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星空の後継者  作者: IMU
1章 王国編
9/12

第9話 僕に休息は訪れるのだろうか…

久々の投稿、ちょっと頑張った。

「拓くん、ようこそ。シルヴィア王国の王都、フェルライトへ。町の中とか色々気になると思うけどまず王様に会わないといけないからね。また後で案内するからついて来て。フェン、また呼ぶかもだけどとりあえず戻ってくれる?」

「はいはーい。じゃ、またねー拓。」


そう言って消えていった。実体化を解いたようだ。僕は町の様子に気を取られつつも先輩と瑠衣を見失わないようについて行く。

十分近く歩き、城門の前にたどり着いた。町に入った時から感じていたが、間近で見るとかなり大きい。僕が通っていた学校くらいある。今、門番の人と先輩が何か話している。先輩のことを待っている間に瑠衣が話しかけてきた。


「拓にぃはこの後どうなるとか聞いてる?」

「全く知らん。だけど戦闘はもう嫌だなー。死んでから一週間ちょっと経つんだけど、剣握ってない日が無いんだよな。いい加減休みたい。」

「え?マジで?そんなに何したんだよ。」

「神界ではグリザルにボコられながら剣を使えるようにして、こっち来てすぐに戦闘。対魔獣だからよかったけどさー。先輩がいる場所に送るって言ってまさかの戦場。まぁ、全部グリザルのせいだな。」

「残念ながらまだ戦いは続くなー。って言ってもそんだけやってたら問題ないと思うけど。」

「え?まだ戦わされる感じ?」

「多分ね。俺と姉ちゃんは王様に会った後、能力を見せろって言われて闘技場、というかもはやコロッセオなんだけど、そんなところで暴龍(ランページドラゴン)と戦った。2対1だったから余裕で勝てたけど。」

