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第七話 祈り

 風呂は最高だった。ついでに言えば、風呂上りの二人も最高でした。上気した肌。濡れた髪。寝る為のゆったりとした服。普段とはまるで違うその姿にどぎまぎとした。一日の終わりに風呂に浸かれるというのは、なんとすばらしいことか。飯も最高というほどではないが美味く、満足のできる味だった。いつも以上にぐっすりと眠ることが出来た。



 今までならば朝ギルドの資料室で待っていたが、同じ宿ということで食堂で二人を待つ。


 ダンジョン内で食事を取ることは少ない。誰だってゾンビの饐えた臭いの中で食事を取りたくなどない。その為、朝しっかりと食事を取るようになった。以前なら胸焼けしていたはずのステーキだろうと、今ではぺろりと食べられる。ゾンビ階の後だから今日はさすがに食べる気にはならなかったが……。


 泊り客に探索者が多いためか、この宿は朝早くにも食事を取ることが出来た。わざわざ外に食事を摂りに行く必要がないのはあり難い。食事が到着するのとほぼ同時に、二人が食堂へと降りてきた。


「おはよう」


 二人は俺の朝食の量を見て驚いたようだったが、結局は同じような物を注文した。朝食を食べながら今日の予定について話す。特に変わった事はない。資料室へ行き八階層のマップを写す。その後、ダンジョンの攻略だ。


「そういえば休日はどうします?」


「休日ですか?」


「ええ。毎日ダンジョンに籠もるというのもどうかなと。定期的に休日を決めた方がいいかなと思って」


 二人にこの世界の休日について聞くと、まるまる一日休みの日は数ヶ月に一度のことが多いようだった。随分と少ない。


 俺としては日本にいた時のように一週間に二日休日を作ってもいいと思っていたのが、二人からは多すぎると意見が出た。そして結局は二週間に一度、定期的に来る大禍日の次の日を休日にすることにした。最初は大禍日を休日にするという話だったのだが、俺のレベリング法を話しその次の日ということに決まった。


 食事はとっくに終わっていたので、話が纏まったところでギルド資料室へ向かう。



 資料室の職員はアランさんだった。本を持ってきてもらい八階層のマップを写していく。昨日書いていた部分も多い。すぐに終わるだろう。俺がマップを写している間に、二人には九階層について調べてもらうことにした。昨日の感じから今日で八階層の攻略は終わるはずだ。二人は楽しそうに話しながら九階層について調べている。


「それにしてもずいぶんと早いですよね。もう九階層なんですから……」


「シビルのおかげで攻略速度があがりましたからね。私とレックスだけでは、まだ数日は八階層を進んでいたと思いますよ」


「でも、エ、エリナもすごいですよ! 私は魔法以外は全然ダメですし……」


 シビルがすこし詰まりながらも、エリナを呼び捨てにしていた。俺も最初はあんなふうだったなと、それほど前でもないのに懐かしく感じた。


 二人の楽しげな会話は続く。仲良きことは美しきかな。俺も混ぜてくれてもいいけどね……。楽しげな二人を横目に見ながらマップを書き写していく。



「それじゃあ八階層の昨日進んだあたりまで最短でいきましょう」


 六階層に転移し、先を急ぐ。途中で何度かスケルトンと戦闘になったが、シビルの魔法であっさりと沈んでいく。俺の万職の担い手などよりも、魔法スキルのほうがよっぽどすごいスキルだ。そろそろ本格的に魔法を学ぶべきだろうか?


