英語らしく発音したい!
本当に基本の基本なので、知っている方はすっ飛ばしちゃってください。
あと、今回は英語の話題なので、漢字表記は控えめです。
英語の発音って得意ですか?
なんて訊かれて、得意だと答える日本人がどれほどいるでしょうか。
……そう多くはないでしょう。
学校で必修科目として教育を受けても、社会人になるころには英語なんてすっかり忘れてしまったという日本人はざらにいます。
今回は、そんな英語の基礎の基礎、「発音」についてのお話をします。
日本式英語なんて言葉があるほど、日本人は英語の発音が苦手です。
これが大変な問題で、「発音できない言葉は聞き取れない」なんてことがよく言われます。
(発音できれば必ず聞き取れるということではありませんが)
英語の授業で聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どんなに文法を勉強して、どんなに単語を知っていても、発音ができないことには自分の意思を口頭で伝えることができませんし、聞き取ることもできないので会話がそもそも始まりません。
では、どうやって発音できるようになればいいのでしょうか?
これを、現在までの学校の英語教育では教えてくれていないのです。
(おそらく教えている先生はいらっしゃると思いますが、「必習」として取り入れられてはいません)
……おかしくないですか?
「発音できないと聞き取れない」なんて言いながら、肝心の発音の方法を教えてくれていないんです。
ジャパニーズイングリッシュの発音と本場の英語の発音がかなり違っているのはご存知の通りですから、大学入試のリスニング試験で高得点を取れる受験生がそこそこいるというのは驚くべきことなんです。
(教育現場がそう思っているかはわかりませんが、)「リスニングで点が取れるから今の英語教育で大丈夫」なのではなくて、「リスニングで点を取るために受験生がひたすら数をこなし、もしくは自習している」のです。
学生でも数をこなすことを、社会人になってからするというのはなかなか骨が折れるものです。
ですから、本来英語教育の最初に行うべきこと、日本語教育でのひらがなの習得に相当することを、先に済ませてしまいましょう。
ここで一つ押さえておきたいことがあります。
アルファベットは英語を書き記すのに使われる文字ですが、アルファベットの並びがそのまま音を表しているわけではないということです。
例えば "ch" という綴りは、"chair" (椅子) では「チ」の音ですが、"choir" (聖歌隊) では「ク」の音になります。
他にも"a" に「エイ」と「ア」、"e" に「エ」と「イ」の読みがあるなど、綴りと読みには大変複雑な法則と、その法則にも当てはまらない例外があります。
慣れればある程度読みを推測できるようにもなりますが、それでも「ある程度」に過ぎません。
"ea" を「イー」と発音するというのは比較的簡単な法則ですが、過去形の "read" (読む) は、現在形と同じ綴りでありながら "ea" を「エ」と発音します。
発音をマスターするには、綴りはあまりに複雑で、あまりに例外が目立ちます。
そこで出てくるのが発音記号です。
発音そのものを表す記号で、単語帳には必ずと言っていいほど書いてあります。
辞書にも当然のように載っています。
英単語を辞書で引く、あるいは検索するとき、"dèfəníʃən" や "ɪˈkspleɪnɪŋ" のような、アルファベットではない記号の列がどこかに書いてあると思います。
この記号の列こそ英語にとってのひらがなです。
英語を母国語としない人たちが英語を学ぶための近道です。
……と言っても、あまりピンときませんよね。
順を追って説明することにしましょう。
まず、英語圏での英語教育についてです。
英語圏でも、日本の小学生が最初にひらがなを学ぶのと同様に、アルファベットを学びます。
しかし、ここで学ぶのはアルファベットの名前だけではありません。
アルファベットの「基本の読み方」も一緒に学びます。
先述の通り、アルファベットの読みは一通りではありませんし、複数のアルファベットの組み合わせが一つの発音を形成することも少なくありません。
ですが、「基本の読み方」は存在します。
例えば "p" は、アルファベットの名前としては「ピー」ですが、単語の中での主な発音は、囁き声で「プ」と言うような音です。
(パ行を発音する直前の音とも説明されます)
他には "e" を「エ」と言ったり、"s" を囁き声で「ス」と言ったり、"x" を囁き声で「クス」と言うのがこの「基本の読み方」にあたります。
そして、この「基本の読み方」のことを「フォニックス」と呼びます。
つまり英語圏の子どもたちは、「エー・ビー・シー・ディー・イー・エフ・ジー ……」というアルファベットの流れともう一つ、「ア・ブ・ク・ドゥ・エ・フ・グ ……」というフォニックスの流れも学んでいるのです。
(アとエ以外は囁き声のように発音します)
フォニックスには二文字以上の複合からなるものもあります。
これらについては、アルファベットのフォニックスを学んだ後に、一つずつ覚えて行きます。
しかし、"read" の例で示したように、同じ綴りが同じ発音であるとは限りません。
(フォニックスが複数ある綴りがあるということです)
なので、フォニックスでは限界があります。
(一から学ぶには頼りがいのあるものですが)
しかしそれでは、英語圏の人たちは「正しい発音」を知ることが難しくなります。
これでは不便もいいところです。
ここで、本格的に発音記号が出てきます。
発音記号にも幾つか種類がありますが、この話では「国際音声記号 (IPA)」というものを用います。
IPAは世界の発音を全て書き記せるようにと制定された記号で、記号が見慣れないことや発音を網羅できていないなどいくつか問題点が指摘されてはいますが、ヨーロッパの言語を学ぶ上ではなかなか重宝する記号です。
そして、(これも先に述べましたが) 英語の辞書にはほぼ必ずこのIPAの発音表記が書かれています。
(なので、英語に詳しい人はこれを読める可能性がかなり高いです)
つまり、英語で使われるIPAを一通り覚えれば、辞書 (携帯も可) を片手にするだけであらゆる英単語を正しく発音できるようになるのです。
もちろん「これまで文字で表せなかった音」が多く含まれるので、覚えるのには多少苦労することでしょう。
それでも、一度覚えてしまえばこれほど心強いものはありません。
発音方法の説明も、インターネットには山ほどあります。
英語をこれから学ぼうという方、あるいは発音で悩んできた方には、IPAの習得を強くおすすめします。
……なんて。
なんだか胡散臭いマーケティングみたいになっちゃいましたね。