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応援団  

ミーティングが終わり、俺は試合開始の9時まで時間を持て余していた。

ルミナリエは試合の為の最終チェックをリースと共にしている。使ってもいい魔法や[魔技]のチェック等だ。


「別にそれくらいしなくても.......」と声を掛けたんだが、遠慮してしまったのだ。そんなにチェックしなくても言い訳次第でどうにかなるのだが............


まぁ念には念をと言うやつなのだろう。


そういう事で俺は外の景色でも見に部屋のベランダスペースの扉を開けた。

瞬間、何者から抱きつかれる感覚に襲われた。


おかしい、ここはベランダだ。それにここは三階、抱きつかれるなんてある筈はない。だが、俺の鼻は女子特有の香りを感じている。


「ふふっ。久しぶりのアラン様の匂い、もっと嗅いでいたいですわ。」


「??」


「おっ、この光景リースとルミナリエに知られたら嫉妬するだろうな~。さてさて、カメラカメラ。」


「え?エリカとレイナ?どうしてここに?それより離れてエリカ。」


俺はくっついて離れようとしないエリカを無理やり引き剥がす。

レイナもおもむろにカメラを取り出して写真に収めようとしてるので没収しておいた。


にしても........何故ここに二人が?ここベランダだぞ。


その心の内に思い浮かべている謎を二人は察して互いに向き合い笑った。


「アランが何を考えてるのか手に取るように分かるね♪」


「ふふっ。では私がアラン様が思ってる謎の答えをご説明致しましょう。まず、私とレイナがアラン様のベランダから侵入した理由は、このホテルは基本的に選手しか入れないんですよ。」


「応援の人はこことは違うホテルをご利用くださいーって言われちゃってね。もちろんイフンとミネセスとかはちゃんとそこに泊まる予定だよっ。」


そう、明るく話すレイナの次に言いそうな事を俺は予想出来た。


「だからアラン、ここに泊まっても良いよね?」


「駄目に決まってるだろ。選手以外の方は他のホテルをご利用ください。」


俺はホテルの従業員みたいな口調で言った。

レイナはむくーっと膨らませる。「と言うことだ。」と俺は室内へ入る。


ここで二人を受け入れてしまっては面倒な事が起きるのが確定している。

リースに怒られる姿。ルミナリエの無言の威圧。ここのホテルの人にバレる瞬間。これらは容易に想像出来てしまう。


「あら、良いのかしら?アラン様の秘密、みんなにばらしてしまっても。」


ふと、エリカが言葉をこぼす。秘密。その言葉は魅力的でもあり、鋭利な刃物ともなる。


「脅すつもりか?」


「いえいえ、私の大好きなアラン様を脅すなど。ただちょっと口が滑りそうだな~って。」


「えっ、なになにー?アランにどんな秘密があるのー?」


レイナがわざとらしくエリカに聞く。

俺はもしもの可能性も含めて、エリカだけを連れ出す。


「一体何を言おうとしてるんだ?」


「さあ?それは秘密ですね。」


エリカはニヤニヤしながら答える。

どっちだ.....?ただ俺の部屋に入り込みたいだけの嘘かも知れない。だが嘘だと決め付けてしまうのは駄目だ。


「くっ.......。もう分かったよ.......二人とも、出来る限りバレないようにするんだぞ。バレると絶対に面倒だからな。約束してくれ。」


「はい!」「もちろん!」


レイナとエリカは笑顔でアランの部屋へ入ってく。

俺の使うベッドにダイブしたり子供みたいだ(レイナが)。エリカは洗濯しようとした衣類に手を伸ばしていたので止めさせた。


そうこうしている間にそろそろ試合の時間だ。


「二人とも、俺はそろそろ試合に行かないといけないから行ってくるから大人しくしてるんだぞ。」


「あっ、そろそろ時間か。エリカ、私達も観戦席に行かないと。席はイフン達が取ってあるし。」


「もうそんな時間ですの?ならアラン様、私達は観戦席でアラン様の勝利を見届けるとしますわ。」


そう言ってレイナとエリカは部屋のベランダから出て行った。

俺が勝つことは確定なのか。まぁいいけどさ。


俺は扉を開けて試合会場へと向かった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


試合会場にはたくさんの観客が手に応援グッズやホットドッグ等の食べ物を持っている者がいる。人数としては多い方なのだろう。


「これより、魔王学園と第二魔工学園の試合を開始します!第一シングルスは一年アラン・エリアルvs二年スーマン・ノルシュ。両者、入場してください!」


音声を増幅させる魔法を使用したアナウンスが会場に響く。

俺と委員長は会場内へと続く廊下にいた。黒よりの紺色の<魔法的衣装(マジックガード)>に身を包んだアラン。チャッカスがいるのは、見送りの為だ。


「アラン、緊張するな。と言ってもしてしまうだろうが安心しろ。何せ初戦だ、自分を思う存分出しきれ。」


「分かりました。それじゃあ行ってきます。」


チャッカスに叩かれた肩に変な力が入ってしまったが良い緊張ほぐしになった。

まさかこんな仲間思いな性格だったとは................評価を少し変えなければ。


そう考えている内に、アランは会場内に入っていた。

会場内に入ると周りからの声援が聞こえてきた。ふと右手を見ると、イフンやロント達が手を振っていた。俺は小さくその方向に手を振り、中央の審判のいる所へ向かう。


アランへの声援。それは決してアランを鼓舞する声援ばかりではなかった。

妬み。嫉妬。その負の感情をぶつけられている事もアランは分かっている。


<DD>。そんな奴がこんな舞台に上がってるのは確かに筋違いだろうな。だが気にはしない、妬みや嫉妬なんてどの時代でもどの場所でもあり得る感情だ。


その感情は自分を強くするかも知れないし、自分を邪道へと導くかも知れない。

それは自分次第だ。


アランが来た入場口の反対の入場口から黒い髪を七三分けにした、いかにも真面目な生徒がやって来た。その<魔法的衣装(マジックガード)>は黒一色できちっとしている。


「では、これより第一シングルスの試合を開始します。<魔法的衣装(マジックガード)>へのダメージ量が限界だと判断された場合と、審判が危険だと判断した場合、そちらを敗者とします。では両者遺恨のないように、始め!」


審判の大きな声が会場に響く。

そして始まる。アランの初戦が。



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