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化学ファンタジア  作者: saiha
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13話:進化論

 気がかりな事にコバルトは気づいた。マグ姐ことマグネシウム王妃は何処にいるのか?

マーキュリー王に聞くと王妃の趣味が意外だった。


「あぁ、マグネシウム王妃は大の戦争好きでアルカリ王の隣にいつもいるらしい。さっきまでいなかったものも話をどこかで盗み聞きして準備していたとな。どんな王妃なのか知らぬが王の隣にいてくれる女ってのは早々におらん。ジュラルミンなら菓子を作っておるぞ。待ってる間よかったらどうだと言ってたかな」


 フラーレンは背筋が凍った。食当たりは御免だと。しかし、なぜ当たったのかもコバルトは何となくわかった。それを確認する為に城の地下牢へ向かった。


「やあ2人とも。ちゃんと反省してるかい?君たちに聞きたいことあってきたんだけど、フラーレンのお菓子に毒入れたの君たちかな?食当たり起こして死にかけたのさ。高熱も出て治すのに結構時間かかったんだけど…?」


 何かを企むようにして2人に言った。2人は何も言わなかった。そして、コバルトの言及に無視した。


「何も答えないって事は図星だね。ナトリウムフェノキシドって言ってたっけ?君の血はフェノール溶液と聞いてるからさ、搾り取っても良いかな?君一人拘束するくらい僕でも簡単だから」


地下牢2部屋に一人ずつ入れていた為、システムを知った上で挑発した。

ナトリウムフェノキシドはコバルトに唾を吐きながら襲い掛かろうとした。


「貴様ら奴隷になる分際が…。牢を破って今すぐに貴様を殺す!」


 コバルトは離れて拘束するためのスイッチを押した。ナトリウムフェノキシドは椅子に取り付いていたゴムのようなものに縛られて腕と脚が露出された。


「僕とフラーレンを奴隷に?それで僕を殺すの…?非人道主義にも程があるねぇ。じゃあ君が死んでくれないかな?この注射器にフェノール液を君が死ぬまで抽出するから覚悟してね♪あ、言っとくけどリチウムも同じようにするからそこのスイッチ押しておくから順番来るまで待っててね」


 サイコパスな一面を見せたコバルトだった。

ナトリウムフェノキシドの両腕両足に管を刺した。そして、血を抜き取った。最後まで不敵な笑みを溢していたが最後はすっからかんになった干物のようになって死んだ。


「溶液結構取れたようだ。特殊な容器に入れてカバンの中へ入れておこう。次はリチウムの番だよ。準備はいいかい?」


 コバルトはもう止められなくなっていた。コバルトが遅いと思ってフラーレンが駆けつけるとコバルトがリチウムに拷問をしようとしていた。


「目を覚まして!バカコバルト!」


 コバルトはフラーレンから顔面にパンチを喰らった。そして、フラーレンは吐き出すように言った。


「コバルトの気持ちは私でも全部じゃないけど大体分かってるよ。でもこれは違う。いつものコバルトじゃないよ。ナトリウムフェノキシドを殺してしまったのは溶液を取り出すためだから仕方ない。でもリチウムは違うはず。私を捕らえてコバルトと共に奴隷として使おうとしてた二人の考えは最悪だよ。でも殺してしまったらそれ以上に最悪だよ。エントロピーの言ってたこと忘れたの?ナトリウムフェノキシドの血液を搾り取ってとしか言ってないじゃん?もうやめて…。いつものコバルトに戻って…お願い」


コバルトに抱きついて涙を流した。コバルトはその一撃とフラーレンの涙で我に戻った。


「すまない…。君のことをと思って少しやりすぎたみたいだ。でも、フラーレンのパンチ痛かった…」


 フラーレンはクスッと一つ笑った。

 エントロピーとアルカリ王は水素爆弾の仕掛けられたところがどこなのかを調べるべく、エントロピーが出した兵士の半分を使って捜索に当たっていた。国の関所の隠れた場所に数十個あることが分かり、厳重に保管した。マグネシウム王妃はレセプター国を滅ぼす為に兵士たちへ愛の籠った演説をしていた。


「皆さんはアルカリ王に選ばれし、勇敢な戦士です。塩基国を守るため、ホイートストンブリッジ国の為に、今ここで食い止めます!全軍レセプター国へ進軍せよ!」


 士気は高くなり、熱気も増していた。進軍を開始していたエントロピーの兵士も一緒にレセプター国へ向かった。しかし、どんなに進んでも距離が近づかない。何故なのかと兵士は疲れ果てた。


