第6話 旅立ち
7/20ステータス欄変更
僕が意識を取り戻したのは1日後だった。試練が終わるまでほとんど寝ていなかったことと、死んだと思ったらこんなありえない状況に陥っていることでかなり精神が弱っている状況で、莫大な量の情報を得たことでこうなったのだろう。死ぬまでに一日中寝ているなんて経験をするとは思わなかったな。まぁ、一度死んでいるけど。
目を覚ましたのは図書館の中にある小部屋の一つだった。体を起こすとベットの横でクリスタが椅子に座って本を読んでいるのが見えた。おそらく、ずっとつきっきりで様子を見てくれていたのだろう。布擦れの音に気づいたようで本を閉じて話しかけてくる。
「あ、拓くんおはよう。おかしいとことかない?」
「うん。特に違和感はないかな。」
「それは良かった。とりあえずグリザルと星咬呼んでくるわ。」
そう言って部屋を出て行った。
数分後、ガチャッと音を立ててクリスタとグリザルと星咬が入ってきた。
「無事で何よりだ。」
「悪かったな、先に気絶するかもって伝えてなくて。いやー我もすっかり忘れていた。」
「コイツにはしっかりとお叱りを入れておいたからね。そんな重要なこと先に言っといて欲しいわよ。部屋にたどり着いたら拓くん倒れてるんだもの。びっくりしたよ。」
「心配かけてごめん。それで《星空》は?」
「そこにある。」
星咬が指さす方を見ると、ベットの隣に鞘に入った《星空》が立てかけられていた。
「継承がうまく行ったかどうかはステータスを見てみろよ。」
「うん。グリザルたちはもう見たの?」
「いや、まだ見てねーぜ。」
「勝手に見るのはねー。さ、早くステータスプレート見せて!」
「わかった。ステータス。」
ステータスプレートを取り出してステータスを見る。
「「「「…」」」」
そして全員言葉を失った。
その原因は当然僕のステータスにある。
《ステータス》
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名前:音波拓
性別:男
年齢:16歳
種族:人族(竜血混合)
Lv:58
属性:地
称号:転生者
超越者
星空ニ選バレシ者
職業:魔法剣士
HP:12000/12000
MP:9200/9200
筋力:B+ (竜血解放状態B+→A)
俊敏:C (竜血解放状態C→B)
知才:SS
《クラススキル》
【超越級魔導士】・・・【術式理解】【想像構成】【詠唱短縮】【魔法混合】【魔力操作】【魔力回復高速化】【魔導の極】を内包する。
*【術式理解】・・・魔法式または展開された魔法を見ることで発動魔法を理解できる。
*【想像構成】・・・意識することで式を構成できる。
*【詠唱短縮】・・・詠唱を短縮できる。
*【魔法混合】・・・魔法同士を掛け合わせ、混合魔法として使用することができる。
*【魔力操作】・・・魔力を操作できる。
*【魔力回復高速化】・・・魔力を回復する時間が大幅に短縮される。
*【魔導の極】・・・五元素属性に対する適性を得る。
【上級剣士】・・・【上級操剣】【筋力増強】【体術】を内包する。
*【上級操剣】・・・剣を操る才能が増す。
*【筋力増強】・・・筋力のステータスが増す。
*【体術】・・・体捌きが上達する。
《スキル》
【魔導書】・・・事前に魔力を使用し媒体に記録することで魔法を即時に展開することができる。(自身のMPの倍が上限値)
また、記録していた魔法を還元することで魔力を取り出し利用することができる。
【鑑定】・・・対象物の情報を閲覧できる。情報量は対象の抵抗力に左右される。
【魂魄魔法】・・・魂魄魔法を習得・使用することができる。
【大地属性支配】・・・大地の属性を持つ魔法を一節の詠唱で発動できる。
【龍属性支配】・・・龍の属性を持つ魔法を一節の詠唱で発動できる。
【重力魔法】・・・重力魔法を習得・使用することができる。
【空間魔法】・・・空間魔法を習得・使用することができる。
【竜血解放】・・・自身が保持する竜の因子を解放することで能力を大幅に上げ一時的に自身を竜人に昇華させる。
【八芒星の魔眼】・・・魔力の流れ、所有する魔力の量などを見ることができる魔眼。
《耐性》
【状能異常治癒時間短縮】・・・毒などの状態異常にかかった際、治癒に必要な時間を短縮する。
【魔法攻撃耐性】・・・魔法攻撃に対する耐性を得る。
【龍鱗】・・・物理、魔法共にダメージを軽減する。(竜血解放状態のみ有効化)
「レベル58?それに何このスキルの量。」
「竜の因子が効力増しているじゃねーか。竜人に一時的になれるのか。」
(俺と契約したから因子が強化されたとか言えねー)
「…なにこれ。」
想像以上の伸び率で驚く一同。
「グリザル、星咬、これ2人で相手して実践形式で戦闘訓練したらすぐにでも送り出せるよ?」
「即戦力だな。」
「んじゃ早速やるか?拓。」
「是非。もう体調は問題ないし。やろうか。」
そこから5日間、ひたすら戦闘をし続け身体に戦い方を覚えさせた(ほとんど2人にボコられてただけだけど。)僕は、1日休息を取り、ついに旅立ちの時を迎えた。
「短い間だったけど、初めてここに来た時とは顔つきが変わった気がするよ。私があげたローブ大切にしてね?」
「うん。」
「ほい。これやるよ。」
そう言いながらグリザルが指輪とネックレスを投げ渡してくる。
