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化学ファンタジア  作者: saiha
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1話:爆発

1 話: 爆発

 この世界は化学と物理、生物で成り立っておりそれぞれ成すべき形になっている。化学を中心とした世界として...。


「ファーア...今日も実験だよ...」

 

 化学に強いが物理生物に弱いフラーレン。彼女は主に座学を武器にやっているものの、実験では強酸を使った実験で自分の手を溶かし、燃焼実験で実験室を花火大会にした経歴を持つ。次の実験で失敗したら 退学と言われている。


「ま、まぁ...実験めんどくさいよね...」


 フラーレンの友人であり恋人であるコバルト。彼は実験座学共に高得点でありクラス内では No. 1 とも言われるほど。フラーレンとは幼馴染 みでもあり結婚も視野に入れた付き合いをしている。


「ならさー私と実験組まない?そしたら失敗しないと思うしさー」


「フラーレンいつもドジ踏んでるし、みんなから見て大変だから手伝うつもりだったから良いよー」


 こうして 2 人は実験でタッグを組む約束をした。


 2 人が通う学校はパスカル中学高等学校で国の中では相当な偏差値を持つ一流学校である。実験を主に行い論文などを世界へと輩出する名門でもある。


「さぁ、着いたよ。今日は水素爆発の実験だね」


「いや水素爆発って学校大丈夫なの?」


 そうこうしているうちに担任のボイル・ロンド先生が実験室へ入室され た。


「さて、本日行う実験だがとても危険な実験だ。本学では皆にしてほし いところではあるが今回は私とあと 1 人助手としてやってもらう。本日の助手は始まるまでに色々と熱弁していたフラーレン。君に任せよう」


 クラスは騒然とした。


 実験失敗をしているフラーレンに任せて大丈夫なのか?と。続けて担任が言う。


「まず水素爆発とは何なのかを説明するがみんなは水素を捕集した試 験管があるな?それに親指で水素が逃げないように覆って火を近づけて見ろ。すると音を立てて爆発するんだ。水素が燃やされる事で起こる 反応だ。今回予めグループ分の試験管を用意して今してもらったが今 からその 10 倍以上の量にするとどこまでのエネルギーが出てくるか、 その実験を行う。但し、爆破の範囲がとても広いから外に出る。準備も あるから10 分後集合。フラーレン。私について来なさい」


 と言った矢先 、


「フラーレンが行くのなら僕も行かせてください」


 コバルトが率先して担任に言った。担任は頷いてフラーレンと共に実験の場所となる広いグラウンドへと移動した。


 10分後準備が整いクラスも外へと移動し、保護メガネを着用して担任の実験を待っていた。


「皆、よく間に合って来たね。これからする実験は、とても危険な実験だ。戦争でも使われる程のものであり音も凄まじい。これより耳栓を配布する。付けろと言った時に付けるんだ!」


 と強く言って一人一人に配った。ところがここでトラブルが発生した。担任の指示がまだなのに集めた水素の容器内にある松明へ火を付けてしまった。


「フラーレン!まだだぞ。今ならまだどうにかなる!」


 とコバルトが言った矢先、どでかい爆音が響いた。クラスメートの半分以上は鼓膜が破れ、病院へ運ばれ た。フラーレンとコバルトは意識を失う。


 担任はその爆発で起きた実験器具の破損した破片が胸に突き刺さり、帰らぬ人となった。


「...おい、大丈夫か?起きろ!」


 兵隊らしき男の声でフラーレンとコバルトは目を覚ます。学校にいたはずの所が何故かとある王国に移動していた。


「なぁフラーレン、最後いたのは学校でお前が失敗してたよな...。普通に考えると病院にいる事になるよね?ここって一体どこなんだ?」


 2人が話している最中、兵隊は続けた。


「何を言っているんだ?ここは化学の楽園シャルル国だぞ、お前らはそこでずっと寝ていたぞ」


 その話で 2 人は理解した。何らかの理由で異世界へと来てしまったのだと...。


「ねぇコバルト、私たちどうなるのかな?もう帰れないのかな?」


「状況が分からない...。なぜこの世界に飛んだんだ?そしてこの化学の楽園って何なんだ?」


 状況が分からず混乱していた。


「意味の分からないこと言ってるけれど僕の家に来るか?結構深刻のようだから空いてる部屋使って良いぞ」


 2 人はその言葉に甘えて兵隊の住む家へと足を運ぶ。


 道中はとても見慣れない世界だった。話を聞く限りだと気圧は 1013hPa で常に保たれており、建物の殆どが特殊合金で重いはずなのにとある方法で運ぶ のに最適だという事だった。 兵隊の家に着くと、


「自由に使いなさい。必要なものもここに全部ある。 分からなくなったら僕の妻に聞くと良い。名前を言い忘れてたね。僕はシャルル国騎士団団長のアクリロニトリル、妻の名前はプロパノール。 何かあったらプロパノールに聞きなさい」


 と言ってシャルル国の警護に戻った。


「コバルトごめんね...私のせいでこんな事になってしまって...」


 フラーレンの目に涙が溢れていた。しかしコバルトは意外なことをフラーレンに 言った。


「この世界面白い!勉強できるぞ!フラーレン泣くなよ...。僕は今感動 している。なんて素晴らしい化学の世界なんだ!」

「コバルト...。そうだね、どんな時もポジティブに行かないとダメだね」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 水素爆鳴気はどんな時でも、良いのだ…… [気になる点] 論文は人じゃないぞー! (だから輩出はちょっと……) [一言] うちの父は、大学の実験時間中に、捨てる硫酸に腕をずぼっと突っ込んだ…
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