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3 「願わくは」と「願わくば」

 最近「願わくば」という表現を見かけて、「あれ、『願わくは』じゃないの?」と疑問に思い、ネットで調べてみました。

 この疑問については、ジャパンナレッジの『日本語、どうでしょう?』第305回のページを読んでほぼ解決しました。後書きにURLも載せておきますので、そちらを読んでいただければと思うのですが、簡単にまとめると、以下のようになります。


 「願わくは」が本来の言い方で「願わくば」は新しい言い方。

 「願わくば」の用例が見られるのは江戸時代から。


 「願わくば」は新しいといっても江戸時代からすでに使われているので、最近の若い(もん)は、なんてことも言えないわけですね。

 それより気になったのは、『日本語、どうでしょう?』の冒頭部分です。以下に引用します。


『「願わくは今年も家族全員が元気に暮らしていかれますように」


 この文章を読んだとき、「あれ?」と思いになった方もけっこういらっしゃるのではないだろうか。「願わくは」ではなく「願わくば」が正しいのではないかと。』


 と、私の疑問とは逆のことが書いてあります。もしかして、「願わくば」という表現の方が現代では一般的なのでしょうか。

 そこで、この新たな疑問を解消すべく、色々と検索検索ぅ! してみました。



 まずは国立国語研究所のKOTONOHA『現代日本語書き言葉均衡コーパス』少納言を使って、「願わくは」と「願わくば」の用例数を調べます。検索対象は全て選択です。

 「願わくは」は40件、「願わくば」は53件でした。およそ1:1.3の比率になっています。「願わくば」の方が多いですが、それでもまだ同じくらいと言ってもいいでしょう。


 少納言のデータは新しいものでも2008年までなので、もう少し最近のデータでも見てみることにします。国立国語研究所の『国語研日本語ウェブコーパス』検索系『梵天』を使いました。『梵天』のデータは2014年10-12月収集となっています。

 「願わくは」は4,420件、「願わくば」は26,520件でした。比率は1:6です。なんということでしょう、もはや完全に「願わくば」の方が主流です。


 ちなみに『俺Tueee.Net! Ψ(`∀´)Ψ』の小説家になろう作品全文検索で調べたところ、「願わくは」1,220件、「願わくば」8,720件で比率はおよそ1:7でした。(2018.07.20 17:00頃の時点で)

 しかし、この検索結果には作品ページの下部にある「この小説をブックマークしている人はこんな小説も読んでいます!」の内容も含まれているようなので、実際の「願わくば」の用例数はもっと少なくなります。有名な書籍化作品のタイトルに使われているみたいですね。



 このように、以前と比べて「願わくば」の方を目にする機会が増えている状況で、多くの人は見慣れた表現の方を使うでしょうから、今後ますます「願わくば」が浸透していくのでしょうね。



 ただ、「願わくは」といえば、西行のこの歌。


 『ねがはくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月の頃』


 素敵な歌ですよね。私の中の「願わくは」のイメージの根底にあるのは、たぶん古文の授業か何かで読んだこの歌です。だからどんなに「願わくば」が勢力を増しても、「願わくは」の方がやっぱりカッコいいと思ってしまうのです。

【参考文献】

ジャパンナレッジ『日本語、どうでしょう?』第305回(著者:神永曉)

 https://japanknowledge.com/articles/blognihongo/entry.html?entryid=323

国立国語研究所 KOTONOHA「現代日本語書き言葉均衡コーパス」少納言

 http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/

国立国語研究所 「国語研日本語ウェブコーパス」梵天

 http://bonten.ninjal.ac.jp/

俺Tueee.Net! Ψ(`∀´)Ψ

 http://tueee.net/

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