「指輪は俺が管理してる武器庫の扉を開くやつだ。ネックレスは他の転生者や神器保持者に渡してあって、そいつらや俺たちと念話を繋ぐことができる。どっちも魔力を流せば起動できるぜ。念話の方は全員に繋げる以外には呼びかけたい奴のことを思い浮かべると個人間のやりとりもできる。物は試しだ。挨拶がわりに全員に繋げてみろ。」
言われた通り魔力を流す。
『聞いてくれ。新しい転生者だ。』
『音波拓と言います。よろしくお願いします。』
『と、まぁ拓だ。仲良くしてやってくれ。それで聖王。お前のとこに送り出すが問題ないか?』
グリザルが問いかけると男の声が頭に響いた。
『構わん。王城の中庭に門を開くといい。』
『ちょっと待って。』
男の後に女の声が聞こえた。
『名前、音波拓って言ったよね?もしかして、拓くん?』
『ん?なんだ雫、拓と知り合いか?』
雫ってまさか…
『雫先輩?』
『やっぱり拓くんだ。この世界救ってこっちから会いに行こうと思ってたのに。まさか死んじゃったの?』
『お二人さん、その話は会ってからしたらどうだ?』
『それもそうね。今東の荒野にいるからそこに門を開けて。』
『聖王、雫がこう言ってるし良いか?』
『構わん。雫よ、後で王城に来たまえ。』
『わかりました。じゃ、また後でね。拓くん♪』
『以上だ。その他の奴らはまた会った時にでも話してくれ。』
グリザルが締めの言葉を口にしたので魔力の供給を止めた。
「まさか雫先輩も転生しているなんて。」
「拓くん、雫ちゃんと知り合いだったの?」
「知り合いというか通っていた中学の先輩で2年前に交通事故で死に別れた人なんだ。」
「つまり運命の再会ってことか。」
「今雫から念話があって、魔獣との戦闘が始まるかもしれないらしい。どうも魔獣討伐任務で荒野に出向いていたみてーだ。」
「グリザル、そこのど真ん中に落としてよ。魔獣相手に初戦闘。初陣としては十分じゃない?」
「それでもいいんだが思ったより数が多いらしい。約500だとよ。」
「なら1人でも多くいたほうがいいんじゃない?雫先輩に伝えてよ。僕が直接戦闘に参加するからって。」
「わかった、だが無理はするなよ?あと、多分雫はお前のレベルはまだ低いと思ってるはずだからどうせなら度肝を抜いてやれ。雫には情報は隠しておくから。」
「了解。」
「あと忘れるな?《星空》を無闇に抜かない。向こうの神が監視している可能性があるからな。」
「わかってるよ。」
「じゃあ門を開けるよ。」
クリスタが【天界門】を作る。
「我は実体化しておく魔力が勿体無いから《星空》の中にいる。何かあったら呼び出せよ、拓。」
「もちろん、一番頼りにしてる。」
「じゃあな、グリザル、クリスタ。」
そう言って星咬は消えた。
さぁ、旅立ちの時だ。地上に行ってからは雫先輩からの質問攻めに合いそうだけど。そんなことを思いながら、グリザルとクリスタの方を向く。
「グリザル、クリスタ、いろいろありがとう。」
「気にすんな。」
「困ったことがあったらいつでも念話繋いでね。」
「それじゃ、行ってきます。」
「「いってらっしゃい」」
クリスタとグリザルに見送られながら地上へと続く門を潜った。
拓が去った後の部屋の中。
「また静かになったね。」
「あぁ、だが《星空》が地上に行ったんだ。ここから一気に動き出すはずだ。」
「そうね。私たちの目指すことは今の世界神の打倒。そして世界を作り直すという馬鹿げた計画を止めること。」
「その時までは見守るしかねーがな。さ、システムの点検やらの仕事やるか。」
「そうね。」
そう言って2人はそれぞれの居場所へと歩き出す。
この2人が再び拓と会うのはまだ先の話になるだろう。
ここから始まるのは、神に抗ったかつての英雄から力を受け継いだ少年の物語。
とりあえず序章が完結です。
ここから物語が始まります。
先に設定集をあげてから1章へと入ろうかな。と考えています。
これからもよろしくお願いします。
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本編では出てきませんでしたが《星空》の性能です。
銘:星空
クラス:創星級
《スキル》
【七星剣】・・・次の7つの能力を引き出すことができる。
一番星《天枢》
→重力魔法と大地魔法を併用し空中に足場を作ることで3次元機動力を上昇させる。
二番星《天璇》
→地面に《星空》を触れさせることで発動できる。大地の力を暴走させ広範囲に地震を起こす。
三番星《天璣》
→治癒能力の爆発的上昇、痛覚無効化、体のリミッターを解放。ただし効果時間終了後蓄積されたダメージが反動となって現れる。
四番星《天権》
→ 上空に石の剣を作成、重力魔法により加速させながら落下させる。
五番星《玉衝》
→重力魔法により剣を振るたびに重量が増していく。
六番星《開陽》
→味方する者に、身体強化、恐怖耐性、加護の付与、痛覚軽減を与える。
七番星《揺光》
→敵対意思があるものに、耐性低下、身体能力低下、恐慌の状態異常を与える。
【形状変化】・・・所有者のイメージ通りに形状を変化させる。
【世界展開】・・・〈大地世界〉〈重力世界〉〈流星世界〉〈○○○○(秘匿されている)〉を内包している。星空を握っている時のみ使用可能。
【投射】・・・保存されている能力を試練を突破したものに投射させる。