少女の悩みと優男の解決策2
お待たせいたしました
別府で湯に浸かり、長崎まであと半日となった晴れの日、一人の優男が考えていた。
(このまま、長崎に入れるのだろうか一応、島津の爺様にも話はいってるらしいが…)
その心配も杞憂に終わることになってしまった。
「久しぶりじゃのう家光どん、鯉太郎どん、龍之介どん…みな元気にしよったとか?」
島津義弘…あの鬼島津である。
「九州のじっちゃん!久しぶりだなぁ元気にしてたか?オイラは…元気だよ」
「うん、義弘殿…先の戦では義父がお世話になりまして…」
「義弘爺…ただいま!義兄様は?」
三者三様に元気よく答えていた。
「秀頼どんか?屋敷で待っとるばってん、行くとするか?」
久しぶりの孫たち…と言っていいのかは置いておいて、再会に喜ぶ好好爺している顔には先の戦でのあだ名など消し飛んでしまいそうな義弘であった。
こうして一行は二代将軍秀忠を見事に出し抜き九州入りを果たしたのである、ただ一つの不安を残したままに…。
「巽!?」
その不安とは巽であった。
巽は我慢ができなくなり始めていた、まるで自分は龍ではなく、鬼になってしまったかのような、人でも龍でもなく一匹の獣に堕ちてしまいそうな感覚に蝕まれていた。
「兄ちゃん…俺、俺…」
体は肝を求め、震えはじめていた、それはまるで一言で言い表すならば、憤怒の震え、そう怒りなのだ、怒りの感情が体を支配する、肝をよこせと…なぜ肝が手に入らないのか、と
種を飲めども渇きは癒されず…また怒りはさらに増していく、それは怒りの獣そのものであった。
「福様…俺はもうダメだ…兄ちゃん俺を殺してくれ」
精一杯の叫びであった。
よろしくお願いいたします<(_ _)>