 このパーティの火力はシビルだ。盾はエリナ。俺の役割は……マップを書くことか? 一応、気配察知レベルが高いというのは優れている部分だろう。だが戦闘に入ると、俺がいなくとも二人で事足りる。


 ま、まずい……。パーティの中でどんどん俺の影が薄くなっているような気がする。ソロでダンジョンに潜るとなると、俺のような形のほうがいいだろう。だがパーティとなると違ってくる。


 やはり遊撃のポジションがいいのだろうか? 俺の役割としては一番合っている気がする。それとも、何か一つに絞って極めて行くべきか……。極めるとするならば、今このパーティに足りないのはヒーラーだろう。祈りを覚え僧侶を極める……。いや、そもそもこのパーティはほとんど傷を負うことがない。僧侶になったらますます俺の影が薄くなる可能性が……。そんな事を考えていると、いつの間にか八階層へと辿り着いていた。八階層も問題なく進めることは昨日の時点でわかっている。さっさと攻略してしまおう。



 思った通り八階層も順調に進んでいく。シビルの魔法で一瞬だ。抜けてくるものもいるが、エリナが受けている間にシビルの二度目の魔法で落ちる。その戦闘音でこちらに気付き近づいてくるゾンビを殺すのが俺の役目だ。うん。この階ではきちんと役に立てている。そうでない場合も多いが……。


 浄化スキルはいい。なにがいいって、腐った肉を掻き分けて魔石を取る必要がないのがいい。戦闘時間が短くなることよりも、そちらのほうが大きかった。



 昨日辿り着いた地点を越え、先へと進む。その先には珍しく他の探索者の気配があった。探索者四人に、魔物の気配が三体。避けたいところだが、マップと見比べると階段へ続く部屋で戦闘を行なっているようだった。


「この先で他の探索者がゾンビと戦っているみたいで……。どうしようか?」


「……戦闘が終わるまで距離を置いて、立ち去ってから階段へ向かうのではどうでしょうか?」


 俺もシビルも異論なく、エリナの意見に従う。


 ある程度、部屋へ近づいた所で立ち止まり戦闘が終わるのを待つ。


 ……。


 十分くらいは待っただろうか。戦闘が終わる気配はない。随分と長い。これは俺達のパーティが早いだけなのだろうか? シビルの魔法は圧倒的だし、俺の浄化でも一瞬だ。他のパーティならばこれくらいなのかもしれない。


 …………。


 ……さすがにこれは長すぎる。そう思ったのは俺だけではなかったようで、エリナとシビルも不審げな表情を浮かべている。ゾンビの気配が減る様子もない。ゾンビに苦戦するようなパーティが、こんな奥深く階段近くまでこれるだろうか? 何か不測の事態でも起こったのかもしれない。


「目視できる場所まで近づいてみませんか?」


 二人が頷いたのを確認し腰を上げる。


 部屋で戦う探索者を警戒させないよう、なるべく自然に、気配を隠すことなくゆっくりと部屋へと近づく。


 ……!


「探索者一人の気配が消えました……。たぶん死んだのではないかと……」


 俺の言葉に、二人は立ち止まり息を飲む。だがそれも一瞬。二人は猛然と部屋へと走り出した。慌てて後を追う。


 部屋の中央付近に人が倒れているのが、二人の背中越しに見えた。気配は感じ取れない……。


 シビルは部屋の入り口近くで詠唱を始めた。エリナはそのまま部屋へと突っ込んで行く。足を止めずシビルの脇を抜けエリナに続く。


 部屋の中の状況は最悪だった。生きている探索者も満身創痍といった感じだ。しかも魔物は普通のゾンビとは違う。探索者達の装備は、ゾンビに苦戦するような探索者の装備ではない。その探索者が一体も減らせていない魔物……。


 俺がもっと気配に気を払っていれば、ゾンビとは違う魔物だと気がつけたはずだ。この階にはゾンビしかでないと聞いていた。そのせいで魔物の気配は全てゾンビだと思い込んでしまった。事前に気付き、二人に話しておけば部屋に突っ込むような無茶はしなかったはずだ。


