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2話  命がけの冒険者

「リトルボルト!」


私のかざした手から、モンスターにイナズマが走った、

その直撃を受けたモンスターは痙攣をおこしてその場に倒れた


「イノシシ系のモンスターね、やはりまだ息がある・・・

 苦しませるつもりはないわ、リトルポイズン!」


倒すべきモンスターといえど、その命を奪うことを楽しむ趣味はない、

せめて苦しまぬように毒でとどめをさした。


私は各種攻撃魔法の中で毒をとどめに使うことが多い、

それは対象となるものの神経回路に作用し意識を刈り取り瞬時に心臓を止めることができるからだ、

もちろん、それは使う毒の種類による、

私は、神経毒を好んで使った。


「それにしても、最近イノシシ系の中型モンスターが増えてるわね、

 ちょっと前はウサギが魔物化したモンスターが多かったのに・・・」


魔物化・・・そう、モンスター達は元々はただのケモノなのだ、

それが魔にとりつかれ、魔物化するのだ、

そして、魔物化したもの達は年月を経て、より邪悪なモンスターへと変化していく

例えば、牛が魔物化し、時を経てミノタウロスになるように。

だから、そうなる前に魔物化して時が浅いうちにそれらを狩るのだ。


「リトルポイズン!」


またイノシシ系・・・今日はこれで5体目だわ、

奥にまだ気配があるけど、このあたりで引きあげたほうがいいわね、

魔力もだいぶ消耗したし、


そのときだった、森の奥で何かが激しく激突する音がした、

それは金属や硬い木などが当たる音ではなく、

肉が叩かれるいやな音だった、そしてその直後聞こえたのは、

地面に何かが落下する音だった。

いやな予感がしてその場所へ走った、そしてそこで見たものは、

地面に倒れた男と、そこへ攻撃を加えようとするイノシシ系のモンスター、

しかも、かなり大きい個体だった、


きっと体当たりを食らい、空中に跳ね上げられそして落下、

さらに次の攻撃を今、受けようとしているのだろう、


まずい、あの者、意識は・・・


その男はふらつきながらもモンスターが再び突進を開始する前に立ち上がった

そして武器を構えた


なっ!、ナイフ!?、両手ナイフで?

そのモンスターと戦うの?無謀だ!

あっ、だめだ、逃げて、


男に向かってモンスターは突進を開始した。

男はそれをギリギリで横にかわす、

その刹那、ナイフで目を切りつける、その狙いは良い、しかし、たやすくかわされた。

横に跳んだ男の動きに驚くべき速さで対応したモンスターは

ほぼ直角に向きを変え、男を自身の真正面にとらえた、そしてその脚力で一瞬にして

最大速度に達し、その牙で男を空中へと跳ね上げる体勢をとった、


あの男、やられる、


私はそう確信した、そしてその予測どうり男は空中へと木の葉のように浮いた

しかし、様子が少し違う、

必殺の攻撃をくわえ、勝ち誇る立場にいるはずのそのモンスターが悲鳴を上げ、

血しぶきを噴き上げている、

見ればその両目に深々とナイフが突き刺さっていた。


男は地面に叩きつけられ朦朧としている、しかしモンスターの息の根はまだ止まってはいない、

目が機能を失っても、その嗅覚で男の位置をつかんだようだ、

そしてその両手からナイフを失い丸腰となった男へ、再び突進した。


「あぶない!うしろよ!」


私は思わず声にしていた、

こちらを向いて立ち上がっていた男は、私の声でふらふらと後ろを振り向いた

そしてイノシシ系モンスターの体当たりをまともに食らい、空中に・・・


ヒュンヒュンヒュンヒュンーーーーズダン!


宙を舞って回転し私の目の前に落ちてきたのは、そのイノシシ系モンスターの方だった。


「はっ、り、リトルポイズン!」


私は慌ててその痙攣するモンスターに止めをさした。

そして急ぎその男のそばへ駆け寄った、


「しっかりして!、大丈夫ですか、」


「う、うう、モンスターは・・・」


「大丈夫です、私が止めをさしました」


「そうか、君が倒してくれたのか・・・すまない、あ、ありがとう・・・」


「しゃべらないで、すぐ回復魔法をかけます」


その男のダメージは想像以上だった、

アバラの骨折、多数の裂傷、そして内蔵の損傷まで・・・

へたをすれば死んでもおかしくない怪我だ、こんな命がけで・・・


いや、当たり前なんだ、冒険者なんだから、

この人は命をかけてるんだ、


私は胸の奥に熱くこみ上げてくる何かを抑えられなかった

今、私も冒険者の端くれなら、この人を救うことに命をかけるべきだ、


そう思って魔力のすべてを使い、その男を回復させて・・・


「あううっ、目が、まわる・・・」


ほんとにすべてを使い果たし、私は倒れた。



お読みいただきありがとうございます。


少しでも面白いと思っていただけたなら、是非


ブックマーク、そして評価をよろしくお願いいたします。

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