難易度って何ぞや!?
よく耳にするんじゃないですか?「難易度」って言葉。
「この問題は難易度が高い」だとか、よく聞くんじゃないですか?
しかし私は不思議に思うのです。
……難易度って何ぞや!?
と。
まぁ、言いたいことが伝わらない訳じゃないのですがね?用法的に疑問の余地がない使い方もたまに聞くのですがね?
しかしそれでも、何だか落ち着かないのです。
私は「漢字」を好んでいるのです。
見た事のない熟語も個々の漢字から意味を推測できるという性質が、随分面白いものだと思っているのです。
そんな私が「難易度」という言葉を目にした時、辞書などに頼らずとも「物事がどれほどむずかしいのか、あるいはどれほど簡単なのかの度合い」というくらいの意味を捉えられるのです。
何せ「難しいか、平易かの度合い」だと字に書いてあるのですから、何も苦労はありません。
ところがです。この「難易度」という言葉、字面通りに受け取ると、「どれほどむずかしいのかの度合い」というのでも、「どれほど簡単かの度合い」というのでもないのです。
"難しいのか簡単なのか"を含めて、定義されていないのです。つまり、これは「難度」とも「容易さ」とも同義ではないはずなのです。
であれば「難易度が高い」とは、難しいのでしょうか?それとも簡単なのでしょうか?
どうやら言葉を丁寧に扱う人々には、これは決して小さな問題ではないようです。
ネット上を少し漁るだけでもこの「難易度」という言葉を避けるアナウンサーの話や、"「難易度」は間違いだ!"と声高に主張するページがすぐに見つかります。
NHKでも「難易度が高い」という表現は見られなくなっているそうですから、やはり敏感な人がいるのでしょうね。
では、「難易度」の意を問題なく使うとすれば、どのような使い方があるのでしょうか?
まず「難易度が高い/低い」という表現は簡単です。何せそのまま「難度が高い/低い」とすれば良いのですから。
次に、「難易度」を含む用法を考えましょう。例えば、表などを作成する際に、
難易度 難易度
A(難しい) 難 A
B(やや難) ↑ B
C(標準) or C
D(やや簡単) ↓ D
E(簡単) 易 E
というようにするなら、問題はないでしょう。
では、文章中ではどうしましょうか?
例えばこんな用例が思い付きます。
提案を受け容れることの難易度について申し上げますならば、これは難しいと言わざるを得ません。
……堅苦しくて婉曲的ですね(二重否定もそれを強めていますが)。しかし、そうならざるを得ないのが「難易度」という言葉の宿命です。
何せ「難易度」と言うと、その後にもう一度"難しいのか、易しいのか"を表す言葉が必要になるのですから。
婉曲的に聞こえるのも致し方ありません。
つまり、これを日常で使うとなると、"焦ったい言い方をするやつだ"とか、"もっとはっきり言わないか!"とか、そのように思われかねません。
かと言って「難易度が高い」と当たり前のように使っては、"言葉も正しく使えないのか"と思われかねません。
ビジネスなど、重要な場面ほど(婉曲表現を意図的に使うのでなければ)、「難易度」の表現は避けた方が良いと思います。
とは言え、表現は自由ですので、文脈から多重の意が一意化できる表現なら構わないと思います。つまり対話に支障を来さなければ、大した問題にはなりません。(わざわざ指摘するのもお勧めできませんからね)
それでもやはり、この表現を見聞きした時にはむず痒い思いをするものです。