第二十七駆
琵琶湖の湖岸を走り続けて、だいたい4時間近くが経った。瀬田川橋を渡った所で私も少年と共に電動自転車で並走し始めた。
琵琶湖の西側は街中を通る道になりそうだ。瀬田川を渡った辺りからは大津湖岸線を北上し、なぎさ通りに入り北上を続ける。この辺りは基本的に湖岸沿いの道であり、大津市内を通る道も多いので他の道があるため当日も封鎖しても大きな混乱は無さそうだなと思いながら進んでいた。そこから高島大津線に入る。雄琴に入ったところで川を渡り右折して、第5休憩所候補地の堅田なぎさ運動公園に向かった。堅田の辺りは市街地になる。ここから先は山があったりして高島方面への直通の道が少なくなるため本番当日は大通りを封鎖しすぎてもいけないので狭い道なども使われる可能性がある。
そんな事を考えていると堅田なぎさ運動公園についた。
田中さんと合流すると、田中さんが用意してくれたお弁当等を広げて
「とりあえず普通にガッツリ食べる系のお弁当とバナナとかエネルギー補給系のゼリーとか用意したよ。」
「休憩は15分間だから、それまでに食べ終えないといけないんですよね?」
「トイレに行ったり、もしかしたら整備も必要になるかもしれないから10分以内で食べた方が良いかもしれないね。」
少年の問いに私が答えると田中さんが
「まぁ、若いからお弁当の一つぐらいすぐに食べれるよ。問題はどれくらいの量にするかだね。
今日は近くのスーパーで買ってきたけど、当日は最初から用意しとくべきだね。」
「エネルギーになりやすいお弁当か…。
飲食店をやってる友人にお弁当を頼んでみようかな。」
私が言うと田中さんも
「そうだね、プロに任せられる所は任せた方が良い。」
「あとは走りながら食べれる物で荷物にならない物とかも探さないとね。」
大人二人で話している。私が少年に
「どうかしたかい?疲れた?」
「あっ、すみません。大丈夫です、ただ色々として貰って申し訳ないなと思いまして。」
「少年、私達もあれこれ考えるのが楽しくなってるんだよ。大人になると夢中になれる事に出会えなくなる事が多い。時間の制約を受けていれば若い時のように趣味を楽しんだりもできなくなる。
私達は実際には大会に出れるような体力もないけど少年が完走できるようにどうサポートするかを考えているととても楽しいんだよ。パチンコに行っておこづかいを無駄にするくらいなら少年の挑戦に投資した方が何倍も気持ちが良いしね。まぁ、私達は私達で楽しんでるんだよ。だから気にしなくていいよ。」
「ありがとうございます。」
少年が頭を下げてお礼を言う。私達からすると少しの差異はあっても同じように過ぎる毎日に彩りをくれる少年との日々が楽しくて仕方ないためお礼を言いたいのはもしかしたら私の方なのかもしれない。
ここで私もお礼を言うと少年の事だから更にお礼を重ねて来るだろうから言わないけど、少年の挑戦が終わったらその時はこの気持ちも伝えようと思った。




