第二十一駆
少年に合宿の話をしてから数日が経ち、今日も練習の準備をしていたら少年がやってきた。
「住職、こんにちは。」
「こんにちは、今日は何をする?」
「あっ、その前にこの間の合宿の話なんですけど親からの許可が出ました。合宿よろしくお願いします。」
「そうか、それじゃあ各所に連絡しておくよ。
それより今日は体操服じゃないんだね。」
「合宿に行く条件が期末テストで良い点をとる事だったんです。なので、ちょっとテスト勉強頑張るので2日ほど休ませて貰います。」
「ああ、なるほどね。まぁ勉強を頑張ろうとしてる学生さんの邪魔はできないよ。できるトレーニングはしておいてね。」
「わかりました。今日はこれで失礼します。」
「はい、さようなら。」
少年が帰っていったのを確認してから、
「この度は突然の提案にご理解を頂きありがとうございました。」
「いつからお気づきでした?」
木の陰に隠れていた人に向かって私が言うと、以前に寺に来ていた女性が出てきた。
「少年と話している後ろでチラチラと見えてたくらいですね。」
「そうですか。いつも息子がお世話になってます。この間は失礼しました。」
「親からすると少年の事を考えたら仕方ないですよ。
少年からはどう聞きましたか?」
「大会に一緒にでる人と合宿に行きたいと言われました。お金もかからないから行かせて欲しいとも言われました。自転車を頑張っていたのは知ってたので特に反対はしてなかったのですが、何も知らないフリをするためにも何かしらの条件が必要かなと思ってテストを頑張ったらと言いました。」
「なるほど。まぁ、勉強を頑張るのは大事ですしね。
少年が大会に参加する理由はお聞きになられました?」
「友達と出るくらいしか言ってませんね。住職も出られるんですか?」
「私は出ないですね。私達は何も聞いてないので何か思い当たる事はないですか?
別に知らなくても問題はないですが、必死に頑張る理由は興味がありましたから。」
「高校に入ってからはあまり学校の話をしないですからね。私もあまり聞き上手じゃないので聞けないですし。」
「まぁ、とにかく合宿についてはお任せください。
道中にあるお寺に停めて貰ったりしますし、水分補給もして熱中症対策とかもしていきますね。
檀家さんも面白がって当日は車で一緒に来てくれるみたいです。定年も過ぎて暇してる人なんで心配はいらないですよ。」
「皆さんにお世話になりっぱなしで申し訳ありません。
水分補給にかかったお金とか後で言ってくださいね。」
「いえいえ、我々も楽しんでますから。
とにかく無事に帰ってきてからですね。」
「息子のためにありがとうございます。
大会終わってから息子としっかりお礼をさせて貰います。」
「それではそういうことにしときます。」
少年のお母さんは改めてお礼を言って帰っていった。
しっかりと計画もして熱中症や怪我をしないようにしていこうと私は強く思った。




