少女の旅路と優男の思惑12
遅くなりました
巽と鯉太郎の出会いは説教から始まった。
「はじめまして、俺は巽ってんだよろしくな」
「オイラは鯉太郎よろしく…早速で悪いが言わせてもらう」
この最初の会話から始まる説教は二時間も続いくこととなるうえに一ヶ月違うことでブツブツと言われることとなるのだがまた別の物語になるため割愛させていただく。
あの知りもしない、出逢いからちょうど一年たった、晴れた日のことだった。
「はじめましてでさぁ、俺は国定村の忠治と申しやす」
「はじめまして、オラは平義盛、平家最後の跡取り…安徳帝の忘れ形見の子孫だ」
こちらはこちらで衝撃的な出会いを果たしていた。
その日から二ヶ月がたち年の瀬が近づいたある雪の降る日の出来事である。
「おーい!義盛!いるんだろ?」
一人の青年が平家の屋敷の門を叩いていた。
「きたか、龍之介」
「お久しぶりね龍君」
すっかり空気になってしまっていたがみんなのご飯とかを一手に作っていた女性も紹介せねばならない、彼女の名は春日の局、別名。
「お福母さん…お久しぶりです」
みんなこの徳川家光の乳母のお福さんには頭が上がらないのだ。
「康虎ちゃんは元気?」
と興味津々に聞いてきた。
「えぇ元気ですよ、それとたぶん私が初になりますよ」
何が?と聞くのは野暮なので黙る男性陣。
「そうかいそうかい…」
一旦微笑みを見せた直後、鬼の顔が見えてしまった。
「あんたたち!嫁の一人でも作りな!」
こうして家光、鯉太郎、義盛にたいする説教が始まってしまうのであった。
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