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化学ファンタジア  作者: saiha
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31話:覚悟の金属結合

 翌日、ボイルによって火傷を負ったフラーレンの傷ついた体を癒すためにコバルトはお風呂を共にした。


「背中の傷…大丈夫?雷に打たれた後の人ってこんな模様が出てくると聞いたけど、これはひどい」


「雷の置き土産というより、ボイルの置き土産ってとこだね」


 冗談を交えながらコバルトは、フラーレンを薬湯に入れる。コバルトも圧力でフラーレンが押し込まれてる中、瓦礫に足を負傷してしまったので2人は水着になって入浴する。


 2人の入る薬湯は、完全なる温泉で避難をする際に偶然見つけたとビニルが言っていたらしい。効能も人それぞれだが万病にも効くという事だと研究者が話した。


「コバルトも傷を負ってたんだね。それも…骨折するかしないかの痛みに耐えてたなんて。私よりひどいし…」


「君の方がひどいでしょ。下着で電気拷問されてさ、しかもブラとパンツは電気で焼かれてあと少しで全裸になってしまいそうだったみたいだしさ」


 なぜか笑い話をする2人。体を見られたくないフラーレンに、自分よりも傷がひどいと見ているコバルト。薬湯の湯船で、互いを謙遜する姿は可愛らしく見えた。


 一方、アクリロニトリルはプロパノールと部下にあたるカーバイドにクロロを招集していた。


「皆、よく来てくれた。ボイルを止める為に作戦を立てたいと思う。本当ならコバルトとフラーレンを呼びたかったが、ボイルの拷問でフラーレンは体に火傷を負ったらしい。そのためコバルトは2人で一緒にいるから我々だけで話を進めよう」


 プロパノールの淹れるお茶を飲みながら、カーバイドは意見する。


「圧力を得意とした攻撃ですから、その圧力に反応しづらいクロロの軍勢で一刀両断するのはどうでしょうか?前回も言いましたが、クロロは光以外のものは全て無効化されるはずなので」


「僕が出るとなると、夜に奇襲をかけるか」


 クロロは、光触媒で反応を起こすので日の光を好まない兵士だ。


「まぁでも、夜の奇襲は敵も考え難いものだろう。やるなら速攻で終わらせたいな」


「クロロの言う通りだ。なら、この金属結合で全てを溶かそう。転炉型の鍋に追い込んで最後はドロドロに」


 アクリロニトリルの考え方は一種の追い込み漁で、敵を一網打尽にした後、尋問する事なく鉄を精製するやり方でぶち殺すという彼にしては珍しい作戦だ。


 この考えには、コバルトやフラーレンには伝えずそのまま遂行しようという実にサプライズな作戦をアクリロニトリルは提案する。


「万が一を兼ねてあの2人には、武器を渡している。この世界へ迷い込んだ時、フェノールの一派に殺されそうになってたから念には念をこめておかないとな」


 作戦に対し、クロロとカーバイドは同意する。プロパノールの淹れた紅茶を飲み終えたと同時に。


 作戦が決まった時、コバルトとフラーレンはお互いの傷に薬を塗りあっていた。


「フラーレンの背中傷もひどいな。届かない事だから治るまでは塗るよ」


「そんなコバルトも筋肉裂傷起こす寸前まで無理するんだから。しばらくはお互い安静だね」


 仲の良い夫婦に、水入らずのような可愛らしい2人だった。塗り終わると2人は着替えてベッドに座る。


「この世界へ戻ってこんなにフラーレンが傷付くなんて…僕のせいだね。あの時断れば良かったのかもしれない」


「自分を責めないでコバルト。こうなるなんて誰もが予想できない事だからさ。私は、今無事でここに座れるだけ嬉しいよ。だからそんなこと言わないで」


「何か…ごめん」


 自分を責めるコバルトを慰めるフラーレン。コバルトの目には光るものが見えた。傷がまだそこまで癒えていないフラーレンは、コバルトの心を落ち着かせるために自らの膝にコバルトを寝かせて頭をさすった。


 幼馴染の仲は本当に強固で、結婚する形になるとそれ以上に誰もが引き裂けないものへと変貌する。話し合いを終えたプロパノールが気づかれないように覗いてクスッと笑った。

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