初戦
い、いつの間にか魔王転生は100部に!?
これからも頑張らなければ
「ーー始め!」
その言葉を合図に試合は始まった。
互いに収納魔法から瞬時に武器を取り出す。
アランはチャッカスに言われた通りに剣を。相手のスーマンは短剣よりちょっと長い剣を二本、両手に持った。
「ふむ、アラン・エリアルと言いましたか。どうやら相手が悪かったようですね。先輩として恥はかかせないようにしてあげますが。」
「ふっ。そうだな、確かに相手が悪いようだ。」
スーマンは短期決戦を申し込む形で素早くアランに斬り掛かる。
左右からの二撃。俺はしゃがんでかわし、がら空きのスーマンの腹を狙う。
だがそれはスーマンの策だった。
「[魔技][傀儡人形]」
スーマンが[魔技]を発動するとスーマンの体が人形のようになり、普通では考えられないような関節の動きでアランの剣を一本の剣で受け止めた。
そしてもう一本の剣にてアランを斬る。
「くっ.....。どんな関節をしてるんだ?」
俺はその斬り掛かる剣をスーマンの手首を掴んで力任せにスーマンを後方に吹き飛ばした。
スーマンは横に転がり、ダメージを軽減させる。
「これはこれは。まさかかすり傷もさせてもらえないとは、少し過小評価をし過ぎましたね。大抵、この[魔技]に驚いて思考が遅くなるのですが。」
「へぇ。[魔技][傀儡人形].....ね。対象を自分の意のままに出来る[魔技]かな。どうやらその対象は人形みたいな動きが出来るみたいだけど。」
その説明にスーマンは「ほう」と感嘆した。
その[魔技]を使えば確かにあり得ないような関節の動きも自分の意思で出来るってことか。
「一回みただけでそこまで理解したのか、一年生にしてはやるようだ。だが...........」
スーマンは収納魔法から三つの大剣を出し、その大剣にも[魔技][傀儡人形]を掛ける。
「こちらも負ける訳にはいかない!」
「こっちも負けられる試合じゃない!」
スーマンが走り出すのより先にアランは駆けた。
先制攻撃はスーマンだ、三本の大剣を違う方向からアランに突き刺すように動かす。
アランは剣で大剣を払い、ジャンプで避けながらスーマンの懐に入ろうとする。
「懐に入れば勝てると思ったのか?<大地獄炎>」
スーマンは向かって来るアランに<大地獄炎>を撃つ。
その炎はアランを覆う。しかしその炎は横一文字に割れ、空気に溶けていった。
「なに!?魔法を切り裂いただと?ならば........」
「遅い!」
俺は次の攻撃を展開しようとしているスーマンを斬る。
スーマンは反応しきれずそのままもろに食らってしまう。
スーマンの<魔法的衣装>に斜めの傷が付く。だがアランの<魔法的衣装>にも傷が付いていた。
スーマンの大剣がアランを傷付けていたのだ。だが大剣が来る瞬間にアランは体を上手くひねって急所は避けていた。
「お前、何故大剣が来ると分かった?」
「俺が剣を振る時にあんたは反応出来た筈だ。だが出来なかった。理由は簡単だ、大剣に意識を向けていたからだ。だから防げなかった。」
俺は片膝を付いているスーマンに最後の一振りを行おうとする。
スーマンの顔が険しくなる。
「くそっ。ここで負ける訳には...............初戦で使いたくなかったが仕方ない!」
スーマンは何かを決意し、手に持っていた剣をアランに向ける。
すると、その剣先から電撃が放出された。突然な電撃にアランは剣を盾にして何とか直撃は逃れたが、スーマンとの距離が離された。
「なに?一体どういう原理だ?剣先から電撃なんて見たことないぞ。」
「そうだろうな、これは我が第二魔工学園の総力を注ぎ込んだ代物なのだ。貴公!一年だからと侮っていたが、これを使わせるだけの実力はあるようだ。」
「それはどうも、てことはそれを攻略出来れば俺の勝ちだな。」
アランは剣を肩にトントンッと叩く。
「ふっ。出来るものならばな!」
その言葉を皮切りにアランとスーマンの攻防が始まった。
観戦席では試合を見ているミネセスが不思議そうな表情をしている。
「なぁイフン、どうしてアラン様は魔法を使わないんだ?ずっと剣ばっかりで手加減にも程があると思うが。」
「うーん確かに。それは気になるよね。」
「あえて実力を隠してる可能性もありますね。他校はまだアラン様に対する情報を持っていない。と言うことは魔法を苦手だと思わせる事で、異なった情報を他校に流す。そんな策ではないかと。」
ロントは右手を顎に当てながら推測する。
「ならイフン、あの相手の持ってる剣、どうして電撃が出るんだ?」
「ああ、あれは多分剣に特殊な<付加魔法>を掛けて、魔力を流すと電撃が出るようにしてるんだ。」
「へぇ~。まさかそのような物を作り出していたとは.................現代人も侮れないな。」
「あははは。まだまだ昔の人達には敵わないけどね。」
深く考えるミネセスにイフンは苦言を溢す。
その様子をレイナとエリカは顔を合わせて笑った。
「上手く仲良く出来ているではありませんか。」
「これでイフンとミネセスの部屋が一緒だと知ったら...............」
さらに笑いが加速する二人にリースは二人の頭をこずく。
「もうっ、二人とも。今はアランが試合してるんだから、ちゃんと見てなさいよ。」
「そうは言ってもさぁ、絶対アランが勝っちゃうし見ててもねぇ。」
「レイナの言う通りですよ。まったく.......アラン様たらっ、いつまで試合を長引かせるおつもりなのでしょうか?あんな小物に手加減する必要もないでしょうし。」
エリカはつまらなそうに片手のジュースを飲む。
イフンやロントはアランの戦い方をよく観察して学ぼうとしているが、昔の戦いを知っているエリカとミネセスにとっては遊んでるようなものだ。
「さて、そろそろつまらない試合も終わりにしてくださいな。」
エリカは<思考伝達>でアランに要件を伝える。
本来、試合中は外部からの魔法による干渉はいけないので、エリカは秘匿性を重視し魔法を発動した。<思考伝達>を受け取ったアランは動揺していたが。
「まったく.........エリカのやつ、魔法による干渉は駄目って言われてたのに.........。」
「ん?何か言ったか?」
アランが愚痴を言ってる間の隙をついたスーマンは左手の剣で電撃を出しながら右手の剣を振るう。アランは電撃をすれすれでかわし、剣でスーマンの剣を受け止める。
膠着したこの状態。先に悲鳴を上げたのはスーマンだった。
何回も電撃を使い、[魔技]に込める魔力でさえその電撃に使用しているスーマンの魔力は底を尽き欠けていた。
必死に隠してるが、アランにはバレバレの演技だ。
アランは両手の剣でアランの剣を食い止めているスーマンに勝負を賭ける。
「ふむ、そろそろ魔力が限界近いと見えるが。」
「そんな事はないさ。こんな風になっ!」
スーマンは自分の最大魔力を込めた電撃を両剣から放つ。
本当に剣から出ているのか疑いたくなる程の電撃が発射された。そしてアランは[魔技][姿ずらし]を発動する。
電撃を撃ち終わり、アランを仕留めたと確信したスーマンは一安心してその場に倒れてしまう。
ピーーー!と試合終了の合図が鳴り、掲示板に書いてあった勝者の名前はアランだった。
スーマンの背後、そこにアランはいた。
ブックマーク、お待ちしております。




