表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

喩えばそれは、「仮令」を「例え」と間違えるようなもので……



 今回は「たとえ」の話。



「たとえ」には、「例え」と「喩え」と「譬え」と「仮令」と「縦令」と「縦え」があります。



 そしてこれは、ざっくりと二つに分かれるのです。



 一方は「例え」と「喩え」と「譬え」に、他方は「仮令」と「縦令」と「縦え」にという具合に。



 実は、前者は名詞、後者は副詞という風に、そもそも品詞から違います。





 ではまず「例え」と「喩え」と「譬え」の違いから。



 これらは全て名詞ですが、口語では動詞の「例える」、「喩える」、「譬える」として使うことが多いことでしょう。



 ピンとこない?ならもう一工夫。「例えば」と「喩えば」と「譬えば」の形です。






 では、これらの使い分けはどうでしょうか?



 まずは次の2つの例文。



「タトえば、時計は12進法、コンピュータは2進法だ」



「タトえばそれは、昼の月のように朧げだった」



 これに漢字を当ててみましょう。どれが当てはまりますか?









 答えは、前者が「例えば」、後者が「喩えば」と「譬えば」です。



 さて、単語から考えてみましょう。





 まずは「例」の字ですが、これは難しくありませんね。「例文」や「例示」、「例外」などからわかるように、"何らかのものごとに対する補足的な情報"を表します。



 こうした"例"の内容自体は、文章全体の中では基本、中核をなしません。説得性の獲得や、わかりやすさを加えるなどの目的で使われるだけです。





 それに対して「喩」や「譬」はどうでしょうか?



「喩」に関して言えば、「比喩」に代表されるように、"何か言いたい事柄を、別の表現を用いて間接的に表す"という場合に用います。



 "例"えば、「その妙を喩えるには、私の語彙はあまりに寡少であった」とか、「"奇"とか"妙"とかいう言葉は、かつてのそれとはあまりに異なっている。喩えばその変遷は、雲が雨となり、地に降って泥を成すようなものであった。まさにその扱いは"雲泥の差"である」とかいう使い方です。





 さて、「譬」という字なのですが、これは知名度が圧倒的に低いです。



 強いて熟語を挙げるとすれば、「譬喩」という熟語ですが、これは「比喩」と読みも用法も同じです。(他に仏教用語としての使い方はあるようですが)



 この「譬え」という表記は、「喩え」に同一の意を(少なくとも現在は)持っているので、「喩え」の代用だとでも思ってください。









 さて、では副詞の3つ、「仮令」と「縦令」と「縦え」についてお話ししましょう。



 この3つに、使い分けはありません。使うならどれでもどうぞ。





 さて、ここではこれを「たとえ」として登場させましたが、これは「たとい」という読みの転訛です。



 意味的には「かりに」とか「もし」とか「よしんば」とかいう具合ですね。(因みに「よしんば」は、漢字で「縦んば/縦しんば」と書きます)



「たとえ離れ離れになったとしても、僕はキミを愛しているよ」や「たとえ世界を敵に回しても、私は私を曲げることなどないよ」なんて使い方ですね。



 まあ、要するに「仮に」と置き換えられるものがこの「たとえ」です。





 今回の「たとえ」に関して言えば、意味の混同は少ないと思います。(少なくとも一度漢字と結びつければ)



 打ち間違いに注意って感じですね。



「たとえ」と「たとい」で分ける方法もありますが、「たとい」が通じなくなりつつあるので何とも言えません。



 そもそも、「喩え」や「譬え」に関して言えば、簡単のためにわざわざ「例え」としていた時代もありますからね。



 その辺りは、もう個人の自由です。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「仮令」という言葉があること自体知りませんでしたー!勉強になります! 前回 制作/製作 も言われてみればなるほど、という感じでした! 丁寧な説明ありがとうございます!
[一言] これは非常に紛らわしいですよね!ww 「仮令」を「例え」と書いている人をよく見かけますw 私は「仮令」の場合は、「たとえ」とひらがなで書いてますけどw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