24話:受験必勝の公式
大切なニット帽と言い、夏のビーチで撮った写真と言い大切なものが増えた2人はいつものようにニコニコしていた。しかし、学校も進路を決めなければいけないので2人は遠距離での恋愛をするのか、それとも一緒の進学先で楽しむのかという選択を迫られていた。
「さて、どうしようかな…コバルトは医学部を志望してるだろうし、私どうしようかな…」
フラーレンは自分の成績を加味した上で考えていた。筆記試験はトップクラスだけども、実技は苦手である為内申点はあまり良いとは言えない。コバルトは完全無欠だけども何かに怯えてるように見えた。新しい章でもあり、パスカルにて送る日常は最後の章となる一年が始まろうとしていた。コバルトは普段見ないようなものを持ってきて、作戦を練っていた。
「こうやったら行けると思うが、フラーレンと一緒に居たいしまだ志望学校は決めないでおこうかな。彼女と同じ学校にいた方が精神的にも楽だし、フラーレンもフラーレンで頑張ってくれるし僕もその活力で元気になれるからお互い一石二鳥ってところかな」
独り言をぶつぶつ呟くコバルトの元にフラーレンが、背後からコバルトの目を手で覆って目隠した。2人はもう、出来てるようだ。
「だーれだ?」
「分かるよ。フラーレンだな?お前もついにそんないたずらを仕掛けるなんて…でも仕返しだ!」
コバルトは、その手を振り払ってフラーレンの背後を取って手でフラーレンの目を手で覆った。流石のフラーレンも動けなかったようだ。
「キャッ!?」
「いくら僕にいたずらしかけても、この素早さは明らかだね」
2人は笑ったが、どこかフラーレンは不満そうだった。そして、フラーレンはコバルトに少し誘うような一言を放った。
「目を隠すくらいならここ触ってよかったのに…。コバルトなら許せるもの」
フラーレンがその場所を触りながら話した。しかし、コバルトは純粋な男の子でもありそんな事に興味を持つわけがないため現実を突きつけた。
「バカなことするのも悪くないが、もうこの1年が最後の1年だぞ?流石に進路決めないと怒られるし、考えないといけないぞ」
コバルトの真剣な眼差しにお転婆娘のフラーレンも流石に現実へ戻った。フラーレンもどんな進路が良いのか、自分でも分かっておらずあたふたしていた。2人はゆっくり話をしながら勉強をするという手で様子を見る事にした。
「コバルトはどうするのか決まってるの?」「いや、まだそんな決めていないよ。フラーレンの考えを聞いた上で考えるかな」
「何その考え面白いけど何かコバルトらしいや」
教室にはコバルトとフラーレンしかおらず、2人は理系科目に文系科目の国語や英語を強化していた。理系科目は2人とも完璧であるが、文系科目になるとコバルトは理解までに時間がかかるがどうにか食らいついているのに対し、フラーレンは珍紛漢紛とデコボコカップルだ。
「もう何でこんな意味になるの(怒)」
フラーレンは絶叫した。しかし、コバルトは無言でフラーレンの机に辞書とコバルト流の覚え方を書いたノートを貸し出した。そして、コバルトは覚えないと時間がもったいないぞと言わんばかりに目で訴えてそのまま自分の勉強へのめり込んだ。フラーレンはそれを参考にしながら勉強に励んだ。2時間後、学校は閉まり2人は帰路についた。そして、コバルトがやったあの行動をフラーレンに分かりやすく説明した。
「僕も完璧だって他の人から言われるけど実際は自分で調べて覚えて一連の行動を継続する、それを続けているわけさ。だからフラーレンにもそうして欲しいと思って無言で辞書とノートを貸した。僕のやり方は普通なのかどうか分からないけどこれをベースにして勉強してほしい。そして、僕の強欲になるけどフラーレンと一緒にいたい。フラーレンと一緒にいた方が僕自身も明るくなれるから!」
突然のことにフラーレンは困惑したが、コバルトの戦略的勉強方法に納得した。そして、フラーレンは改めてコバルトの妻になることを決心した。フラーレンの目には決意と覚悟の涙が流れていた。
「ふふっ、コバルトらしくないなぁ。私泣いちゃうよ?って言っても涙止まらない…。私だってコバルトと一緒にいたいよ!だからさ、別々になっても同棲して結婚しよう!アクリロニトリルさんにも負けない熱い夫婦として!」
コバルトはアクリロニトリルの名を久々に聞いて懐かしんだ。当然、2人の首元には貰ったお守りが付けられていた。2人の未来が明るいものであることを祈って2つのネックレスは濁ることなく、明白に透き通っていた。2人にとってもあの世界で学んだことを活かして今を生きている。そして、名前を次々と思い出してコバルトはドモルガンのことを話し出した。
「何かアクリロニトリルさんのこと思い出したらドモルガンの出来事がトラウマで思い出しちゃう…。あの時のショックはデカかったし、あの人がそのまま突っ込むなんて思ってもなかったからな」
フラーレンも思い出してコバルトに向けて少しだけ怒った。
「コバルトも私を守る為に命投げるようなことしたら私も自殺するからね!私はコバルトがいないと生きていけないし、コバルトがいないと元気なくなるから!」
コバルトは相変わらず笑うことをやめなかった。そして、話を変えて恥ずかしさを消そうとした。
「まぁ、早く帰ろうか。親も心配してることだし、自分らも勉強という仕事が待ってるからさ。気をつけて帰ろう!」
フラーレンと手を繋ぎ、いつもの登下校にて通る道を歩いた。その足跡は、あの兵士も2人の未来を含めて見届けてるだろうと思って…。




