第2話-幼少期
プロローグから世界観の説明までで2話使ってしまいましたがお付き合い下さい。次の話から本編です。
転生してから5年弱が経った。この世界の言語を勉強して家の本を殆ど全て読み漁ってこの世界について分かったことが幾つかある。
俺の家はナハトムジーク子爵家という貴族だ。男爵のひとつ上で特別偉い訳では無いが恵まれた環境にいるのだろう。そしてこの世界には義務教育がない。10歳になると学校への入学が出来るようになり、王都にある魔法・騎士どちらかの学校に入学することが出来る。学費は良い成績になるほど安くなり、学年首席は次の年の学費が免除になるらしい。なので所謂平民が学校に通うためには好成績を修めるのが必須なのだそうだ。
貴族の家庭では5歳の頃に教会で魔力値やスキル等のステータスを測るのば習わしらしく、それによって通う学校を決めるらしい。
とりあえずまだ手をつけていなかった魔導書を見てみる。
ふむふむ。基本属性は水火風土の5つで、特殊属性に闇と光、斜め上に無属性があるらしい。そしてそれぞれが持つ属性の上級魔法を使えるようになるとその属性を淼炎嵐大地と名乗ることが許される。
例えば火の上級魔法を使える人は属性を伝える際に自身の属性を炎属性と言うことができるということか。
光は使い手が少ないため未だ研究が進んでいないため魔法の種類が少なく等級が分かれていない。闇属性は理論上存在するが使いこなせる人物は歴史上いないため、そもそも何の種類の魔法があるかすら書いていない。無属性は誰でも使えるので等級を作る意味が無い。
「試しに初級からやってみるか…『命を育みし水よ、我が手に集え、ウォーターボール』」
詠唱を何回しても出来ない
そういえば詠唱って必要なのか?1回無詠唱でやってみよう。
「魔法はイメージが大事なんだっけか?」
そんなことを呟きながら
水をイメージする。コップに入った水、水道から出てくる水、無重力空間で球体になった水。
「どれもだめだ。俺って魔法の才能ない…?」
「適正は普通1人ひとつの属性なのか?色々試すしかないか」
火風土光と残り全ての初級魔法を詠唱してみたが無理だった。無論無詠唱でも無理だった。
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次の日、親に図書館に連れて行ってもらった俺は、魔導書を漁っていた。闇属性魔法についてだ。実は闇属性魔法は過去に失われた魔法で…みたいな展開を望んでいる。棚にある全ての本を確認したが
「ないよなぁ…」
そう呟き帰ろうとした時、出入口のすぐ横に縛られている本のうちの1つが目に飛び込んできた。
『闇属性魔法-禁忌』という名前の本だった。
「日本語…?なんでこの世界で日本語の本が…」
「その本が気になるんですか~?」
急に後ろから声をかけられて驚きひっくり返ってしまった。なんだ、司書の人か。
「うわ!びっくりしたー。はい。興味あります。」
「変わり者ですねぇ~。その本、著者不明、言語不明、題名なしで誰も読みたがらないんですよ~。欲しいならタダで差し上げますよ~。どうせ今から捨てに行くとこでしたので~。」
(題名不明?言語は日本語だから誰も分からなくて当然だが題名は書いてあるだろうに…)
そう思ったが言わない方が良い気がしたので素直に受け取っておいた。
「ありがとうございます」
笑顔でそれだけいうとその本を持って俺は帰路についた。
俺が持って帰ってきた本を見て母親と父親が
「なんか変な本持って帰ってきたわねぇ。題名がないけどなんの本なの?」
「そりゃあ題名に書けないほどハードでエロいやつだろ!」
という意味不明な会話をしていたので無視して自室に向かった。
机に向かい本を開くと、
『【注】この本を読む者は以下に記された2つの事項を守らなければならない。是れは盟約である。
壱 書物の内容を口頭、文面等形式に寄らず闇属性魔法の使用者以外に漏洩する事を禁ず。
弐 書物に使用される言語に関する情報全てを闇属性魔法の使用者以外に漏洩することを禁ず。
参 この書物が読めるということは闇属性の使い手であることと同値である。闇属性魔法の使い手であることは明かしてはならぬ故、五-六頁にある隠蔽魔法により適正を基本四属性に変更せよ。
四 上記が破られた場合、盟約に従い関係者の存在と魂をこの世界から抹消する。』
1~3までは分かったけど4怖すぎだろ…気を付けないとな…
そしていよいよ読んだら後戻り出来ないという恐怖と本の内容を読みたい欲求の両方を抱きながらおそるおそるページをめくったのであった。
前書きの通り次から理系要素マシマシにしていく予定です。理系学生(高校生含む)はお楽しみに!!