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少女  作者: @Kuu_909
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少女とその友達

 「うざ、」とつぶやく。

半無意識的に ”嫌だったら殺せばいいのに” と思った。


 ある時間、ある場所、ある世界線に少女はいた。

髪は短髪でジーンズをはき、仲のいい男友達と日々を過ごしていた。

まるでその性別にそぐわないように。

 そう、彼女は性同一性”障害”~正確には性別”違和”なのだが、その時代はあまり受け入れられていないため”障害”としよう~だった。

それでも彼女は生まれた時から友達に囲まれ、年を重ねてもそれぞれの環境で

出会いと別れを経験しながら一男性として周りに受け入れられた。

それも初めから男性として生を授かったのように。


 「あ、お前久しぶり!元気してたか?」と少女はつぶやく。

「まぁ、ぼちぼちかな。」と少女の友達は言った。

この友達はいわゆる幼馴染で、少女といつも共に過ごしていた。

そしてそれに応えるように少女も彼と時間を共にした。

そうしているうちに、いつの間にか少女と彼はお互いを親友と呼べる仲となったのだ。

 しかし、あるときに突然彼は少女の前から消えた。

少女は彼の居場所がどこなのか知らなかった。

そして、少女は彼自身をずっと長い時間待ち続けた。

ずっと長い時間。

それでも彼は一向に少女の前に姿を見せなかった。

 ところが先日、彼が少女の前に姿を出した。

少女は新たな友達を作ることもなく、1人で彼とまた会えたことを素直に喜んだ。

そう、彼のために。

それからというもの、少女は「おはよう!」から初め、「またね!」で終わる毎日を彼と過ごした。

 いつからだろう、自然と少女の周りから彼以外の友達がいなくなったのは。

それでも少女にとっては些細なことだった。

何しろ、今までと違って彼が少女から離れずにいてくれるんだから。

お互いに愛し合っているわけではないのだが、存在を感じるだけで少女は安心できた。

だから、他に友達がいないことは少しも寂しくなかった。

そう本当に。本当に。

だからこそ、またしても彼が少女の前から姿を消したときは心がとても苦しかった。

具合が悪いのかな? 長期の用事? とか思いつつも「あいつのことだし、きっと大丈夫っしょ。」と思うようにした。

 翌日、3日後、1週間後、1ヶ月後、、彼は現れなかった。

それでも少女は待ち続けた。いや待つことしかできなかった。

 それから半月後、一ヶ月後、半年、1年、、いつまでも彼は現れなかった。

そのうち、少女は「私は嫌われているんだ。」と悟った。

嫌いだから連絡も入れずに私の前から去っていったんだ。

「なんだよ、教えてくれたっていいじゃんか。」

「俺が嫌だったら殺せばいいのにな!、うっざ!」

と1人きりにさせるくらいならそっちのほうがいいと半無意識的に思った。


 少女は自殺を決意した。

そもそも少女には彼以外に付き合いのある人間なんていなかった。

過去の友達も少女にとっては既に友達ではなかった。

大地からは痛いと言われ、森は空気を浄化できないと言って、空は涙を流した。

少女には居場所がなかった。いや元から存在してはいけなかったのだ。

罪を痛感しながら日々を過ごし、自殺するにもその場所が汚れるのを恐れてなかなか実行に移せなかった。

 

 ある日、自殺を実行に移そうとふらふらと外を歩いた。

ふと目についたビルに入り、屋上まで行く。

そこいるすべての存在に謝りながら、飛び降りようとした。

あと1歩でみんなに許してもらえると思ったときに、目の前に彼がいた。

「やっと見つけた。今度こそずっと一緒だよ。」

そうか、いなくなってしまったのは私のほうなんだ。彼のほうがずっと待っててくれたんだ。

彼は嫌いなんかじゃなかった。嬉しい。

「俺さ、ずっとお前のこと探してたんだ、ほんとだぜ?まさかこんなところにいるなんて思わないでしょww」

と少女は思わず言ってしまった。

彼は何も言わなかった。それでも両手を大きく広げて微笑んでくれている。

少女は彼の期待に応えるように1歩駆け出し、彼と抱き合った。

 

 少女は幸せだった。もう彼からは離れないと誓った。


 ある通行人は目の前のビルの屋上に一人の人物が経っているのが目に留まった。

飛び降りるのか?と思い見ていると、あと1歩のところで止まった。

何やら誰かと話しているようだ。

そして話し終えた後笑顔となり、抱き合う姿勢で飛び込んでいった。

もちろん、そこには1人しかいなかった。

 

 こうして、ある”男”の物語は終わったのだった。。。

連載にしてますが、次書くのかな。。(書きたい...)

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