第四駆
「少しペースが上がってるね。一定のペースで走る事を心がけていこう。」
実際の湖岸道路の彦根を通る道は基本的に車の通りは多いが歩道に人がいる事は少ない。大学生の通学やロードバイクの人がたまにいるくらいなので、練習に使わせてもらっている。今はどちらかというと速く駆け抜ける事よりも一定のペースで走り続ける事を意識しての練習になっていた。4月の終わりなのに最近の地球温暖化のせいなのか気温も高くなってきている。
しかし、夏本番の9月に比べればまだまだ涼しいほうだ。
やはりペダルをこぐ力を一定にしていても勢いがついている分でスピードが上がってしまう。
勢いをそのままにペダルをこぐ回数を調整するとスピードを落とさずに疲労を軽減させた走りができるらしい。
自転車で並走しながらペースを私が確認しているが、偉そうに指導できるほど私もわかっていないので指摘の仕方とかも難しい。
平均的に速いスピードで勢いを維持したままペダルの回転数を減らし体力を温存しながら進む。
これが平地での走り方に良いらしい。
ネットで調べた話なのでどこまで有効かはわからないが色々工夫はしてみた。松原から能登川に入るまでの道を何往復かするという練習だが以外に距離がある。
高校生の少年は体力もあるが初老に入る私にはかなり厳しいものがあった。
だからと言って並走しないとアドバイスとかもできないし距離が長いからどこかで待ってるわけにもいかない。
私も一緒に筋トレしようかなと思った。
能登川に入る前の所で休憩をいれていると檀家の鈴木さんから電話がきた。
「もしもし、鈴木さん。どうしましたか?」
『ああ、住職さんは今練習中かな?』
「ちょうど休憩をしてたとこですよ。」
『この間の自転車の服についてだけど、息子がぜひ使って欲しいって言ってたよ。あと、自転車につけるとタイムとか速度とか記録できるみたいな機械もあるらしいからお寺に持って行っとくよ。』
「ありがとうございます。」
『あと、登りとかの練習するならできるだけ傾斜の緩いとこと急なとこの両方ある場所でやると良いって言ってたよ。息子は摺針峠をよく使ってたらしい。
あまり車も人もいないから練習にはちょうど良いし、移動も練習にできるからって言ってたよ。』
「なるほど、ありがとうございます。」
『それじゃあ、頑張ってね。』
鈴木さんからの電話をきって、少年に
「摺針峠で登りとかの練習もいれてみるかい?」
「摺針峠ってどこですか?」
最近の若者は・・・いや、そもそもの話であまり有名ではないのか?と疑問が生まれた。自分が知っててあたりまえな事がすべての人の『知っている』だと思うのは傲慢な事なのかもしれないなと自省した瞬間だった。