 魔物の姿はゾンビはゾンビだが、鎧を着込み手には幅広の剣を持っていた。大禍日でもないのに何故こんな魔物が……。そもそもここは八階層だ……。


 一番戦況が悪そうな男とゾンビ戦士の間にエリナが割って入った。足から大量の血を流した斧を持った男だった。今は何故かなどと考えている場合ではない。


「離れてください! この場は私が受け持ちます」


 盾でゾンビ戦士の剣を受け止めながら、斧戦士に声をかけるエリナ。


「……すまない」


 男は足を引き摺りながら、なんとかその場を離れようとする。慌てて男に近寄り肩を貸す。男は体も大きく筋肉の量も多かった。その上金属鎧だ。重い……。


 シビルの魔法が発動し、エリナの相手をしているゾンビ戦士へと向かうのが気配でわかった。


 なんとか部屋の隅まで男を連れて行き、床に下ろす。


「すまん……」


 今は謝罪などどうでもいい。


「あの魔物はなんですか? 対処法は?」


 視界にエリナを入れつつ男に話しかける。シビルの魔法によりゾンビ戦士は燃え上がっている。だが、あの魔物はそれまでと同じようにごく普通に動いていた。エリナはゾンビ戦士の攻撃を防いではいるが、実力は拮抗しているようで攻撃を加えることはできていない。もし他の探索者が崩れ、二対一となれば厳しいだろう。今は少しでも戦闘を有利にするために情報がほしい。


「何もわかんねえんだよ! 対処法なんて知っていたらこんなざまにはなっていないさ……」


 最初は威勢がよかった男も、途中で声を落とした。いっさいの収穫なしか……。


「なぜフラグメントで転移しなかったんですか? 持っていないはずはないでしょう? 死人がでるまで戦う必要などないはずです」


「そんな暇はねえよ。取り出している間に斬られちまう……。使えていたらトッドの奴も死ななかったろうさ……」


 部屋の真ん中で倒れている男のことだろう。確かにエリナにフラグメントを使うような暇はなさそうだ。最悪だ……! 倒すしかないってことか……。


 一つの気配が消える。どうやらまた一人死んだようだ……。男との話を切り上げ、慌ててゾンビ戦士へと向かう。ゾンビ戦士は次の獲物を探し、シビルに目をつけたようだ。部屋の入り口へと向かっている。まずい!


 慌ててゾンビ戦士へと向かい、無防備な後姿に剣を横薙ぎに振るう。俺の剣はゾンビ戦士の首を切断した。落ちていく首。だが地面に落ちる前にゾンビ戦士の腕によって受け止められた。ゾンビ戦士はその首を持ち上げ、元あった場所へと戻す。


 ゾンビ戦士はゆっくりと振り返った。元通りか……。俺の浄化スキルは効果を発揮していない。シビルの魔法に期待するしかない。


 ゾンビ戦士に向かい剣を振るうが、あっさりと剣で防がれる。……だが俺にはもう一本ある。右手一本の俺と両手のゾンビ戦士。交わった剣の均衡は一瞬だった。だが、その一瞬で充分だ。ゾンビ戦士の剣に弾かれ体勢を崩しながらも、左手の剣でゾンビ戦士の左手を切り落とした。普通のゾンビと同じように体自体は脆いようだ。


 俺とゾンビ戦士の間に少しの距離が生まれた。そこを狙いシビルの魔法が発動する。シビルの生み出した炎が直撃し、ゾンビ戦士燃え上がる。だがゾンビ戦士は気にすることなく右手で左手を拾い上げ、元の場所へと戻した。


 左手から手を離す……と左手は首のようには付かず再び地面へと落ちた。浄化スキルが効いたのか? それともシビルの魔法だろうか? どちらにしろこれならいける。


 また一つ気配が消えた。新たなゾンビ戦士がエリナへと向かっている。


 早く……! ゾンビ戦士へと一歩踏み込み、左の剣を振り下ろした。またもそれは防がれるが、間髪を容れず右の剣を振り下ろし、燃えるゾンビ戦士の右手首を切断した。右手は剣を握ったまま地面へと転がった。右手は剣を残し消えていく。浄化スキルのレベルが上がったのかもしれない。だが今はそれを確認している暇はない。