「むむ、何故辿り着かぬ…。お主らの気合いが足りておらぬぞ!出来る出来ないじゃなくてやるしかないの!」


 鼓舞してる間にエントロピーはレセプター国が"動いている"事に気づいた。


「下を見ろ!あの無数の脚はなんだ?戦争起こすことがバレてたのかのように逃げている。こいつらもしかして、ダーウィンの進化論を使ったのか?」


 この進化論は元々ダーウィンがガラパゴス諸島で見つけた様々な生物について書かれた書物だが、それを応用してるものに見えた。頭にきたエントロピーはノートパソコンのようなもので大砲を作り出して形にした。厳重に保管した水素爆弾を弾にしてレセプター国へ向けて放った。全てを形にしたエントロピーは無限の戦力をレセプター国に向けて注いだ。歩く火の海となったレセプター国はその動く脚を止めた。


「やっと止まった。どうにか会談して和解出来ればいいのだが…」


 レセプター国への侵入を開始しようと一人の塩基国兵士が入ると体が縮まってサルに退化した。一体どういうことなのか?軍は後退りをして武器を構えて怯えた。


「この門は一体、何なんだ!」

「総員下がれ!エントロピー王とマグネシウム王妃に考えを頂くぞ!」


 兵士は少し下がり、エントロピー王がそれを見るため門の近くへ向かった。アルカリ王も同じように兵士の先頭へ立って様子を伺った。

付近にいた蛙のような生き物をその門へ目掛けて投げた。蛙は一瞬にして退化してゲルバトラクスへと変わった。


「この門は潜る事で退化する仕組みだ!バリアのような物さえ破壊できればこの門を打開出来るはずだ。この門の上に穴のような物を確認した。それがこのカラクリを指す正体だろう。水素爆弾で狙い打て!」


 無数に放たれる水素爆弾の弾中からエントロピーは元の場所へ戻った。門の周りは水素爆弾によって壊滅寸前となった。


「これで大丈夫だろう!我が軍はこれよりレセプター国への侵入を開始する!」


 エントロピー率いるホイートストンブリッジ軍とアルカリ王率いる塩基国軍はレセプター国中枢にあるセントラルドグマの城へと走った。しかし、違和感を感じるエントロピー王とアルカリ王。侵入したのは良いものも肝心のレセプター国の兵士らしきもの及び、国の住人がいない。隠れていてもエントロピーの耳は数百キロ先のお金が落ちる音ですらも聴き取れる聴力の持ち主であるため尚更だった。突然兵士の悲鳴が中心から聞こえた。


「引きずり込まれる。助けてくれ!」

「なんだこの生き物!衛兵!えいへ…くっ…」


 エントロピーは、レセプター国に建てられている住居の屋根を使ってその声のする方向へ走った。そこには何の変哲もない湖のような広い水辺と兵士が最後まで持ってたとされる武器が無数に落ちていた。その場で耳を澄ませて水辺の細かな音を聞き取った。そして、判明した。


「こいつら、半魚人型の兵士かよ…。進化にも程がある。何が目的なんだ?セントラルドグマ…‼︎」


 また、すぐに悲鳴が聞こえた。塩基国の兵士が鳥人によって捕らえられては血を吸って殺していたのだった。マグネシウム王妃は怯えながらも塩基国に伝わる半透膜を軍全体に覆い尽くした。


「レセプター国、別名進化の国とも聞いていたがこれほどとは…」


 アルカリ王は関心していたものとマグネシウム王妃は半透膜を破られないがために必死だった。そして遂に自身の身体を膜にし始めた。


「マグネシウム!何をしている⁉︎そんな事したら体がどうなるかのか分かってるのか?」

「分かっています。でもこれは戦争を勝利に導く為…。この私、マグネシウムを盾としてお使いください。兵士を少しでも守る為です。役立てる王の妻として、皇太子に良いところ見せるために…。アルカリ王、あなたに出会えてそしてジュラルミンを授かってくれて…ありがとう。私の命をアルカリ王に託します!」


 そう言ってマグネシウム王妃は光り輝く膜と化しアルカリ王とその兵士を護った。


「皆の者!今が進軍の時だ!セントラルドグマを引っ捕らえよ!」


 アルカリ王が叫び、兵士が走り出した。エントロピーとも合流することができてそのまま城の中へと入った。アルカリ王はマグネシウム王妃の最後の勇姿を見届けた。破れバラバラになった半透膜はマグネシウム王妃の体そのもので破れ破れに天へと向かった。

その頃、コバルトたちはジュラルミンのお菓子とお茶を楽しみながらフェノール溶液を眺めていた。そして、プロパノールが言っていた試薬について書物を読みながら解読を進めた。

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