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一筋の光が落ちた。
星々は回る。
地平線が光をのぞかせ、光は闇と溶け合い、混ざり合う。
闇が来て、また日が顔を出した。
地平線に光の輪郭が現れる。
辺りには霜が降りている。
すっと吸い込んだ空氣が氣道から肺へ流れると、寒さがより一層感じられた。
ヘレルの口から白い息が漏れる。
「悪い場所ではないが少しばかり冷えるな」
「そうでございますか?」
「お前らは良いな、体が毛で覆われているからへいちゃらだろう」
七人の付き人は苦笑いを浮かべる。
「そうだ、あれで暖をとろう」
ヘレルがキッと木を見据えると、ボッと炎が燃え上がった。
「ヘレル様、あまり目立つようなことはなりませぬぞ」
と立派な鬣と黄土色の体毛、爪と口から牙をのぞかせた、ライオン男バルバスが言った。
「む? そうかこれで目立つのか……」
ヘレルが腕を炎の方へ伸ばして、手のひらをぐっと掴む仕草をすると、燃えていた木は消火された。
「ではあれだ」
ぐんっとヘレルの腕が林の方へと伸びていく。
十メーターほど先であろうか、しゅるしゅると腕が元の長さに戻ると、ウサギが一匹掴まれていた。
それに火がともる。
火がついたウサギを握っているヘレルは熱さを感じていないかのように、すました顔をしている。
「温かい」
「ヘレル様、殺生も極力お控え下さい、仕事以外ではやめるようお願いします」
と黒い体毛に覆われた熊男のオトソが言った。