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俺って正直、弱すぎね?  作者: たつのおとしご。
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第2話 あいつが来た!?

-チュンチュン-


「ふぁーぁ、もう朝か」



時の流れとは早いものであの一件からもう1週間が経過しようとしている。

俺はゾンビになったみたいなんだけど、みたい、というのは今までに確かめるような出来事がなかったらだ。

だから、みたい、なのだ。


というか、昨日までいたはずの同居人がみあたらないな。

まさか、今までのことは全部夢だったってオチか?

おいおい、だとしたらどんだけ欲求不満なんだよ、俺。

あーあ、もういいやぁ。学校行くか。



「おーい! タツク~おはよう!

ちょっと、シカトなんてひどいじゃないか」


「ん、はよー。」


今走って来たこいつは俺と小学生の頃から一緒の新田優希だ。

こいつは毎回こうやって寄って来る。

なかが良いのは確かなんだが、正直、男に寄られても全く嬉しくない。

まぁでも、ユウキはわりと可愛い系の顔なため、クラスの女子に人気がある。

べ、べつに羨ましくなんか無いんだからねっ。


あ~、かなし。


そういえば、ゴールデンウィークだったいうこともあり、学校に行くのは久しぶりだな。


と、そんなことを考えているうちに、学校に着いた。


「タツク? どうかしたの。元気無いみたいだけど」


「あ、ユウキか。実はなぁ、なんか変な夢を見て……」


あの一件の話をしようとすると、先生が教室に入って来た。


「はーーい!! みなさーん、席に着いてくださーい!」


ユウキは先生に気付き、はっ、という顔をしている。


「もう席に着かなきゃ、いろいろあると思うけどあまり無理しちゃダメだよ!」


「ん、あぁ、サンキュな。ユウキ」


「えへへ、じゃあまた。」


なんだか嬉しそうだ。ユウキは本当にいいやつだな。


「それでは、HRを始めますよーと、その前に、このクラスに転入生が来ましたよー、それでは入ってきてください」


「おはようございます。

これからこのクラスでみなさんと勉学に励みたいと思います。

セシル・カエキリウスです。よろしくお願いします」


「は、はーーーーーーーぁああ!?!?」



----ワイワイ、ガヤガヤ…--



おかしい! 何でこいつが学校にいんだ?それに転入?


「おい! おまえ何でいんだよ! てか、夢だったんじゃ…」


「夢がどうとかよくわからないけど、これからあなたと一緒に行動していくのに、この方が合理的でしょ。」


「いや、だって今朝家に居なかったろ!」


「あまり大きな声出さないでくれる?

しょうがないでしょ、転入するのに怪しまれないようにいろいろ準備してたのよ。」


まったく。イヤな予感がするな


「えっとぉ、先生たちになんかしてねぇよな?」


「いいじゃない。害は無いんだから」


予感は的中してしまったらしい


「おまっ、バカか! そういう問題じゃない……」


--ドッガーーーーーーン!!!!--


突如、校庭で砂ぼこりとともにとてつもない爆発音が轟いた。


「なんだ!?」


生徒たちは落ち着きを欠いた。


「グラトニー……早く行くわよ!」


「い、行くって、どこ行くんだよ。」


「校庭に決まってるでしょ! あの怪物を浄化しに行くの」


わかってはいたんだけどやっぱりコワイヨ。僕、人間だし……


「い、いやぁ~。俺って人間だしさ、あんなの倒せねって。」


「わかったわ。だったらそこで腐ってなさいゾンビ男。これだから野蛮な人間なんかと協力するのは嫌なのよ。」


とんでもなく、呆れた顔をしている。


「あーもう! わかったよ、行くよ! 行けばいいんだろっ!!」


辺りは、生徒たちの叫び声やら悲鳴やらでごった返している。


俺とセシルは、そんなパニック状態の生徒たちの波に逆らうように校庭へ向けて走った。


校庭に近づいてきた。


そこで気づいたがこの怪物、気持ち悪いというか恐ろしいというか禍々しいって顔をしている。


いや、顔だけじゃすまねぇなこれは。


大きさは……こいつ何メートルあんだ?

教室から見たときは、俺よかちょっとでかいくらいだと思ったが、4m以上はありそうだな。


なんというか……。チビりそうだ。


くっそ、やっぱり来るんじゃなかったか?