 早くこいつを倒さなければ……! もうこいつに俺の剣を防ぐ術はない。剣は再びゾンビ戦士の首を斬り落とす。切断箇所から光へと消えていく。どうなるのか確かめたいが、ゆっくりと見ている場合ではない。エリナへと駆け出す。


 エリナの短い悲鳴が部屋に響いた。地面には血が広がり、膝を突いていた……。ゾンビ戦士が剣を振り上げ……間にあわない……! エリナの頭部へと剣が振り下ろされる。金属同士がぶつかり音を立てた。エリナは盾で防いでいた。ほっとしたが、後ろからはもう一体のゾンビ戦士が剣を振り上げていた。すぐ目の前だというのに、まだ俺の剣は届かない。


「エリナ! 後ろだ!」


 だが、エリナは前方のゾンビ戦士の剣を受けるので精一杯だった。後方のゾンビ戦士にシビルの魔法が飛び、ゾンビ戦士は燃え上がる! が、かまわず剣を振り下ろした。


 剣が頭部に当たり、その衝撃にエリナの体が傾ぐ。倒れていくエリナへと前方のゾンビ戦士の剣が振り下ろされる。


 ……甲高い金属音。


 ゾンビ戦士の剣は俺の二本の剣によって、エリナの寸前で止まっていた。間にあった……。だが間にあっただけだ。シビルがいるとはいえ、俺一人で二体を相手取らなければならない。


 両腕に力を込め剣を跳ね上げる。もう一体の気配……。後ろに向かい剣を突き出す。俺の剣は防がれるが、ゾンビ戦士の攻撃の機会を一度奪ったと考えればそれでかまわない。場所を変えよう。少しでもエリナから離れなければ……。



 どれほどの時間そうして二体を相手に剣を振り続けただろう……。気を失ったエリナを守りながら、二体を相手にするのは大変だった。だがそれも、もう終わりだ……。


 シビルの幾度もの魔法によって、二体は焼け焦げその動きを鈍くしていた。これなら俺の攻撃も届くはずだ。


 まずは一体……。最初からは考えられないほど遅い剣を避け、その胸へと剣を突き入れる。剣が落ち、その肉体は光となりあっという間に消えていった。


 あと一体! 俺へと振り下ろされる剣。左手一本で防ぐ。ゾンビ戦士の動きが鈍っただけではない。俺のレベルもあがったのだろう。片手でも防げるようになっていた。剣を弾きあげ、胴を一撃。分かたれた体も、一瞬で光となった。残されたのはゾンビとは比べ物にならないほど大きな魔石と剣だけだった。



 剣を投げ捨て、エリナへ駆け寄る。兜は凹んでいるが、その役目は果たしたようで頭部は守られている。


「エリナ!」


 息はある。……が床には大量の血……。


「エリナ!!」


 頼む! この世界の神よ。お前が何者であろうと構わない。ただ、力があるならば、俺に力を貸してほしい……。エリナの怪我を治す力を……。


 エリナの手を握り、強くこの世界の何者かへと祈る。


 暖かい……。手が熱を持ち光を放つ。穏やかな光だった。その光は俺の手から握ったエリナの手を通して体へと広がっていく。光が全身を包み一度力強く光り、徐々に収まっていった。


 俺の祈りが届いたのか……? 振り返ると、いつの間にかシビルが間近に立ち、こちらを見守っていた。気配を気にする余裕もなかった。手には俺の剣を握っている。


「ありがとう」


 立ち上がり剣を受け取り、鞘へと戻す。


「んっ……」


 エリナが呻き声をあげる。エリナへ目を戻すと、体を起こそうとしていた。


「大丈夫か!?」


 しゃがみこみ二人でゆっくりと背中を押し、上半身を起こしてやる。


「はい……なんとか。それであのゾンビは……?」


「無事に倒したよ」


「そうですか……。さすがレックスですね」


 痛みにか辛そうにしていたが、エリナはなんとか笑顔を作った。


「怪我は大丈夫なんですか!?」


 シビルが血に塗れたエリナの足を心配そうに見ている。


「ええ。兜が守ってくれたようで、問題はないようです。足の捻りも今は痛みを感じませんね」


 捻り……?


