日常の変化 3
ここからが怒涛だった。
部屋に着くと休む暇もなくお風呂に入れられ着替えさせられた。
そしてあっという間に謁見の時間になり王様に会って話して部屋に戻って来てただ今ソファでダレています。
もうドレスで動きにくいしシワとかもう気にしてられないわ。
疲れた⋯。
王様との会話は簡単に言うと選ばれし勇者よ魔王を倒して人間を助けておくれ、もちろんきっちりと報酬も保証しよう。って感じだわ。
もう何が何だかずっとパニック状態だよね。
勇者?そんなのやりたくないって言いたい所だけど皆嫌も言わせない状況で話をどんどん進めちゃうし⋯
もうなるようになれ状態だわ。
明日からこの国の勉強や剣術を教えるとか言ってたし⋯本当に異世界に来たんだ⋯。
自分の置かれた状況を確認すると恐怖で身震いしてしまう。
でも逃げられない、逃げたとしてもこの世界で生きる術が分からない。
なら生活を保証してくれる所にすがるしかない。だったらやれる事をやるしか無い。捨てられないように。
そう自分に言い聞かせているとノック音が響いた。
どうぞ、と招き入れるとセルジュと後ろにもう2人。
「雫、ご苦労だったな。少し話してもいいだろうか?」
私は頷き答えるとセルジュは後ろの2人を前に出した。
「彼女は、リナリア嬢。
雫のサポートをしてくれるそうだ。」
「リナリア・エリスです。
勇者・雫様、話は聞きました。
お手伝いが出来たらと思います。」
リナリアは可愛く、金髪で長髪、ゆるりとカールが巻いてある。
桃色の瞳に綺麗な二重。誰もが振り向き声を掛けたくなるような可愛さだ。
声も可愛く守ってあげたくなるような雰囲気だ。
か、可愛い⋯。
こんな可愛い子初めて見た。
ふふっとリナリアは可憐に笑うと少し横を向きもう1人の女の子を紹介する。
「彼女はアイリスよ。
私の侍女をしているのだけど、雫様の身の回りの世話をしてもらう事になりましたわ。」
「え、で、でも大丈夫ですよ!?」
お断りを入れようとしたがセルジュにこちらの生活に慣れるまで時間がかかるだろう?それにこれから忙しく動く事になる。彼女に手伝って貰うといい。とまた有無も言わさずに決まってしまった。
アイリスは軽くカーテシーをしてからこちらを見た。
焦げ茶色の髪に背中まである髪を緩く1つに結んでいる。薄紫色の瞳がまた魅惑的で可愛いって言葉より綺麗って言葉が似合う人だ。
アイリスはニコリと微笑みよろしくお願いします。と礼儀正しく挨拶した。
「こ、こちらこそよろしくお願いします。」
日本人の性でかしこまって返事をしてしまう。
2人とも同い年かな?
私より絶対年下な気がしてならないわ。
2人を紹介したセルジュは満足そうに頷く。
「うむ、良さそうだな。
では、雫よ。
私は公務が残っているのでな。疲れたであろう?ゆっくり休むがよい。食事はこちらに手配する。
明日からの予定は侍女に聞くと良い。」
セルジュは私の手を取り手の甲にキスを落としウィンクをする。
慣れないことをされ真っ赤になった私はオロオロとしてる中、セルジュはリナリアに向き話し掛ける。
「リナリア嬢はこれから予定が?」
「いえ、私も下がらせてもらおうかと⋯。」
「では、リナリア嬢。部屋まで見送らせてくれ。」
腕を出しそれを掴むリナリア。
2人は優雅に部屋を出ていった。