オープンカフェ
口から零れ落ちたのは、菓子パンのかす。
いまわの際にそれさえ口に入れば素直に死んで行けたやつもいるだろう。
しかしそんなことを幼い娘に言うことは無意味だった。
しかし親の悲し気な唇に彼女は多少なりとも気付いたようだ。
しかしそのことで余計にかすが迸る結果になった。
今度は彼女の瞳はそれに悲し気にらんらんとなっていた。
きっと親の欲目が移ったのだ。
そういうことにしておこう。
人々の往来のあるオープンカフェだ。
娘と親が属する文化は、構成員に対して、世界でも指折りに人目を気にさせるのだ。
娘と親が属するのはそういった国だ、往来の人々と違って・・・。