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化学ファンタジア  作者: saiha
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20話:水素結合

 出発の朝、2人は学校の正門で会った。コバルトの手にはボイルの物と思われる本があった。ラウールへ行くにはどうするか、2人が住む街の中心にあるフォンセンターへ向かった。そこではバスなどの公共交通機関があり、行けるものがあると推測した。


「すみません…ラウールへ行きたいのですがどのように行けば到着するでしょうか?」

「ラウールですね。少々お待ち下さい…」


 コバルトは案内口に聞いて調べてくれるのを待った。しばらくして案内口の方から偉い人が説明を行った。


「ラウールですが、この後に18族の場所にバスが来ます。メタノール経由の終点がラウールなのでそのバスに乗って下さい!しかし、ラウールへ何のようで行くのですか?」


 すぐにコバルトが話をしたところ、理解をしてくれた。2人は走って向かい、ラウール行きのバスへ乗った。


「ここからは長距離か…眠たくなったら寝ていいからなフラーレン!」

「うん、ありがとう。でも私も一緒に起きてるよ。コバルトだけ迷惑かけるわけにはいかないしさ…ボイルさんが本当に生きていたら私たちがいるこの世界はもしかしたら死者の世界なんてねー」


 冗談混じりに会話をした2人だった。出発して50分くらいだろうか…段々山奥へと進み出した。終点のラウールに到着した時はなんて綺麗な街だろうと感嘆した。


「なんか、2人でどこかの街へ行くのってさ初めてだね!新婚旅行みたい!」


 フラーレンの首とコバルトの首にはそれぞれのネックレスを付けている事での一言だったが、コバルトは何故か安心できなかった。ボイルさんが生きていたらもし、担任直々にお見舞いへ来ていたならきっと知ってるはずだと…。そして、ラウールの中心街へ行ってみると水素を扱った店が多くあった。フラーレンにとってはトラウマにしかならないものばかりだ。


「この街賑やかで楽しいけど水素扱う時点で嫌いになりそう…。もうトラウマだもん」

「ハハハ…そりゃ気持ちも分かるよ!そんなんだからいつまでもフラーレンは相変わらずドジっ子なんだよ」


 そんな話をしていると、2人は大きな役所についた。そこはどうやら市役所のようなものでもしかしたら分かるのではないかと見て2人は入った。建物の中は水素に関する税務課が多くあった。フッ化水素課、塩化水素課、水課などの水素結合が起こるものに点在していた。役人にボイルのことを話した結果、すぐに調べてくれた。


「ボイルロンドさんですね少々その辺にある椅子に座ってお待ち下さい」


 待合室にある長椅子へ座った2人はその目の前にある食堂を見て何か食べようかなと言わんばかりにお腹が鳴っていた。


「流石に到着してからお腹空いたね。何か軽く食べないか?」

「そうね…長時間の移動に徒歩で探し回ってたから食べよう!お昼過ぎちゃったけど何か食べておかないとキツいからね」


 待つ間、食堂でランチタイムを過ごすことにした。そして食事を取った後、職員の案内で住民票を扱っている所へ向かった。そこには責任者らしき大柄な男と多数の書類が置いてあった。そして席に着くと話を始めた。


「君たちはボイルロンドの生死を知るためにきたのかな…?でもここにはボイルロンドの死亡証明書があるけれどもなぜ、生きてると思ってここに?」


 コバルトは、証明できる書類を渡した。職員が調べて読むと興味深いことに、ボイルは死してなお何かしらの方法で生き霊となっていることが分かった。


「生き霊って一度死んでるのになぜこの文字は死んだ後に書く必要があるのでしょうか?」


 フラーレンの疑問は、ボイルの死亡理由に水素爆発によってガラス破片が胸に突き刺さり致命傷となった、と記されているのにそのボイルが生き霊となって徘徊しているその理由がよく分かっていなかった。職員は2人のつけているネックレスを見て他の職員に話をし始めた。そして、そのネックレスを渡した人が誰なのか判明した。


「それはボイルさんが、生前大切にされた石ですね。その石に書かれているイニシャルをよく見てください。彼がよく書くサインをこの石に刻み込んで自分のものだと言わんばかりに書いてありますね。もし、出来るのであれば彼の生まれた所へ行って夢の中へ入り彼がなぜ渡したのかを聞く必要があるかもしれません。それを知りたいがために来た、というところのように見えますので」


 なぜそれを!と思ったコバルトだが、ボイルが書いた書物に自分たちで調べたことをメモした紙が挟んであった。そして、ボイルが生まれて教師になるまで過ごした場所が書いた紙を書類と共に渡した。


「こちらは、ボイルさんが過ごしていた住所ですのでこちらに答えがあるかと思います。行きますか?」


 職員の問いに考えたが学校へ復帰しなきゃ勉強が遅れているため帰宅した。そして、彼らは夢を見た。そこには、あの時の水素爆発に巻き込まれて死んだはずのボイルが目の前にいた。

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