暴龍(ランページドラゴン)か、中位の龍だな。属性は帯びてないが特殊個体の怒龍(レイジドラゴン)は討伐指定種で高位の龍と同レベルで恐れられてるってやつだろ?」

「よく知ってるな、ってあー、禁書庫の情報か。」

「正解。まぁ、戦闘するつもりで準備はしとく。」

「2人とも、行くよ。」


先輩から呼ばれた。門が開き始め、やがて人1人が通れるほどの隙間が空き、先輩が入る。続いて瑠衣が入ったので僕も、後を追うように足を進めた。





城の中に入り数分後、僕たちは重厚な扉の前にいた。


「拓くん、この先にいるのがこの国の王様よ。優しい人だから心配しなくていいわ。」


僕は頷く。


「じゃあ、開けるわよ。」


そう言って扉に手を掛ける。



扉の先、少し高いところに置かれた王座に壮年の男が座っている。

その脇には左に2人の男、と言っても同い年か少し上ほどの青年が、右には瑠衣と同じか少し下ほどの年の少女がいる。部屋の端には計8人の鎧を着た騎士が控えている。


「失礼します、魔獣の討伐並びに例の少年を連れて来だことの報告に参りました。」

「うむ、ご苦労。雫よ。そんなに固くしなくても良いぞ?その少年か。」

「はい。今日この世界に来ました、音波拓と言います。」

「拓、余はアルダルク、アルダルク・シルヴィアである。お前たち、挨拶をしなさい。」


王様が隣にいる少年少女に言う。


「父上、雫には固いというのに自分も緊張させに行くのですね…」

「そんなことはいいから挨拶を。」

「うふふ。私はこの国の第一王女ソフィア・シルヴィアです。気軽にソフィとお呼びください。」

「俺は第二王子のルーク・シルヴィアだ。俺もルークでいいぞ!よろしくな、拓!」

「そして俺が第一王子、アラン・シルヴィアだ。王子であるとともに光翼騎士団の騎士団長もしている。俺もアランと呼んでくれ。」

「余も気軽にアルと呼んでほしいのだがなぁ。」

「父上。」

「わかっとる。余の妻もいるのだが今少し立て込んでいるようでな、また後で紹介しよう。」

「皆さん、よろしくお願いします。」


そう言って頭を下げる。


「真面目だな!俺くらい自由奔放ならばいいのに。」

「ルーク兄様はもう少し落ち着きを持って行動してほしいです。」

「む、そうか!だがこれは俺のアイデンティティだからな。却下だ!」

「はぁ…」

「では話を続けるぞ。いつも通りグリからは何も聞いていないから、拓には簡単な試練を課したい。

内容は暴龍(ランページドラゴン)の討伐または無力化。これは失敗しても良い。こちらが倒せぬと判断、又は危険な状況になればアランがどうにかする。」

「わかりました。僕も疲れてるんで早く休みたいですし早くやりましょう。」

「うむ。アラン、拓を闘技場まで案内しなさい。余たちは観覧席にて待つ。」

「わかりました、父上。拓、ついて来てくれ。」

「わかった。」


アランに案内されたどり着いた闘技場は瑠衣が言った通りコロッセオだった。実際に行ったことはないがおそらく大きさも大差ないだろう。中心では2人の術者が地面に描かれた大きな魔法陣を囲んで待機している。


「拓よ、聞こえるか。」

「はい。」

「攻撃は周りに被害を出さなければ問題ない。結界も張っておる。」

「こちらも準備はできています。始めてください。」

「術者、召喚開始。」

「「はっ!」」


術者が詠唱を始める。

僕はその間に次元倉庫から辞書のような分厚さのハードカバーの本を取り出す。

魔法陣が輝きを増す。次の瞬間目の前には僕の身長の5倍ほどある、龍が召喚された。


「グルルル……」


龍は僕を見据え唸る。


『術者の撤退は済んだ。好きなタイミングで始めよ。』


アルダルク王から念話が届く。龍を刺激しないためだろうか。僕は王の方を見て軽く頷き、龍の方へと向き直る。


「おい。」


龍に向かって問いかける。龍は僕を睨みつける。どうやら聞く気はあるようだ。


「無駄な争いはしたくない。降伏して僕に従え。」

「グラァァァッッ!」


返ってきたのは咆哮による拒絶。まぁ、当然だろう。


「5分だ。5分後にもう一度問いかける。その時まではやりあおうかっ!」


数秒前まで僕がいた位置に爪が走る。ここまで体格差がある相手に対して斬り合うと確実に吹き飛ばされる。

幸い、僕の方が早い。そして、切り札はある。

取り出しておいた本…《魔導書》によって多くの魔法を転写してあるそれから、無造作にページを二枚千切る。


展開(キャスト)炎弾(ファイアバレット)続けて展開(チェインキャスト)風弾(エアバレット)】」


転写しておいた展開済みの魔法陣を呼び出し、空間に投影する。ページは魔法陣を投影し終わった時点で崩壊した。次の瞬間、魔法陣から無数の炎弾と風弾が飛び出す。


「決定打にはならないだろうな。連続展開(ループキャスト)身体強化(フィジカルブースト)】」


連続展開(ループキャスト)とは魔導書に同じ魔法があれば、効果が切れる際に勝手に展開するよう僕が編み出した使い方だ。これのおかげで強化系統の魔法が戦闘中に切れる心配はほとんどなくなった。

強化した脚力で地面を蹴り、さらに加速する。

龍は反応できていないのか、動く気配がない。ッッ!違う、これは…


展開(キャスト)!【多重結界】」


結界を張ると共に竜からの攻撃…吐息(ブレス)が放たれる。


「結界じゃ時間稼ぎにしかならないか。大地よ、我が言葉を聞きたまえ。我は大地を統べる者。我が意に従い、我が身を守る盾となれ。【大地の壁(アースウォール)】。」


詠唱はフェイク。本当に必要なのは魔法名とイメージだ。まだ力をバラすわけにはいかない。宣言した5分まであと30秒。吐息(ブレス)はまだ続いており、壁と共に僕の身を隠してくれている。