「私には、あいつを浄化する力がある! あなたは人間だから浄化できないと思うから相手を引き付けて! 頼んだわよ!」


おとりってことかよ、おい。

「まぁいい、早くしてくれよ!」


--ドガーーン!--


そんなことをいってるうちに、怪物は強烈なパンチをかましてきた。

俺はやっとのことでからだを前転の要領で回転させ攻撃をかわした。

地面は陥没してペリペリと音をたてている。


うん。これは、当たったら死ぬわ。


あいつはというと、杖のようなものを持っている。

ステッキというべきだろうか、自身のからだほどの長さがあり、金属製で、杖の先には大ぶりな蒼い水晶みたいなのがついている。


そうか、彼女は魔法使いなんだな。


彼女は杖を自分の前に掲げた。

すると魔方陣が現れた。

魔方陣からは氷の矢が次々と発射された。


その全ては、ジャスとも、ドスともとれるような音で怪物のからだに刺さった。


--ウォォォオオオオ!!!--


鼓膜が壊れそうな大声だ。

かえって相手を怒らせてしまったようだ。


「おーい、全然効いてないみたいだぞー」


「わかってるわよ、これから何とかするわ」


--ドガーーン!ドガーーン!--


これはわりとやべぇな。

怪物のパンチが降り注いだ。


まじでメチャクチャだ!

くっそ、避けるのがやっとだ!

どうすることもできねぇのか!?


あいつは、セシルはどうなってんだ?


なんだよ、軽々しく避けてやがんな、避けながらちまちまダメージを与えているようだ。


彼女はこのままでは埒があかないと悟ったのか、怪物から距離をとり、何か呟き始めた。


「 ΛΣΩΦΨΘΚ ЖЙБφ 」


俺には、何語なのかもわからない言葉だったが、あれが詠唱というやつなのだろう。

今まで、無詠唱での攻撃だったのに詠唱して攻撃したのだ。

強烈な魔法なはずだ。


詠唱が終わると、先ほどまでよりも大きな魔方陣が現れた。

その魔方陣からは紅い火炎の柱が怪物めがけて一直線に放出された。物凄い爆発音と煙が一面を覆った。



「やったか? ……あ。」


やってしまった。



--ウォォォオオオオ!!!--



ですよね、しっかり回収しちゃったよ。


怪物は暴れ狂っている。


いよいよ不味いぞ、この攻撃は俺にはかわせない。

疲れきって足もガクガクだ。

と、思ったら怪物はセシルに向かって走り出した。


あ~、よかった。


俺ならヤバいけど、あいつならひょひょいと避けて倒してくれんだろ。


ふぅー、死ななくてすんだぜ。


って、おいぃぃぃいい!

何であいつこけてんだよ!!

うっかりさんか!? うっかり屋さんだったのか!?

しかも涙目になってんじゃねぇか!!


待て待て待て待てっ!!! 避けてくれ!!


バカかあいつっ!!



--ドッガーーーーーーーーン!!!!!--


砂煙がやんだ。


気づいたら俺は怪物の拳を素手で受け止めていた。

それも片手でだ。足もとは、衝撃にたえきれず陥没している。


あれ、おかしい。


俺の右腕のかたちおかしくないか?

てか、俺の右腕折れてんじゃねぇか!!

い、いっでぇぇえええ!


くっそ、でも、何で怪物のパンチ受けて腕が折れただけですんでんだ?

それよか、100mは移動したぞ俺。


……そうか、聞いたことがある。

普段、人間は脳の機能にセーブをかけてしまっているため10%しか使っていないということを。

ゾンビになった俺は、セーブを解くことが出来て本来の力、つまり、100%の力を使えるという訳だ。


まぁ、推測でしか無いんだけど。


そんなことはどうでもいい。まずは目の前の敵を。


「俺はな! 野蛮で非常識な人間だよ!

だけどな、目の前の女の子さえ守れねぇような最低野郎に成り下がるつもりはねぇんだよ!! くそったれがぁぁああ!!」


俺の左ストレートが炸裂した。

左腕は怪物のからだをぶち抜いた。


それと同時にグラトニーは爆散した。


俺は、前のめりに倒れた。


セシルがこちらに向かってくるのが見えた。


あぁ、疲れた。


でも何で神使でも無い俺があの怪物を浄化出来たんだ?

まぁ、考えても仕方ないか。



俺は、薄れゆく意識のなかでふとそんな事を思った……。







---サルエル視点---


いやぁ~、スゴいな彼。


やっぱり、ボクの見立ては正しかったってことだね!


それより、人間なのに神使の力を持っているなんて、全く。

本当におもしろいな。


でもなんというか、神使のそれとはなんかちがうような。

うーん、不完全なんだよなぁ。


何はともあれ、これから楽しくなりそうだ! ふふっ






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