第三十一章 ルーシー
「これから、」
「どうしようか」
笑顔で悩んだ。
自分が反乱を起こしたことでルーシーの計画が潰れ、ルーシーがここに来たことで自分の計画が潰れた。
二人が生きて一緒にいるということは、責任を取ることを最小限で済ませられなくなったということ。つまり、
「二人一緒に死ぬしかないよねー」
革命を起こした反逆者である自分が死ぬのは勿論で、ただ一人生きるのを許さないルーシーが後追いで死ぬのも目に見えている。
そうでもしなければ、国民が納得しない。よしんば一般市民は誤魔化せたとしても、復国同盟以外の反政府組織はやり込められないだろう。
「――二人が幸せになる道にしようよ」
昔のように少し高い音で、嬉しそうに呟いたルーシーの声に首をかしげた。
「皆が死を望んでも、そんなこと知らない。私達は、私達がやりたいようにやれば良い」
ルーシーは国を正しく治めたい。自分はその横で支え、守ってあげたい。
「僕達の邪魔をする者は全部蹴散らして、二人で一緒に歩んでいこう」
寝転がったルーシーの頬を撫でる。相手も同じようにこちらの頬に手を当てた。
「だから」
「一緒に」
その顔に、自分の顔を近づけて、
「「幸せになろう」」
唇を合わせた。
優しく、その形を確かめるだけの柔らかいキス。
先程のように、奪い、蹂躙するのではなく、お互いを認識し合う。
這わせた唇についていた傷を舐め、それを癒すようにキスをする。
ん、と離して、相手の顔に治癒の魔法を掛ける。
「……ありがと」
「女の子の顔に傷を残したらダメだからね」
作った張本人は誰、と悪戯っぽい笑顔で問われて苦笑した。
少しの余韻を感じた後、二人で一緒に立ち上がった。
一瞬よろけたルーシーを支え、しっかりと立たせてあげる。
夜明けを告げる太陽が登り、崩れた政治の場を照らした。
一度頭を振った彼女は、ゆっくりと、玉座の瓦礫の上へと登り、こちらを向いた。
「あなたは――」
彼女の右側には月が沈み、左側には太陽が上る。
月と陽の間の少女は、何かを思い出したように振り向く。
「――元気なときも、疲れたときも、嬉しいときも、悲しいときも、喜んだときも、落ち込んだときも、私、ルクレツィア・ボルジアを――ううん、ルーシーっていう女の子を、想い、認め、励まし、助け、そして、生きている間ずっと、一緒にいてくれますか?」
双つの灯に照らされたお姫様が手を差し伸べた。
「僕は、クライス・イルスタントは――クリスという一人の人間は、約束します」
それは僕の守りたいお姫様。
「元気なときも、疲れたときも、嬉しいときも、悲しいときも、喜んだときも、落ち込んだときも、あなたを想い、認め、励まし、助け、そして、生きている間ずっと、一緒に居続けることを――」
その手を掴み、軽く口付けをする。
「――愛してるよ、ルーシー」
それが、僕が愛を誓ったお姫様。
あとはエピローグオンリー!




