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父が帰宅しました

今回の話は雫が初めてお喋りした日の19時くらいのできことです。

結局私の初めてのお喋りは失敗した。初めて喋る言葉が『ヨダレ』になるとか誰が予想しただろうか?母と兄は私の言葉を聞いて一瞬固まったがそのあとすぐに復活して笑っていた。ちなみに母はうふふとお淑やかな感じで兄は爆笑だった。



なにさ、そんなに笑わなくてもいいじゃん!そもそも君らがあんなにほっぺを突かなかったらヨダレの心配なんてしないで済んだんだからね!そう私が怒ったのがわかったのか兄は素直に謝ってきてくれたから今回は許してあげることにした。母はというと私と兄のやり取りを微笑ましそうに見ていた。その後父が仕事から帰宅して私の初めてのお喋りの内容を聞かされていた。








「おかえりなさい、葵さん」


「ただいま、葉子。今日はなんか変わったこととかあった?」


「ええ!今日ね、実は雫ちゃんがお喋りしたのよ」


「本当かい!?そ、それで何て言ったの?」






父はもしかしてパパと言ってくれたんじゃないかと期待していたらしく目を少年のようにキラキラさせながら母に聞いていた。







「ふふ、それがね可笑しいのよ。『ヨダレ』って言ったの」


「え?ヨダレ?」


「そう。まさか『ヨダレ』っていうなんて誰も予想してなかったから太陽くんと一緒に驚いちゃった」


「そうか、確かに予想はしてなかったな。できればパパって言ってほしかったけど、でも雫が『ヨダレ』って言ったの聞きたかったなあ…。可愛かっただろうなあ…」







そう寂しげにヨダレと言ったのを聞き逃したことについて言っているので、ここは一発元気になるようなことを父に言ってやろう。今こそ父に向かってパパと言ってやる場面じゃないか!そう考えた私は母に抱かれていたところから父へ抱っこをせがんだ。すると、私から抱っこしてほしいとアピールされたのが相当嬉しかったらしく父はデレデレしながら私を抱っこしてくれた。








「雫は本当に可愛いなあ、パパのこと好きかい?」


「あう!」







私はちゃんと好きだよ、とういう気持ちを込めてタイミングよく返事をした。父はその返事に気分を良くしたのか私に頬ずりをしながら甘い声を出した。






「えへへ、そうかい大好きかい。パパも雫のこと大好きだよ~」






勝手に好きから大好きへとグレードアップさせているがここはまあ私の広い心で許してしんぜよう。よし、ここでダメ押しの『パパ』を言ってやろう。そう決めた私は頬ずりしている父の頬をペチペチと叩き離してもらってから父の目を見た。やっぱりね、どうせ言うならちゃんと目を見て言ってあげたいじゃない。







「ぱぁぱ」






父を指してニッコリ笑顔でそう言ってあげた。私がまさかこのタイミングで『パパ』というとは思ってもいなかったらしく父は泣いて喜んだ。これには言った本人が驚いてしまった。ちょっと『パパ』と言っただけでこんなに喜んでくれるとは思わなかった。






「じずぐぅ~…、あ゛り゛がどう゛~…」








どうやら私の父は感動屋の泣き虫さんらしい。








最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回はもう少し雫をお喋りさせたいと考えています。

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