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暗い檻の中から
獣の声が響き渡り目が覚めた。
あぁまだ私は生きてた。
私の安らかな眠りを邪魔された事とこの安堵に少し苛立つ。
檻の中で体を目立たせぬ様小さく丸め薄暗く鉄の錆びた香りとカビっぽさが鼻に付く。
周りにも生き物の気配があるが皆それぞれの檻の隅の方に蹲っている。
ほんの少し身動ぎをすると体に鈍い痛みが走る。
「⋯⋯痛っ⋯⋯」
体の至る所に青あざがあり切り傷に至っては致命傷の様な大きな傷が塞がりかけている。
小さく呟いたつもりだったが大きく響いた様な気がして少しだけ息を飲む。
未だに響き渡る獣の声で奴らに聞こえなかったらしい。
誰もこっちに来る気配がなく詰めていた息を吐きまた目を瞑る。
無意識にここに来た時を思い出していた。