「《竜血解放:10%》…」


僕は呟く。僕に宿る魔力、それには竜の因子(星咬の魔力)が混じっており、人である僕は本来、それに耐えられない。なので普段は魔力同士を相殺することで因子を持つ魔力を封印している。しかし、それが大きな力となるのも事実。そこでグリザルとの訓練時に少しづつ使いながら戦闘し体に慣らすことで、現在30%までなら耐えれるようになった。


「バレてないといいけどな、これ。」


10%だけだが、本来変わらないはずの魔力の質が変わるのだ。バレたら大変である。

ブレスが止まる。龍は少し怯えたように後ずさる。


「約束の5分だ。」


龍は生存本能が高い。自身より上位者の気配にはかなり敏感である。


「再度問う。僕に従え。悪いようにはしない。」


それが最上位の星王竜の魔力なら…


「グルル…」


龍は頭を下げ、僕の方へと近づける。軽く撫でてやると、元へと戻り、動かなくなった。


展開(キャスト)【使役契約】」


このまま役目が終わったからと王国に処分される可能性を減らすため、即座に契約魔法を使用。向こう側も承諾したようで、つながりができる。


『少年、王の力を持つものよ。我は主の力となろう。』

『好きにしてくれればいい。契約もあくまで殺させないためだ。』


つながりを利用した念話。それによって龍との意思疎通が可能となった。


「そこまで。」


王様が告げる。


「龍の無力化、そして契約。見事であった。これほどの実力ならば新しく作る予定の騎士団の団長も任せられるだろう。ご苦労だった。」

「待ってください。父上。」


静止の声。


「どうした、アラン?」


静止をかけた人物…アランは闘技場の中へ降りてきた。


「どうかしましたか?」

「貴様何者だ?どうして複数の魔力を持つ。」

「…なんのことですか?」

「とぼけても無駄だ。少し目がよくてな、些細な変化も見逃さないのだ。」


アランの瞳には幾何学模様が浮かんでいる。


「魔眼か…」

「契約しているのが霊鳥なものなでね。少し目を借りているんだ。だからこそわかる。その魔力、龍のものだろう。」


完全にバレてーらこれ。どーしよ。

そんなことを考えてると、もう1人、僕とアランの間に割り込むように人が飛び降りてくる。


「アラン、試験は終わった。拓くんには問題がない。それじゃ不満なのかしら?」


先輩が問いかける。


「その少年は異質だ。本質を見るにはこうするのが一番だ。」


そう言いながら、剣を抜く。


「聖天…本気なのね。だけど、それだけはさせない。」


先輩も腰に下げる細剣を抜こうとするので、手を抑えて静止する。


「アランの言うことも理解できます。先輩は見ててください。展開(キャスト)【絶界】」


闘技場自体を空間から切り離し、この空間の外からの干渉をできないようにする。


「星咬。」


名前を呼ぶ。僕から魔力を持っていき、実体化する。


「あまりはしゃぎすぎるなよ。」

「わかってる。結界の維持をしながら先輩を守って。傷一つつかないように。」

「おう。任せておけ。雫と言ったな?少し下がっておけ。お前もだ、龍。」

「え、あ、うん。」

『仰せのままに。』


これで準備は整った。


「見極めてみろ。僕と言う者の本質を。」

「いいだろう。早く抜くといい。」

「来い、星空。」

「なっ!」

「え?」

「ほぅ…」

「おいおいマジか、拓兄。」


次元倉庫より呼び出した星空を構えると、周りから驚きの声が聞こえる。それを無視し、アランを見据える。


「見極める時間くらい耐えろよ。」

「口だけじゃないと証明してみろ。」


無音の時が過ぎる。

アランが動く。それに合わせ僕も動き出す。互いの剣が交差し、キンッという音が鳴る。こうして、予定外の2人の戦いが始まった。

次はおそらく俺カノが上がるかなー

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