少女の旅路と優男の思惑14
お待たせしました
九州に向かうにあたり、忠治は新しい刀に慣れようと必死に刀を振っていた。
「ここを…こうして柄と柄をくっつくたら…と」
ガチャと音がした。
「これで…長柄か、そんでこいつを回して…」
またガチャと音がすると。
「離してやれば、これで二刀か…もっと早くやらねぇとな、足手まといになっちまう」
そうこうしているうちに、時間はやってきた。
「お~い忠治!そろそろ行くぞ~」
鯉太郎たちの準備が整ったのであった。
「へ~い!」
こうして徳島を後にするのではあるが、その前に。
「さぁみんな!九州に行く前に先に昼飯にしようじゃないか!母さん腕によりをかけたからね」
昼になったため、春日の局が料理を作っていた。
以下がそのお品書きである。
猪鍋(田舎味噌仕立て)
わかめご飯
塩鮭(酢橘を添えて)
沢庵(鰹節と醤油をかけて)
日本酒二合
以上である。
「いただきます!」
ガツガツと食べ始めた男たち。
「んめぇ、鯉太郎さんよ、あんた…ング、こんな…ガツガツ、ズズー、うめえものを食ってきたんですかイ?」
「うめえだろ…ング忠治、口うるせえから…ガツガツ、福母ちゃんとこには、ング…あんまりよりたかねえが、ングング…プハァ、飯は一級品だからな!」
男たちはその汁一滴米の一粒、鮭の切り身ひとかけらにいたるまで…食べ尽くしていた。
「うまいな兄ちゃん…俺、里を出てから初めて食ったよ…こんなうまいの」
「だな巽」
この兄妹もまた、ガツガツと食べていた。
そのころ、江戸では、家光捜索の準備が整っていた。
「明日より私は東に向かう!船がどちらに向かったかは知らないが、まずは東の遠野の地だ!」
家臣たちの暗躍により見当違いの方角に向かう秀忠であった。
そのころ、遠い九州では。
「こら四郎、お母さんの言うこと聞きなさい!」
「嫌なこった!クソババア!」
親子喧嘩が始まっていた。
「千、そうかりかりするな…それと時貞、自分の母にむかってクソババアとはなんだ!クソババアとは!」
父親から息子へのお説教も始まろうとしていた。
よろしくお願いします<(_ _)>