自分で書いた小説が面白く感じなくなってしまう病気
まずこのエッセイは小説を書き始めて一ヵ月弱の新米作者の弱音や愚痴が含まれますので、熟練作者様や読み専門の方にはさして面白くない物だと思います。
該当する方はブラウザバックを推奨致します。
あともう一つ、このエッセイには表題の病気の治療法は書かれていません。
作者自身も現在進行形でこの病気に悩まされており、頭の中を整理する為、初心を思い出す為に書き殴っているにすぎません。ご了承ください。
私は元々読み専の人間でした。というか全員そうですよね。一度も小説を読んだことも無い人がいきなり小説を書こうとは思いませんもんね。
私は十代の頃からラノベを読み漁り、通学中、授業中ところかまわず読みまくっていました。それは二十代になって就職してからも変わらず通勤の電車の中ではラノベを読む事に時間を使い続けていました。
そんな私がこのサイトに出会ったのはつい最近です。
存在は知っていたのですが、電子媒体よりも紙媒体の方が好きだったので無意識に避けていたのかもしれません。
このサイトに出会った私は驚きました。
面白い小説が多かったからです。
それからはひたすらにこのサイトの小説を読み漁る日々が続きました。
そしてある日、私の心にある思いが芽生えました。
『私も書いてみたい』そんな情熱がどこからともなく沸いてきたのです。
私はまず自分の書きたいストーリーを考えました。
私は犬や猫の動物が大好きだったので、それを主人公に、
ネトゲも好きだったのでその要素も加えました。
そうして書きたいものの原型が完成したのです。
この時は少年に戻ったようにワクワクしました。自分が考えた主人公が自分で考えた世界を歩き回り色々な人々に出会い、傷つき成長していく姿を組み立てていくのが楽しくて仕方がなかったのです。
私は自分の考えたストーリーに自信を持っていました。みんなに読んでもらいたい。そう思って書き始めようとしたのを今でも思い出せます。
しかし、新規小説作成のボタンをクリックした私はいきなり壁にぶつかりました。
理系まっしぐらだった私は書くという事については卒業論文くらいしか経験がありません。
そう、書き方が全く分からなかったのです。
沢山ラノベを読んできたのだから大丈夫と思っていた私は一行も書けないという現実に打ちのめされました。
才能が無いのかと絶望もしました。
でも、私の考えたストーリーを形にしたいという熱意が最終的に勝利をおさめました。
それほどまでに、私は自分の物語を面白いと思っていたのです。
そこから私は『小説の書き方』系のエッセイを読み漁りました。そこには様々な技法が事細かに書いてあり本当に勉強になりました。
私はそれらを読みながらなんとか一話を執筆することに成功しました。
完成したそれは表現力や描写力なんて皆無の話でした。そりゃそうだ。初めて見よう見まねで書いた話で描写力の高い作品が書けるなら誰も苦労はしませんね。
でも、私はそこである程度の満足感を得ました。
一行も書けなかった人間が一話を書き終えたのです。小さい一歩でしたがそれでも前進したことに満足しました。
そこから私は調子にのってどんどん物語を書き続けました。
小説家という道を歩みだしたのです。
小説を書き始めた私は、その後も色々な『小説の書き方』系のエッセイを読み続けます。
そこで良く目にする言葉が『エタる』というものでした。
途中で投げ出されて更新されなくなるあれですね。
その対策としてプロットを書くということが書いてありました。
プロットさえ書いていれば、後は最後までそれにそって話を進めるだけで最後までたどり着ける魔法のアイテムですね。
私はエッセイに従ってプロットを作りました。
完結までの道筋を細かく記して自分が満足するストーリーの流れを作り続けます。
そこからの執筆活動は驚くほどスムーズでした。
プロットに乗っ取ってひたすら物語を書き続ける日々が続き、楽しくその生活を送っていました。
ただ、そんなある日トラブルが起こりました。
私のメインPCが壊れて書き溜めしていたストーリーが消し飛んだのです。
字数にして三万文字程度だったと思いますが、それが消滅してしまいました。
少し絶望しました。
消えたデータの中で物語が結構進行していたので、投稿していたところからの書き直しはなかなかの苦痛を伴います。
そして、書き直している最中にあることに気づいたのです。
「あれ……面白くない」
今思えばこれがこの病気の初期症状だったように思います。
今までは情熱の迸るままにストーリーを書き続けて振り返る事なんてありませんでした。
ただ、PCが壊れた段階でふと冷静になってしまったのです。
私は一話から自分の書いた小説を読み直しました。
やはり……何か面白さに欠ける気がする。
おかしい。
書き始めた時は面白くて面白くて仕方がなかったはずの私の小説に、何かが足りないと感じ始めました。