「えっとこの大量の血は……?」


「斧を持った男のものでしょう。血に足を取られて、体勢を崩してしまいました……」


 悔しげに唇を噛み締めた。ということはエリナは怪我をしていない……。俺の早とちりだったようだ。


 確かに地面の血は部屋の隅の男へと続いていた。慌てて立ち上がり、男へと向かう。息はあるが、顔面蒼白で今にも気を失いそうだった。


「へへ……あんたやるじゃないか……」


 男が辛そうに俺に話しかけてくる。


「喋らないでください」


 男の傷口に手をあて祈る。エリナのときと同じように手が光を放つ。どうやら、問題なく使えたようだ。傷口はふさがっているが、失った血は戻らないようで男の顔色は悪いままだ。


「フラグメントはどこです?」


 男が指先で示したポケットを漁り、男に握らせた。


「先に帰っていてください。俺たちも行きますから、すぐに病院へ運びます」


「すまない……な……」


 男の体は青い光に包まれ転送された。とりあえずなんとかなったか。


 二人はゾンビ戦士の残った魔石を集め、残った探索者の死体を漁っている。死体を持ち帰ってやりたいが、先の男のこともある。結局は死んだ人間よりも生きた人間を優先するしかない。ひとつの死体に近づくとギルドカードを探し、手を合わせる。すまない。俺に出来ることはこれくらいしかない。


 立ち上がり振り返る。そんな俺の姿をただ黙って二人は見つめていたようだった。二人も手にはギルドカードを持っていた。二人からギルドカードとゾンビ戦士の魔石を受け取る。


「帰りましょう。あの男を病院に連れて行かなければなりません」


 二人が青い光に消えていく。最後に部屋を見渡し残った死体に手を合わせる。



 いつもの転送部屋に戻ると、男は倒れ気を失っていた。三人で何とか担ぎ上げ部屋を連れ出す。血に塗れた俺たちを見て、迷宮入り口に立つ兵士が慌てて近づいてきた。


「な、なにごとですか!?」


「八階層でゾンビ以外の魔物に襲われました。俺たちに怪我はないですが、この男が大量の血を流しています。すぐに病院へと連れて行かないと……」


「わ、わかりました。すぐに知らせてきます!」


 兵士はガザリムへ向かい走っていく。


「俺たちも行きましょう」


 兵士の後を追うようにガザリムへと向かう。大きな男を抱え、あまり速くは歩けない。門のすぐ側まで来たところで、こちらに向かってくる多くの兵士が見えた。手には担架を持っている。


 兵士達に男を受け渡す。終わりか……。とにかく早く帰って風呂に浸かりたい気分だ……。


「それで迷宮内で特殊な魔物に遭遇したと聞いたが?」


 兵士の中でも一際年老いた、眼光鋭い男が俺たちに話しかけてきた。隊長と呼びたくなる風格を持った男だ。


「はい。八階層で。鎧を着込み大きな剣を持ったゾンビに襲われました」


 俺の言葉に兵士達は静かになった。


「デスナイト……」


 一人の兵士が洩らしたその言葉に、兵士達の間にざわめきが広がる。そんな兵士達に隊長が視線を送ると、ぴたりとざわめきは収まった。


「ここではなんだ。部屋を用意する。そこで詳しく聞かせてくれ。ギルドの者も呼んでおく」


 俺たちの返答も聞かず、隊長は背を向け歩いていく。風呂に入れるのは当分先のようだ……。

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