表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化学ファンタジア  作者: saiha
16/35

16話:愛の化学式

 心を閉ざしたコバルトの元にお客が来た。フラーレンが出迎えに向かったら懐かしい人だった。


「お久しぶりフラーレン。私のこと覚えてるかな?ビニルだよ。そして、アクリロニトリル君のことを知って来たのじゃよ」


 なんと、王水の都からわざわざビニル伯爵が現れたのであった!伯爵に会うのはいつぶりだろうかとフラーレンは思った。


「お久しぶりです。ビニル伯爵!エタンさんはどうされたのですか?でも、なぜここだと分かったのですか?」

「あぁ、エタンなら家で私の帰りを待ってるよ。ここだと分かった理由はこの新聞で君たちの姿が写し出されていたのさ。そしてもしやと思ってここへ来た。プロパノールとアクリロニトリルはどうしてるか?」


 フラーレンは涙ぐみながら2人は死んでしまったことを話した。その訃報を聞いてビニル伯爵は何も返答しなかった。


「そうか…だが良い夫婦だった。なぜなら彼らは最も良いものを持ってたからな。それを渡すべく、君たちのいるところまで来た。コバルト君はどうしている?」


 コバルトの名を聞くとフラーレンはコバルトのいる部屋へ案内した。そのコバルトは心も身体も病んでしまい、廃人になってしまった燃え尽き症候群のような、見るに堪えない姿になっていた。


「はく…しゃく…?ビニル伯爵?僕は夢を見てるのかな…あの時さよならを告げたはず…」


 虚ろな目に伯爵は怒鳴った。


「コバルト!何を言っている?これは夢じゃないぞ。現実だ!結婚してる夫がそんなんで良いのか?お前さんは、守るべきものがあるんじゃないのか?フラーレンさんを傷つけるなよ!このバカものが!」


 今までこんなに怒られることが無かったからか、コバルトはキョトンと目を覚めた。そして、今までの数日間を無駄にしてしまったことを悟った。今すぐにと動こうとしたが伯爵は止めた。なぜなら、今のコバルトは心も身体も傷ついてしまっているからだ。


「君たちのいう儀式の場所がやっと分かった。プロパノールたちが式を挙げた場所、カルボンだ!ここは愛の化学式が刻まれているはず。なぜなら、お前さんが持ってるそのお守りに刻まれているものがその証拠だ!」


 2人は最後の儀式の場所に、運命を感じた。そして、マーキュリー王が入って報告をした。


「おぉ、コバルト君。やっと正気に戻ったか!もう大丈夫そうじゃな。そして、服装から見て伯爵様だと見た。コバルト君を正気に戻してくれてありがとう!」


 マーキュリー王は礼を言った。そして、酢酸の眠る場所へ繋がったことを伝えた。コバルトを先頭にその地へ足を運んだ。酸っぱい匂いが漂う中、ついにアルコールの先祖が眠る地へと辿り着いた。そこには、アルコールの先祖エタノールが眠る地であることがわかった。


「酢酸を化学式で表すとカルボン酸が現れる。そして、カルボンは2人が挙式した場所…。ということはこの書物は偶然書かれたものではない!元の世界へ戻る人への世界平和と共に愛を育む試練であることだ」


 コバルトの推理は理解し難いとフラーレンは思ったが、コバルトとの愛を深めれると思うと少し涙が流れた。奥へ奥へと足を運ぶと、アセトアルデヒドが生成されてる場所へと誘われ光り輝く場所へ辿り着いた。それこそ、正真正銘で純正の酢酸であることが分かった。


「やっと、儀式に使う溶液が集った!あとは儀式を行う場所へ向かって終わりだ!」


 光り輝くお守りはその場所を示そうと一つの方角に光を集め出した。フラーレンとコバルトはネックレスを合わせた。その方向は、シャルル国よりもまだ先に当たるようだった。


「ふむ、これは奇跡だ。カルボンがあるのはボイル国の中にあるがそれを示している。ボイル国はプロパノールが生まれた場所でもある。2人の旅も終わりが近づいてきておるの」


 笑顔だった2人はエントロピーに礼を言おうとしたが肝心のエントロピーはいなかった。そして、近くにあるホイートストンブリッジ国から悲鳴が聞こえた。どうやらセントラルドグマの公開処刑を行っていたのだろうとフラーレンとコバルトを除く人は思った。最後の旅へ2人は遺品にもなるネックレスにプロパノールとアクリロニトリルの意思を継いで2人が結婚した場所、カルボンへマーキュリー王と共に出発した。アルカリ王とその仲間たちは涙を流しながらさよならを2人に言った。結婚を祝福するような感じでもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