焦った私は、プロットを練り直す事にしました。
もっと盛り上げないと……。もっと胸が熱くなる展開にしないと……。そんな使命感に似た何かに追い詰められるように必死に考えました。
色々な方の小説を読み漁り、必死に考えてなんとか自分でも満足行く展開にたどり着くプロットを完成させました。
そこからまた私は書き始めます。
盛り上がる場所に向けて心を躍らせながら。
今のストーリーは面白い。ランキングに乗らなくても自分が満足できる物語が書けていると自分に言い聞かせて書き続けています。
でもなぜかタイピングする手が前ほど動かない。
プロットも練り直した。満足しているはずだ。
ふとプロットを見直すとつい先日まで面白いと思っていたプロットからは光が失われていました。
おもしろく……ない……。
何故だ? 何故面白くなくなってしまった……。
そしてプロットを練り直す作業に私は戻ります。
自分の小説には何が足りないのか、それを求めて他の作者様の小説を読み漁ります。
まず、一つ目に思い至ったのが文章の壁でした。
結木さんと様作の
『いやだってお菓子あげたらついてくるっていうからさぁ!!』
を読んで衝撃を受けました。
数行読み始めた瞬間に文字の世界に吸い込まれて気づいたら読み終わっていました。
この引力にも似た文章力に私は憧れ嫉妬しました。
私の文章にはこの魔法の引力が足りない。そう感じました。
文章の好き嫌いは人それぞれかもしれませんが、私は自分の文章と比較して酷く落ち込み、文章力のレベルの低さを嘆きました。
でも、結局のところ文章力を上げるにはひたすら上手くなる事を意識して書き続けるしかないと考え、とりあえず保留しました。
一朝一夕で手に入るものではない。と自分を誤魔化しました。
次に思い当たったのはワクワクの壁です。
これに関しては、家の中にあるラノベ本棚をひっくり返しました。
私がかつてワクワクしたものの中にヒントがあるのではないかとひたすら読みました。
これがやってはいけない事だったのかもしれません。
私は比べてしまいました。かつて業界を風靡した作品と私の作品を……。
そして知ってしまいました。自分の今のレベルを。
圧倒的なワクワク感をもつ家のラノベ軍は私の心をハチの巣にしたのです。
こんな気持ちのまま私は書き続けてもいいのだろうか?
そんな疑問が芽生えました。
読んで下さる方に失礼ではないのかと。
それでも私は書き続けるしかないのだと薄々気づいていました。
一つの作品を書き終えることで成長できると、どのエッセイでも書いてあったからです。
私はまだ一作も完結させていない未熟な作者なのです。
だから、一度完結させることでどこまで私が前に進めるのか気になります。
私はどこかのエッセイで拾った格言『小説を書くとは完結させる事である』を付箋でPCの画面に張り付けてそれを見て何かを誤魔化しながらも書き続ける事にしたのです。
今の私の小説のプロットは私から見れば物語の進み方やクライマックスの展開も全てわかっているのでワクワク感はありません。
なので私の小説を読んで他の方がどう思っているのかが全く理解出来なくなっています。
面白いのか面白くないのか。私の好きな物を詰め込んだ物語は誰かの琴線に触れることができるのか。
もう何もわかりません。
ここまでが昨日までの私です。
面白い物語が書きたい。
このエッセイを書いていたらそう思えてきました。
私もあの魔法の文章力を身につけて、読者の方が時間を忘れる程の作品を書きたい。
そう思えるようになってきました。
もっと胸が熱くなる展開にすればいいだけではないか。
努力が足りていないんだと自分に言い放ってやればいい。
書き始めて一ヵ月弱で何を言っているのだと罵ってやればいい。
そう思えてきました。
だから、書き続けることにします。
自分がかつて面白いと思ったプロットにそって、その面白味を最大限引き出せる文章力を身につけるために書き続ける事にします。
上を目指し続けていれば到達できない場所ではない。
大事なのは止めない事なのではないか。
そう考えよう。
もう逃げるのはやめよう。
こう思うと小説の続きを書きたいと思えるようになってきた気がします。
さて、頑張って続き書くぞーっ!!
このエッセイを他の方がどう感じるかはわかりません。
私の頭の中を整理するために書いただけにすぎませんしね。
でも、書いているうちに自分の目標が改めて認識できたような気がします。
公開しようかしないか迷ったのですが、私と同じ状態になった人の為になればと思い公開しようと思います。
私はこんな感じで持ち直したぞ! とここに残しておくことにします。
さて、次は物語の魅力を最大限引き出せる文章力を身につけた後で、それでも尚面白く感じなくなったらもう一度こんな感じで心と頭を整理しようと思います。
それまでは突き進もう。
こんな感じで終わらせて頂きます。
読んで下さった皆様ありがとうございました。