第二十駆
練習の休憩中に私は意を決した。そして、
「少年、少し大事な話がある。」
「どうしたんですか?」
「今まで私は少年のプライベートな話に触れないできた。それは少年が話したくない部分もあるだろうなと思ってたからで少年を軽く扱ってきたわけではない。」
「えっ、いきなりなんですか?」
「結論から言うと、今度の海の日を含む連休で実際にビワイチをしてみないかという提案だ。
さすがに一日で行って帰ってくる予定は厳しいかなと思うので泊まりで合宿みたいにした方が良いと檀家の鈴木さんと田中さんと話しあってたんだ。
そうなると少年の保護者に宿泊の許可を貰ったりしないといけない。でも、そうなると少年が大会に参加する理由を保護者の方に説明しないといけなくなったりする。
少年は私達にもその理由を話そうとしないのに保護者の方に伝えられるのかなと思ったわけだ。
ビワイチをしなくても大会には参加できる。でも、少年の目指す優勝に本気で挑むなら一回くらいは一周走った経験があった方が良い。
どうする少年?」
「なるほど。確かに一回は経験しときたいと思ってました。道の状況とかも感じながら走ってどの辺でスピードを上げたりとかの計画性も大事みたいな話もあったのでビワイチには挑戦したいです。でも、泊まりで出かけるのを親に言うのが少し・・・難しいなとも思います。」
「でも、無断ではいけないよ?
さすがに保護者の許可なしに連れ出したら誘拐とかになりそうだからね。
保護者の方は自転車を頑張ってる事には何も言ってこないのかい?」
「たぶん気づいてるとは思いますけど、特に何かを言われたりもないですね。」
「トレーニングを初めて3ヶ月くらいだけど足も太くなったし全体的な筋トレもして大きくなってるから気がついてはいると思うんだよね。
『優勝したい』の部分をふせて、ビワイチトライアルに出たいから練習のために同じ大会に出る人と一緒に連休を使ってビワイチ合宿に行かせて欲しいと頼むのはどうかな?」
「でも、泊まりになるとお金とかもかかるじゃないですか。それはどうしましょうか?」
「そこは心配しなくて良いよ。
知り合いのお寺とかで泊まらせて貰えないか聞いて、最悪の場合は私が宿とるから私の責任でお金は出すよ。
保護者さんには・・・一緒に行く大会の人の家に泊まらせて貰える事になってるからお金はかからないと伝えてくれたら良いよ。」
「わかりました。頑張って伝えてみます。」
とりあえず、合宿の話はできたので私としては上手くいったので良かった。あとは少年が保護者の方に伝えられるかの問題なので練習に戻る事になった。




