人狩り少女と優男7
誤字修正
年は明けて正月になった、あの男…鯉太郎もちょうど里帰りができたため、久方ぶりに家に帰っていた…
「……ん?」
「鯉太郎、おはよー」
「おぅ、おはよ~さん、どしたん?初詣か?」
「うん、一緒に行けへん?」
彼女の名は楓、鯉太郎の幼なじみである
「いや遠慮しとくわ…眠いしよ」
「え~去年は一緒に行こうなって言うたやん…ほなけんうち、誘ったのに~」
とぶつぶつ文句を言っていると
「お前なぁ、先に言うことあるだろうに…とりあえずあけましておめでとさん」
「っあ、そ、そだねあけましておめでとう」
取り留めもない会話が続いていくのであった、一方その頃龍の里では…
「ん~俺より舞うのが、うまいな…」
巫女舞を見ていた
「巽、お前だってうまかったぞ?…だいたいお前の舞を見て辰夫の妹もやりたいって言い出したそうだからな、だから胸をはれ!」
ドンと背中を叩きガッハッハと笑う兄の姿に助けられた巽であった
そうして本殿に向かい二礼二拍手一礼で今年の安穏をイザナミに願うのだが…
(今年は…どうか、人を極力殺さずにすみませんように)
龍としてどこかやっぱりズレた巽なのであった…
一方その頃徳島では…
「なぁ、鯉太郎ほんまにいけへんの?」
「行かねえ」
「おっちゃんやおばちゃんやって先に行ってるし…さぁ」
「クドい!!」
言葉の応酬がひどいのは御愛嬌と言ったところか…
「まぁ…また昼間んなったら迎えに行くけんなぁ」
「おぅ、葡萄飴よろしく」
リンゴ飴じゃないのはスルーして良いところなのだろうか…と悩む楓であった…
「あと芋の干物な…」
「わかった…後で絶対初詣!行きないよ?」
「わぁったわぁった…精々楽しんできな、年に数回しかない祭だからな」
こうして思い思いの正月を過ごして行くのであった…時間は少し過ぎて、鯉太郎が初詣に向かった時の話である
「兄ちゃんお面…一枚買っていかないかい?」
「面?」
「あぁ兄ちゃんにはこのお狐様の面かお犬様の面が似合うとおもうけど?」
なんだかんだでおばちゃんの口車にのった鯉太郎は面を選んでいた
「う~ん…」
「決めた!おばちゃん、狐にするよ」
「毎度あり♪三文だよ」
ここでも小気味よい個性的な音を響かせた鯉太郎なのであった
失礼しました