人狩り少女と優男4
とりあえず更新です
男は一人山道を歩いていた…国を離れて早二年、とある国での大仕事…と言ってもせいぜい荷物を運ぶだけなのだが、男はいつも真剣に旅路を楽しみながら運んでいた…そんなある日の茶屋での一幕である
「あと三日はかかる…か」
茶屋で一服した後に独り言を漏らしたあとに大きな声が聞こえてきた
「よぉ、団子と茶…二人前な!」
そしてその声の主である大男が茶屋の主に声をかけた
「まいどあり~」
今日は客が少ないと店主は思っていたのだがそれはまた別の話になるので割愛
そしてここに運命の出会いとなる瞬間だったはずなのだが…
大男の後ろに少女が居た…だがその時は鯉太郎は気がつかずに、銭を払いに行ってしまった
これもまた運命というやつなのであろう…
「団子と茶代…おいとくよ!?」
小銭が小気味よい音を奏でた
「ありがとね旅の人…ここいらは龍がでるからね、せいぜい狩られないように気をつけなよ?」
「おっおうありがとなおばちゃん…」
龍…かとまた一人心に言葉を落として行った
これから先どんな旅路になるかはわからない…だが優男は旅を続ける仕事のために
場面は戻って川原での出来事である
「兄ちゃん俺…鉄爪を使おうと思う!」
何気にエグい事を言い出したあたり考えが深刻化し始めたりしているのはほうっておいてもいいだろう…「そうか、だがなんで鉄爪なんだ?種子島とか弓とかがあるだろうに…」
兄は気になっていた、妹はなぜ一番血に濡れる可能性がある得物にしたのかを…年頃の娘だ、普通は血まみれ、なんかにはなりたくないはずだ、それに事実としてこの兄は刀で戦っている…やっと最近になって血に慣れてきたところなのだ
「狩った人を忘れたくないから…かな、俺さ小さい時から、龍として人狩りは絶対みたいなのを、皆に言われて育ってきただろ?」
「あぁ」
「だから種子島とか弓とか…殺した相手を忘れてしまう得物はなんか嫌なんだ、それにやっぱり人を殺すのは嫌だ…」
その時兄はそうか…としか返す言葉が無かった
「それに爪なら案外死なないかもしれないし」
精一杯の今にも泣き出しそうな笑顔を兄に向けていた
「なら…やめるか?お前の分まで取ってきてやるからよ…」
兄は妹が不憫でならなかった、人を殺すのが龍の仕事で生きていくための糧なのだから…
「うぅん…大丈夫、だって肝食べないと保たないん…だもんな…それに嫌でもそろそろ我慢ができない」
そうなのである…龍は人を食べる…故に龍なのだから
「そうだな…それが俺たち一族の罪であり糧なんだしな」
龍故に人を喰う…人狩り少女と優男この二人の物語はここより始まる「よし、なら景気付けに団子でも食うか?」
「うん!」
こうしてあの場面に戻るのであった…
あの団子屋での一件から二日たったある日の昼下がり
「…行ったぞ兄ちゃん!」
絶賛人狩り中である
「おう!…らぁあぁ!三人目!」
ザクッと嫌な音が響く
首をはねた音だ
刀から血がほとばしる
「しぃねぇえぇえ」
巽の手が血に濡れていた…首を掻き斬ったのだ
…今兄妹が相手にしているのは盗賊一味である
ただし、二人には関係のないことだったりする…なぜなら
「お前ら…俺の首が目当てなのか?」
「知るか!」
「俺たちが龍ってのはわかんだろ?」
「へっおらも焼きがまわったかな…」
そう生きる糧のために…全ては龍の呪いを抑えるために
感想お待ちしてますm(_ _)m