産に焼き鳥買ってくか。
「4本くれ。」
アランは屋台の人にお金を渡す。
「あいよ。ほら4本。」
アランは買った焼き鳥を収納魔法の中にしまう。
この収納魔法は便利だよな。なんてったって、時間を停止させるんだから全然冷めないのだ。
だから、いつでも温かい食べ物が食べれる。
偉大な先人達に感謝せねばな。
次はゲームセンターにでも行こうか。
おっ、休日だから結構賑わってるな。
やはりゲームセンターは娯楽施設としては、かなりの人気がある。
俺は右側にある硬貨とは違うコインを使うゲームの方へ行った。
うーん。どれで遊ぼうか?これも楽しそう、いやこれもなかなかだな。
アランは大きな機械のゲームを選んだ。
十分後.............
「あっ、なくなった。」
しっかし、これはコインが無くなるのが早いな。しかも全然儲からないではないか。
そういう機械なのか?
アランはちょっと不思議に思いながら次の場所を探そうとゲームセンターを出ようとする。
「ん?あいつは」
目の前に見えたのは、クレーンゲームと言う物で熊のぬいぐるみを必死に取ろうとしてるロントの姿だった。
へぇ~ロントがあんなぬいぐるみをね~
世の中知らない事もあるんだな。ちょっと声でも掛けてみるか。
俺はクレーンゲームをしているロントに近づく。本人は相当集中しているのか、アランが来たことに気がつかない。
「よっどうした?」
「え?ああ、アラン様。お久しぶりです。アラン様もこのような娯楽施設に立ち寄るのですね。意外です。」
ロントは案外驚かなかった。
ん~。もうちょい驚いてもいいんじゃないか?なんか、驚かそうとした俺が恥ずかしいぞ。
「暇だからな。にしても、お前がこんな可愛らしいぬいぐるみを取りたいとは.....可愛い趣味してるではないか。」
ロントは少し恥ずかしい表情を隠す。
そうそう、こういうのが欲しかったんだよ。
「いえ、お恥ずかしい話しですが、私の妹がこのぬいぐるみを取って来て欲しいと。それで参った次第です。」
「へぇー、お前って妹に好かれているんだな。」
「は、はい。」
「なあに、隠す必要はないぞ。いつの時代も兄弟愛と言うのは良い物だった。だから、そんな事当然だ。恥ずかしがる事はない。」
「分かりました。」
そう、いつの時代でも兄弟愛と言うのは凄まじい効果を発揮した。
弟を守りたくて、もう死んでいるような状態なのに戦い続けた者がいた。
その時、俺は感動したね。いやボロ泣きだったよ。
そいつらには、転生の魔法を掛けてやったが今はどうしているだろうな?
幸せにしてるだろうか?辛い思いをしてるだろうか?
「ア...ラン.....様?.....アラン....様?」
「ん?ああ、すまない。ちょっと考え事をな。」
「そうですか。」
「と言うかロント。お前結構苦戦してないか?どれ。」
俺は硬貨を一枚入れ、クレーンを動かす。そして、アランはすんなりと熊のぬいぐるみを取って見せた。
クレーンゲームは少々得意だな。このくらいなら、簡単に取れる。
俺は取ったぬいぐるみをロントに渡す。
「え?良いのですか?」
「当たり前だ。それを妹さんに持っていってやれ。」
「ありがとうございます。本当に。」
「それではな。」
そう言ってアランはゲームセンターを立ち去る。
さて、どうしよう?このまま何処かへ行くか、暇は結構潰せたし家に帰るか。帰ったら.........あ!そういえば、レイナに買い物頼まれてた。
危ない危ない、このまま家に帰っていたらレイナに殺されかけていたな。
俺は店でレイナに言われた買い物を済ませる。
よし、これでいいか。
アランは家に帰ろうとする。その時、ある物が目に入った。
「ん?なんだこれ?」
そこには、遺跡調査をしませんか?と言う内容の紙が貼ってあった。
遺跡調査か。ちょっと興味深いな。もしそれが、昔の時に俺が重要拠点として作った所だったら俺も行ってみたい。
ふむ。そうここから遠くもない所だし、ちょっくらあいつらにも言うか。
一人で行こうとしたら絶対バレるし、別に隠れて行くような場所でもないしな。
俺は家へ帰る。
「お帰り。どうだった?」
「どうって言われてもな~。普通に楽しんで来たよ。途中で思いもしない事が起きたけど。」
「「思いもしない事?」」
俺は「ああ」と言って二人にロントの話を話した。
二人は意外な表情を見せた。まぁそうだよな。あの悪ガキのような奴が妹思いなんて、俺も思わなかった。
「へぇ~それは思いもしなかった。」
「だろ。あっ、レイナ。頼まれた物買ってきた。」
俺はレイナに買い物した物を渡す。
レイナは渡された袋の中を見て、俺のお土産用に買った焼き鳥を取り出した。
「アランこれって?」
「お土産だよ。たまたま通りで販売してたから、買ってみた。いや~やっぱり旨かったな焼き鳥。昔よりも旨いから、二人にも食べて欲しくてな。」
「昔?アランが言う昔って、千年前の事だよね?そんな時代にも焼き鳥ってあったんだ。」
リースが目をまあるくして聞いてくる。
「ああ、無論あった。だが、今ほど品質の良い材料も手に入らないし、うまく作れる人もあまりいなかった。」
「へぇー」
その後、三人は何でもない話で笑ったりほのぼのしていた.......
えー、悲しいお知らせになります。
実は次の章から、2日に一投稿になります。
理由は、書いている書き溜めが予想より減った事が原因です。身勝手な理由ですが、これからもよろしくお願いいたします。




